LGBTプライド「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」2019が開催!同性婚合法化まで1ヶ月の台湾で巻き起こる新たな動きとは?

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台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019でレインボーフラッグを掲げて歩く参加者

2019年第1弾のLGBTプライドが台南で開催!イベント史上最大規模となったお祭り騒ぎの一方で、台湾が直面している現実も浮き彫りになりました。

こんにちは!台湾の古都・台南でLGBTプライドを歩いてまいりましたMae(@qianheshu)です。

今回参加させていただいたのは、2019年台湾で先陣を切るLGBTプライド「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」

今年はいよいよ、台湾で同性婚合法化が実現するとあって、イベント史上最多となる参加者数を記録する大パレードとなりました。

しかしその一方で、お祝いムードばかりではいられない現実についても触れられた、今回のLGBTプライド。

LGBT当事者の方たちが今、どんなことを感じながら日々を過ごしているのか。

パレードを通して改めて、再確認することのできたイベントとなりました。

今日は、4月13日(土)に行われた「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」当日の様子について。

同性婚合法化を前に、現在台湾で起こっていることについても触れながら、ご紹介したいと思います。

 

目次

「生而為人」。「人」として生まれたすべての命に伝えたいメッセージ。

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019の会場ステージ前

2019年「台南彩虹遊行(台南レインボープライド)」の会場となったのは、

今年オープンしたばかりの台南市美術館2館前。

 

友愛街と忠義路の交差点を封鎖しての道路上に特設ステージが設けられ、

パレード出発1時間前にも関わらず、

すでに多くの参加者が会場に集まっておられました。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019の会場で写真撮影に応じるグループ

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019の会場

チャリティグッズや、オリジナルデザインのアイテムを売るブースも、

昨年以上に多様化。

 

イベントのフライヤーやバッジ、

レインボーフラッグを配布するスタッフさんたちも駆け回る会場は、

早くも活気に満ち溢れています。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のステージでパフォーマンスする学生

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019会場に集まったレインボーフラッグを纏った参加者

ステージ上では、

パレード出発前のスピーチやパフォーマンスもスタート。

 

出発の時間が近づくにつれて、

ステージ前もますます賑やかになってきました。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019の先導車

今年の台南彩虹遊行のテーマには、「生而為人」。

 

新しい社会をまさに迎えようとしている、

今だからこそ改めて伝えたい、

「人」として生きることの意味について、

深く考えさせられる内容となっています。

 

這次上街的訴求,即是宣告該是正視我們的時候了;

儘管歧視不會消失,但我們可以選擇不再沉默!

 

一雙眼、一隻鼻、一張嘴,來自相異背景但是同樣生而為人的我們,

不只人權遭受壓迫,受教權更被攤在公民投票中遭多數決否定。

 

「尊重」兩個字說來簡單,但做到很難,

社會的樣貌自始至終都有不同的樣貌存在著,

只是多數人日復一日、年復一年地活著,

絲毫沒有發覺到這群人,早已共存於同一個生活當中。

 

每個人在各自生命中為自己打拼本來就是件不容易的事情了,

還要多一分力在對抗否定自己存在價值的惡意,

究竟誰才是普世價值中的惡人?

 

生而為人,我們從今開始搶回人生的主導權;

生而為人,我們人生怎麼過自己說了算!

 

出典:台南彩虹遊行公式ページ

 

今回のパレードのテーマは、

私たちの存在を直視すべき時が来たことを、

社会に向けて告げるものです。

たとえ、偏見が消えることはないとしても、

私たちはもう、沈黙しない道を選ぶことができます。

 

目を持って、鼻を持って、口を持って。

異なる背景のもとではあっても、同じ「人」として生まれた私たちは、

基本的な人権を抑圧されてきたのみならず、

教育を受ける権利すらも国民投票にかけられ、否定されました。

 

「尊重」。

この二文字を口にするのは簡単ですが、

実行するのは、本当に難しいものです。

 

社会には、「違い」が存在して当たり前であるはず。

しかし、今も多くの人々は、

「違い」の存在、「違い」とすでに共存していることに、

少しも気づくことなく、日々を過ごしている。

その事実を、容赦なく突きつけられました。

 

自分のために、自分らしく突き進んで生きていくことは、

誰にとっても容易なことではありません。

その上で、さらに自分の存在価値を否定する悪意にも、

同時に立ち向かわなくてはいけないとしたら。

否定される人々は一体どこまで、

力を振り絞り続ける日々を、歩んでいかなくてはいけないのでしょうか。

 

人類普遍の価値に傷をつけるのは、一体誰なのでしょうか。

 

「人」として生まれた私たちは、今こそ人生の主導権を取り戻さなくてはなりません。

この命をどう生きるかは、自らの手で選び取らなくてはならないのです。

 

