LGBTプライドには誰が参加できる?手続きや服装、持ち物は?台湾各地のパレードを例に、7つの疑問についてまとめてみました。
こんにちは!台湾各地のLGBTプライドへの参加を毎年楽しみにしているMae(@qianheshu)です。
先日は、台南にて「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」に参加してきたのですが、途中で友人グループと合流して、一緒にパレードを歩くタイミングがありました。
その際に、初めてLGBTプライドを歩くという、一人の友人から聞いた一言。
「パレードって、まさかこんなにもオープンでウェルカムな雰囲気だったとは!想像してたのと、全然違いました!!!」
実はこの反応、この時の友人だけではなく、僕もこれまでに初参加の方と話していて、とても頻繁に耳にしてきました。
そこで、ふと気づいたこと。
このブログでも、これまで台湾各地で行われているLGBTプライドについて取り上げ、当日の様子などについて記事を書いてきました。
しかしそもそも、LGBTプライドは一体何のために行われていて、誰が、どうやって参加するものなのか?
また、当事者でなくても、パレードを歩いて良いものなのか?
どのようなイベントになったか以前に、まずはそんな「ベースの部分を知ってもらうことも大切なのでは?」と、友人の一言を聞いてハッとしました。
そこで今日は、「LGBTプライド」という、イベントについてのお話。
多くの方が疑問に思われているかもしれない7つのポイントについて、台湾のLGBTプライドを例にしながら、ご紹介してみたいと思います。
1. そもそも、「LGBTプライド」って何?
タイトルや冒頭で「LGBTプライド」と聞いて、
「???」と思われた方。
「ゲイ・プライド」や「ゲイ・パレード」という名前であれば、
ピンと来る方もおられるのではないでしょうか。
「LGBT」とは、
L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシュアル)T(トランスジェンダー)の、
それぞれ頭文字をとった単語。
近年では日本でも、メディアでよく目にする言葉となりましたね。
社会的に少数派として抑圧されて来た当事者たちが、
自分たちの存在を社会に広く知ってもらうために。
そして、「プライド(誇り)」を取り戻すために。
LGBTの象徴である「6色のレインボー」を掲げて、
街を練り歩くイベントが「LGBTプライド」です。
また現在では、このルーツの部分を踏まえつつ、
さらなる進化を遂げているLGBTプライド。
街を挙げての一大イベントとして、
数百万人単位の人々が参加する、
カーニバルさながらのお祭り騒ぎになる都市も、
世界には多数存在しています。
イベントの歴史や、世界各国のLGBTプライドについては、
「TOKYO RAINBOW PRIDE」さんのWebページに
とても分かりやすい説明がありますので、
チェックされてみてください。
関連記事→【PRIDE PARADEとは?|TOKYO RAINBOW PRIDE】
台湾では2019年現在、
8つの都市(台南、苗栗、宜蘭、花蓮、台東、台北、台中、高雄)にて、
LGBTプライドが開催されています。
また、桃園や新竹、彰化、嘉義などでも、
LGBTをテーマとしたブース出展イベントが開かれており、
台湾でも、この動きはますます全国へと広がりつつあります。
2. 台湾の「LGBTプライド」では、どんなことが行われている?
