みなさん、九份からは「歩いて山を下る」方法もあること、ご存知ですか?
こんにちは!先日、九份で泊まりがけの一人旅行を体験してまいりましたMae(@qianheshu)です。
【九份だけで1泊2日一人旅行(前編)】では、台湾北海岸の風景を眺めるレストランで感じたことや、九份老街から伸びる狭い路地の中を歩いてみたことについて綴らせていただきました。
今日は、九份旅行の後編。
泊まりがけでこそ堪能できる夜の九份、そして九份から少し足を伸ばして日本とも関係の深い歴史スポットへと足を進めてまいります。
また、前編で登場した「磅坑口」という名の、あの不思議なトンネル。
名前を奪われる神々の世界が広がっていそうな、トンネルの向こう側には一体何があるのか?
その謎についても、実際に足を運んで解明してまいりましたので、ご覧ください。
九份老街での夜ごはんは「直感」が勝負。
路地裏エリアを散策しているうちに、
少しずつ夜の気配が漂い始めた九份。
おなかもいい具合に空いてきたので、
夜ごはん探しへと繰り出すことにします。
そろそろ赤提灯に明かりが灯りだし、
老街は一日で最も賑わう時間に。
押し合いへし合いの人出の中では、
食事どころを探すのも一苦労です。
この場合、テーブルの空いていそうなお店を見つけたら、
迷わず入るのが得策。
せっかくなら美味しそうなお店をじっくり吟味したいところでしたが、
一度通り過ぎたら戻ってくるのもやっとな状態だったので、
ここはもう台湾生活6年で培った(?)直感に頼ります。
人波を押し分けて、
ズバッと立ち寄ってみたのは「魚丸」のお店。
魚丸とは、魚のすり身を丸めてゆでた「つみれ」のこと。
しいたけ入り、イカ入り、
肉餡入りの三種のつみれが入った「綜合魚丸湯」と、
台湾のソウルフード「魯肉飯」をオーダーしてみました。
ダシの香りと塩味が程よく効いたあっさりスープに、
プリッと弾けるつみれから溢れる肉餡の濃厚エキス。
脂身多め、醤油濃いめのルーローソースがかかったごはんも、
味しみしみの煮卵も「これぞ台湾!」な良いお味でした。
勢いで立ち寄ったわりには、大成功だった気がします。
まだ少しもの足りなかったので、シメにズバッともう一軒。
九份の名物スイーツ「芋圓(タロイモ団子)」のお店にも
立ち寄ってみました。
8種のトッピングが入る「八寶芋圓」を頼んだら、
今日は生意很好だったのか
「もう三、四種トッピングしか残ってねぇぜい」という老闆のお返事。
でも何となく、
トッピングがたくさん楽しめるタイプが食べたかったので、
八寶芋圓ならぬ「四寶芋圓」を作ってもらうことにしました。
タロイモだけでなく、
サツマイモにベニイモのお団子も入ったカラフルな仕上がり。
トッピングには、桂圓や煮込みピーナッツを入れてくれていました。
プニッとした食感と、素材そのもののイモの濃厚な風味に
「九份来たら、やっぱりコレだよね~」と、和みの時間。
しかし、あまりゆっくりもしていられず、
座っていたテラス席には、冷たい強風が吹き荒れ始めました。
昼間は汗ばむくらいだったけれど、
山の上の夜は流石に冷える。
ホカホカの芋圓が一気に冷めそうな気配だったので、
駆け足気味で平らげて、一旦ゲストハウスへと戻ることにします。
▼ 今回立ち寄ったお店の情報 ▼
張記九份傳統魚丸
Address:新北市瑞芳區基山街25號
TEL:+886-2-2496-8469
営業時間:10:00~19:00(月~金)/ 10:00~20:00(土・日)
老友號芋圓
Address:新北市瑞芳區基山街4-4號
TEL:+886-2-2497-2600
営業時間:8:30~20:30
夜の九份に心ゆくまでシャッターを切るなら、20:00以降がおすすめ。
「ノスタルジックでロマンチックな街並みを、
九份で思う存分撮りたい!」という、写真好きのみなさん。
九份老街のお店が店じまいをする20:00を過ぎると、
ツアー客が去って、一挙に人が少なくなるので狙い目ですよ~!