訳:Kazuki Mae

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019で美術館2館からレインボーフラッグを振る祁家威氏

台湾では、昨年2018年に行われた国民投票の結果を踏まえて、

同性婚合法化に向けた審議が進められています。

 

しかし、その過程は決して平坦なものではなく、

まさに現在も様々な壁に直面している最中。

 

今回のパレードでは改めて、

台南の街に向けて、そして台湾社会全体に向けて、

「真の意味での平等」を考えてもらうためのメッセージが

発信されることになります。

 

イベント史上最大!2万人パレードのお祭り騒ぎの一方で…

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019で林百貨前を歩くパレード隊列

今年のパレード路線は、

台南の街の中心部をぐるりと一周するように歩く、

およそ5kmにおよぶ道のり。

 

全てが台南中心部を代表する主要な通りとなっており、

文字通り街全体にメッセージを投げかけることのできる

ルートが採られました。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019でレインボーフラッグを掲げて歩く参加者

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019で海安路を歩く参加者たち

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のパレードでもらったレインボーフラッグ

当日は台湾南部らしい、大きな太陽が空に輝く絶好のお天気。

 

もはや夏真っ盛りと言っても良い陽気で、

強烈な陽光を反射しながら、

レインボーフラッグが色鮮やかに翻ります。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のパレードをコスプレで歩く参加者

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のパレードをレインボーフラッグを纏って歩く参加者

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のパレードでレインボーフラッグを振る参加者たち

水分補給が頻繁に呼びかけられる暑さの中、

思い思いの洋服やコスチュームに身を包んで歩く参加者たち。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のパレードカーに乗り込むドラァグクイーン

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のパレードカーに集まる参加者たち

パレードカーからは、

賑やかなダンスミュージックが鳴り響き、

沿道のショップで働く若い店員さんも、

グルメ屋台で作業に浸っていた老闆も、

たまたま通りがかった地元の方々も興味津々な様子。

 

笑顔でパレードを見つめる方、

窓辺から手を振りながらエールを贈る方、

レインボー仕様にしたヘルメットを身につけてスクーターから応援する方まで、

たくさんの温かなエールが飛び交います。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019で海安路を歩くパレード隊列

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のパレード隊列

パレード中に発表されたアナウンスによると、

今回のパレードに集まった参加者は、なんと2万人超!

 

台南でパレードが行われるのは、今年が4回目なのですが、

たった4年前に数百人規模から始まったことを考えると、

規模拡大のスピードは驚異的です。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019に合わせて特別メニューを打ち出すカフェ

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019でメッセージを掲げるカフェ

沿道には、この日に合わせて、

レインボー仕様の特別メニューを打ち出すお店も。

 

メッセージを書き込んだ黒板を軒先に並べて、

パレード参加者を応援するカフェもありました。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のパレードでフリーハグの紙を持つ参加者

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019で手を繋いでパレードを歩くカップル

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019でドリンクスタンドに並ぶパレード参加者

台湾のLGBTプライドは、誰もが完全に出入り自由。

 

レインボーアイテムを身につけたまま、

パレードから抜け出してドリンクスタンドでタピオカミルクを買ったり、

冷房の効いたコンビニのイートインスペースでちょっと涼を取ったり。

 

こうして、街中に自然とにじいろが広がって行くのは、

まさに「違いに気づいてもらう」という、

今回のパレードのテーマを体現しているようで、非常に心温まる光景です。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のパレードでメッセージボードを掲げる2人の参加者

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のパレードでメッセージボードを掲げる参加者

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019のパレードで憲法法廷の結果尊重を求める参加者

しかし、そんな一見ピースフルなお祭り騒ぎの一方で。

 

ただただ喜んでばかりもいられない、

現実を伝えるメッセージも見られました。

 

写真の男の子が掲げている「堅守釋字七四八!」は、

まさに現在、同性婚合法化に向けた審議が

ぶつかっている壁を象徴する一言。

 

あと1ヶ月後には、新しい法律が制定される見込みなのですが、

実は現在に至ってもなお、この法案の先行き不透明な状態が続いています。

 

同性婚合法化まで1ヶ月。審議の場で巻き起こっている現実とは?