台湾で行われているLGBTプライドは、
街を練り歩く「パレード」の他に、
「会場(パレード出発地点)でのブース出展」と
「ステージパフォーマンス」を合わせた、
主に3つの要素で構成されています。
パレードの出発地点となる会場では、
テントをずらりと並べた「ブース出展」が行われます。
レインボーグッズや、
オリジナルデザインのアイテムを販売するブースに、
ドリンクや手作りのお菓子などを買えるブース、
LGBT関連団体が活動内容を紹介するブースなど。
まさにフェスティバルといった面持ちで、
パレード参加者の方はもちろんのこと、
通りすがりの方でも、ふらりと気軽に立ち寄れる雰囲気が魅力です。
また、ブースの並ぶ会場には、特設ステージも設けられています。
ここで行われる「ステージパフォーマンス」では、
ダンスユニットのパフォーマンスを鑑賞したり、
アーティストのミニライブで盛り上がったり。
台湾では知らぬ人がいないほどの、
有名アーティストがステージに立つこともあり、
特に、台中のLGBTプライド「台中同志遊行」は毎年、
超豪華ゲストが登場することでも注目を集めます。
また、ステージにて行われるスピーチも、重要なポイント。
スピーチでは、
LGBT当事者たちの権利のために活動を続けるグループや、
当事者の生活を支えるボランティア団体、
婚姻平權(婚姻平等の権利)を支持する政治家の方などが登場。
それぞれの立場から、
LGBTを巡る現状への考え方や、体験談について語られます。
現在、台湾でどんな動きが起こっているのかを、
リアルタイムで学ぶには絶好の機会となるため、
僕も毎回、特に集中して耳を傾ける時間となっています。
そして、LGBTプライドの一番のハイライトとなる「パレード」。
台北、台中、台南、高雄など、
台湾を代表する大都市にて行われるパレードは、
いずれも数万人規模の大にぎわいとなります。
特に、アジア最大と言われる台北のLGBTプライド「台灣同志遊行」では、
爆音のダンスミュージックが街中に鳴り響き、
クラブさながらの盛り上がりに。
まさにカーニバルと呼ぶに相応しい、
底抜けに華やかで、パワフルな空気を体感することができます。
3. LGBTプライドには、誰が参加できる?
いざ「LGBTプライドに参加してみたい!」とは思ったものの、
ここで一つの疑問。
LGBTプライドには、どんな人が参加できるのでしょうか?
参加するには、何らかの条件があるのでしょうか?
台湾のLGBTプライドには、
「当事者でなければダメ」という決まりはもちろんありませんし、
条件なども全くありません。
恋愛対象も、恋人のあるなしも、結婚の有無も、
お子さんのいるいないも、年齢も、職業も、国籍も、
全く関係なし。
誰でも、本当にどなたでも、参加可能です。
実際にパレードを歩いてみると分かりますが、
手を繋いで仲睦まじそうなカップルや、
気のおけない友人グループ、
一人でプラカードを掲げて歩く青年…
小さなお子さんの手を引いて歩くファミリーに、
学校の制服を着た中高生、
旅行中にたまたまパレードに遭遇したらしき観光客、
沿道からレインボーフラッグを笑顔で振るおじいちゃんおばあちゃん…
とにかく、ここには挙げきれないくらい、
色々なコミュニティに属する人たちが、
一体となってパレードを楽しんでいる姿に出会えます。
肩肘張る必要は、全くありません。
「何だか楽しそう!」と思ったら、
気負わず、ゆるりと参加されてみてください。
4. パレードを歩くには、何か手続きが必要?