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019の会場ステージでスピーチする時代力量

会場ステージでのスピーチに耳を傾けていても、

楽観視ばかりはしていられないことが、ひしひしと伝わってきます。

 

党の発足以来、「婚姻平權(婚姻平等の権利)」への支持を、

政治の場にて訴え続けてきた時代力量。

 

これから始まる審議では、

(より理想的とされている)行政院より提出された法案

「司法院釋字第748號解釋施行法」の他に、

同性婚反対派からも法案「公投第12案施行法」が

提出されていることに触れられました。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019で同性婚合法化を祝福する参加者

これらの法案について少し触れておくと、

「司法院釋字第748號解釋施行法」は、2017年5月に発表された

「同性カップルに婚姻の権利を認めない現行の法制度は違憲である」とする、

憲法解釈の結果(釋字第748號)に基づいて作られた法案。

 

「血縁関係にない子供との養子が認められない」、

「同性婚制度のない国のパートナーとは結婚できない」など、

異性カップルの婚姻とは依然として差があるものの、

同性カップルに「婚姻」の権利を認める、

現状においては、最も理想的な法案として捉えられています。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019の会場ブースに掲げられたレインボーフラッグ

一方、「公投第12案施行法」は、

2018年11月に行われた国民投票第12案の結果を根拠にして提案され、

同性カップルには「婚姻ではない」別のカタチで権利を認める、

というもの。

 

第12案「あなたは、民法に定められた婚姻規定以外の他の形式にて、

同性2人が永久的な共同生活を送る権利を保証することに同意しますか?」

との問いに対して、投票では賛成多数という結果で出ていました。

 

しかし、この国民投票案の元々の意図は

「同性カップルにどのようなカタチで「婚姻」を認めるか

(異性カップルと同じ民法で認めるか、あるいは新しい法律で認めるか)」

を再確認するためのもの。

 

同性カップルの「婚姻」自体を否定するこの法案は、

憲法解釈の結果(釋字748號)に明らかに矛盾しているにもかかわらず、

当事者からの反対の声も虚しく、

審議の場に持ち出されることが決定されてしまいました。

 

また直近では、民法第972條に定められた婚姻の規定に

「婚姻,應限定在一男一女之結合(婚姻は一男一女(異性カップル)に限定する)」

の一項を追加する法案までも提出され、

同性カップルの「婚姻」を阻止しようとする動きが起こっています。

 

関連報道→【黃昭順提婚姻「限定一男一女」修法 民團批:剝奪同婚已違憲|上報 UP MEDIA】

 

「堅守釋字七四八!(釋字748號を守れ!)」

 

あのプラカードに書かれた一言は、

そんな現在の混乱した状況を象徴するものでした。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019の会場ステージでスピーチする婚姻平權大平台の呂欣潔氏

婚姻平權大平台の呂欣潔さんは、

審議の雲行きが怪しくなっていることにも触れた上で

「ただ1つだけ、皆さんにお願いしたいことがある」とのお言葉。

 

「たった1人でいいです。

身近にいる、同性婚についての見解が私たちと異なるその1人と、

積極的に話を重ねてみてほしい。」

 

というものでした。

 

法案が一番理想的な状態で通るかどうか、という心配も確かにありますが、

少なくとも5月24日から、

台湾は新しい制度のもとに動きだすことは確定しています。

 

その新しい未来に向けて、

1人でも多くの人に、正しい理解を持ってもらいたい。

 

そんな思いから、発せられたお言葉でした。

 

「その討論の過程が、

決して簡単なものでないことは、よく分かっています。

 

しかし、(国民投票で同性婚を支持した)300万人それぞれが、

たった1人に働きかけるその努力が、

やがて600万人分の力になる。

 

それが、これからの未来をさらに良くするための一歩になります。」

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019パレード後の会場ステージ前

イベント史上最高の2万人を記録した、今回の台南彩虹遊行。

 

「1ヶ月後には同性婚もいよいよ合法化!

みんな良かったね!がんばったね!」

 

と、なっても不思議ではなかったタイミングですが、

手放しで喜ぶにはまだ早い。

 

大盛り上がりのパレードの一方で、

これから台湾がどのような方向へ動いていくのか、

まだまだ注視していかないくてはいけない現実を、

改めて感じたイベントとなりました。

 

まとめ

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019の旗

今日は、4月13日(土)に行われた

「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」2019

の様子をお伝えしました。

 

同性婚に関する台湾社会の注目が高まっていることを反映するように、

参加者がさらに拡大した今回のLGBTプライド。

 

同様に、今年行われる台湾各地のパレードも、

史上最大級の盛り上がりになることが予想されます。

 

台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)2019の会場ステージでスピーチする苗栗愛轉來平權遊行の主催団体

2019年第2弾は5月11日(土)、

今年が初めての開催となる北西部の街・苗栗のLGBTプライド

「苗栗愛轉來平權遊行」です。

 

この瞬間に、台湾で暮らす人たちは何を考え、

何を伝えようとしているのか。

 

現地で体感されてみたい方は、

ぜひ苗栗でパレードを歩いてみてはいかがでしょうか。

 

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→2019年台湾の7大LGBTプライド開催スケジュール。

→台湾で同性婚法案が正式発表!でもこのままだと、僕と台湾人彼氏は結婚できない。

→「同性婚はゴールじゃない。」まもなく合法化実現の台湾で当事者の僕が感じていること。

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