「参加」というと、
何となくハードルが上がってしまうようにも聞こえますが、
実際にはすごく簡単。
台湾のLGBTプライドに個人で参加するには、
特に登録の手続きなどは必要ありません。
※企業や団体として参加する場合は、あらかじめWebサイトなどから、登録をしておいた方が良い場合もあります。
LGBTプライドの当日は、そのまま会場へ向かうだけでOKです。
会場に到着したら、各ブースを巡ってみたり、
ステージパフォーマンスを鑑賞したりしながら、
パレード出発までの時間を楽しまれてください。
もちろん、パレードを歩くのも、手続きは不要。
むしろ、パレードへの出入りは完全に自由ですので、
スタート地点となる会場からでなく、
途中からの合流も全く問題ありません。
その証拠に、沿道のドリンクスタンドで
参加者がタピオカミルクを買っていたり、
クーラーの効いたコンビニのイートインスペースで
しばし休憩していたり。
たっぷり歩いて満足したら、「我先走囉~(先に帰るね~)」と、
友人たちとお別れして、そのままMRTの駅に消えて行ったり。
どこからともなく突如現れた観光客がパレードカーに乗り込んで、
爆音ダンスミュージックにノリノリで踊り始める姿なども、
よく見かけるくらいです 笑
5. LGBTプライドへは、どんな服装で行けばいい?
LGBTプライドへ行くにあたって、
何を着て行けばいいのか、
迷ってしまう方も、おられるかもしれません。
台湾のLGBTプライドでは、
服装の指定や制限なども全くなく、完全に自由。
普段着ている洋服と同じものでも構いませんし、
逆にしっかり気合いを入れてオシャレするもよし、
ハローウィンばりに仮装して歩くもよし。
こちらも本当に何でもありですので、
その日の気分や、伝えたいメッセージに合わせて、
コーディネートされれば良いと思います。
これまでに歩いてきた台湾各地のLGBTプライドでは、
カップルでペアルックだったり、
恐竜の着ぐるみだったり、
大きなレインボーフラッグをマントのように羽織ったり。
参加者の皆さんの豊かなイマジネーションに触れられるのも、
パレードを歩く楽しみの一つですね。
6. LGBTプライドを歩く時に、準備しておいた方が良いものは?
台湾のLGBTプライドでは、
1時間半~2時間、長い時には3時間近く、
パレードを歩き通しになることもあります。
カラダへの負担を考えて、
持ち物はできるだけコンパクトにまとめておきたいのと、
履き慣れた歩きやすい靴を準備しておくのが良いかと思います。
台湾でLGBTプライドの行われる時期(4~5月、9~11月)は、
30℃以上の猛暑に見舞われることも少なくありません。
持ち物を少なくするとは言えども、いつでも水分補給ができるよう、
「水」だけは必ず手元に準備しておいてほしいところです。
(日焼け止めもあると良いです。)
あとは、LGBTの象徴である
レインボーカラーのアイテムがあると◎。
旗やピンバッジ、バンダナなど、
ワンアイテムだけでもあれば、
よりパレードの一体感を楽しむことができます。
会場に到着したら、ステッカーやうちわなど、
何かとアイテムをもらえるタイミングもありますし、
レインボーアイテムが並ぶブースなどでも購入可能です。
ただ、LGBTプライドを歩くのに、
一番必要なのは「あなた」という存在。
あなた1人がパレードに加わることで、
励まされる人は確実にいます。
レインボーアイテムが無くて、
完全に手ぶらでも、全然いいんです。
コンビニでミネラルウォーターだけゲットしたら(←これだけはホントに重要)、
するっとパレードに流れ込んじゃいましょう。
7.「LGBTプライド」を歩けば、何が変わる?
「LGBTプライド」は、社会や政治の場に向かって、
当事者からダイレクトにメッセージを投げかけることのできる、
貴重なチャンスです。
(僕も含めた)当事者にとって、
それは自分たちの生活や未来に直結すること。
だからこそ、メッセージを伝えることに、
自分たちの境遇を伝えることに、一層の力が入ります。
しかし逆に、その点がクローズアップされることで、
「当事者以外だと、イベントに近寄りづらい」
というイメージを持たれがちになってしまうのも、よく分かります。
でも、それはあくまで、
LGBTプライドを構成する一つの要素に過ぎないことを、
知っていただきたいのです。
「一人でも多くの人に、まずは存在を知ってもらいたい。」
「こんなにも身近に、私たちは確かにいる。」
むしろ、より大切にされているのは
「気づいてほしい」という想いです。
数万人単位の人々が集まって街を歩くことが、
沿道の方たちにその想いを知ってもらうための
「きっかけ」となるかもしれません。
ニュースとなって駆け巡ることが、
他の都市にいる人々にとっても
「きっかけ」となるかもしれません。
あるいは、人知れず一人悩み苦しんでいる方、
周りに打ち明けられず姿を現せない方に「あなたは一人じゃない」と、
励ましのメッセージとして伝わる可能性だってあります。
初めてLGBTプライドを歩いたあなたはきっと、
「想像とは違った」と気づくことができるはず。
それは、また1人、あなたという1人が、
僕たち当事者の想いに気づいてくれたという、
かけがえのない「変化」です。
その積み重ねが、
やがて誰にとっても生きやすい社会へと進んで行くための、
糧になります。
台湾のLGBTプライドには、
参加資格も条件も、手続きも、服装や持ち物の決まりも、
何もありません。
完全なる、フリーダムです。
「何だか、ものすごく賑やかで楽しそうなイベントがある!」
最初は、そんな気軽な気持ちで足を運んでいただけたらそれだけで、
僕は当事者の1人として、すごくうれしいです。
まとめ
今日は、「LGBTプライドってどんなイベント?」というテーマで、
台湾のLGBTプライドを例にご紹介させていただきました。
最後までお読みいただいて、本当にありがとうございます。
皆さんの中で、LGBTプライドというイベントが、
少し親近感の感じられるものになりましたでしょうか。
台湾では、直近の5月に苗栗、宜蘭の2都市で開催される他、
9~11月にかけては花蓮、台東、台北、台中、高雄と、
5都市にて開催が目白押しとなっています。
もし、開催日に台湾へお越しの方がおられましたら、
ぜひ現地の空気を肌で感じられてみてはいかがでしょうか。
特に、10月26日(土)に台北で開催予定の
「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」は、
アジア最大級となる、街を挙げての華やかなパレードになりますので、
お見逃しのないよう!
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