タイミングを見計らって、再びゲストハウスから出てくると、
先ほどまでとは明らかに違った空気に、
街は包まれはじめていました。
人気の記念撮影スポット・阿妹茶樓前は、
日中のごった返す賑わいが嘘かのようにスッキリ。
撮影待ちの人たちに急かされることもなく、
心ゆくまで時間をかけて撮影を楽しめます。
豎崎路の階段を降りたところにある、昇平戲院前の広場も、
人影がまばらに。
人がどしどしフレームインしてくることもないので、
ポーズが気に入らなかったり、ブレてしまっても、
何度でも撮り直し可能です。
これぞ、今回の九份旅行で僕が一番期待していた瞬間。
撮影はもちろんのこと、静けさを取り戻し始めた九份の街が、
ひときわノスタルジックな空気に包まれます。
また、泊まりがけで九份に来たからこそ楽しめる特権も。
豎崎路にあるお茶屋さんの中には、
日付が変わる頃まで営業しているお店もあり、
赤提灯に照らされる街並みを眺めながら、
ゆったり食事やお茶も楽しめちゃいます。
輕便路沿いには、
夜だけオープンするおしゃれなバーも何軒かあるので、
ドリンクを嗜みながらまったり過ごすのも良さそうです。
が、僕は残念なことに、
夜ごはんのつみれスープと、芋圓のあずきスープが思いのほか効いて、
おなかちゃぷちゃぷ状態だったので、今回はパスしておきました 笑
あと、この時間の老街内は、
お店の掃除で流れてくる水気で滑りやすくなるのと、
昼間は見なかったスクーターがブンブン通り抜けていくこともあるので、
安全には注意です。
220kgの大金塊に滲む、日本との深い関係。
夜の九份をたっぷり堪能した、明くる日。
今日は、ゲストハウスで朝ごはんをいただいてから、
朝イチで金瓜石にある「黃金博物館」ヘ。
九份老街のバス停から一本、10分ほどで到着です。
入場料は、80元。
だったのですが、
「新北市民なら無料で入れるよ~」と受け付けのおばちゃん。
僕も新北市に住んでいるので、居留証を提示してみたら、
入場料無しで中へ入れてもらえました。ラッキー!
ここに来るのは、今回が2度目。
前回は、まだ語学学校で中国語を勉強していた
6年近く前だったかなあ。
九份を歩いているうちに改めて、
金鉱として栄えた歴史について知りたくなってきたのと、
もう一つ「ある目的」のためにやって来ました。
園内に数多く佇む日本家屋は、日本統治時代の際、
この地区の金鉱を管理するために、当時の日本人たちが建てたもの。
修復が施されて保存状態も良好で、屋内やお庭を見学していると、
台湾にいることを忘れそうになるほどです。
畳敷の和室など、
今すぐ日本人が住み込んでもしっくり来るのではないか、
というくらいでした。
博物館内に鎮座するのは、220kg、
時価総額2億台湾ドル(=約7億2000万円)の本物の大金塊!
※1元=3.6円で計算(2019年2月現在)
防護ケースにあいた穴から手を入れて触れてみると、
空気の湿度がほんのりまとわりついたような、しっとりすべすべ肌。
触れただけで、金運アップのご利益がありそうです。
しかし、館内で紹介されている金鉱の歴史についての展示を見たあとでは、
素直にキャピキャピできないのも事実。
この土地で、かつての日本人が行ってきたこと。
同じ日本人として知らないでは済まされない、
重い現実も目の当たりにさせられました。
背後にどんなストーリーがあったのかを知れば、
九份と金瓜石という場所への見方が、
ガラリと変わるのではないかと思います。
黃金博物館の敷地内には、
他にもたくさん見どころやアトラクションがあるのですが、
今回は他に目的もあったので、全ては体験できませんでした。
が、台湾ブロガーのまえはらさんの記事に詳しく紹介されているので、
全貌を知りたい方はぜひ読まれてみてください。
関連記事→【九份観光と合わせて行ける金瓜石の新北市黄金博物館を紹介『200キロ黄金に触れる』|あしたはもっと遠くへ行こう】
金鉱の街に咲く桜と、鉱物運搬路線を辿る旅。
僕が金瓜石にやって来た、もう一つの目的。
それは… 桜です!
ある日、ブログの読者さんからメッセージをいただき、
金瓜石は桜の名所であるとの情報を入手。
九份でもすでにチラホラ咲いていたので
「もしかしたら、いいものが見られるかも?」と思い、
開花具合を確認しに来てみました。
黃金博物館園内の桜は、
残念ながらまだつぼみ綻び始めた段階で、
見頃にはまだまだと言った面持ち。
しかし、博物館の横に伸びるこちらの橋を渡って、遊歩道を進んでいくと…
こちらには、桜がもう咲いていました!
もうすぐ咲きそうな気配の木もたくさん見られたので、
あと1~2週間もすれば、お花見シーズン真っ盛りになるかもしれません。
金瓜石に咲く桜。
金鉱として栄えていた当時、この土地で働いていた人々は、
春に咲くこの桜を、どんな気持ちで眺めていたのでしょうか。
遊歩道を一番奥まで進んでいくと、
北海岸の青い海を望む高台へ。
鉱物によって褐色に変化した海水が入り混じる「陰陽海」も、
遠くに望むことができます。
山肌には昔のレンガ造りの遺跡が残っており、
青い背景とのコントラストが美しいです。
この建物は「天間車遺址」と言い、
かつて鉱物を運ぶ路線の起点となった場所。
ここから、今も線路が遺る道を辿って行くことができるようで、
この日も山登り用のウェアに身を包んだ方たちが、
たくさんやって来ていました。
鉱物運搬路線を辿りながら、金鉱の歴史を感じる旅。
先まで歩みを進めてみたくてたまらなくなって来ましたが、
今回は持ち物も万全ではないので、
また改めてチャレンジしてみたいです。
ちなみに、遊歩道からはさらに脇道が伸びているのですが、
こちらを進んでみると、
ローカルな街並みが絵になるエリアが広がっていました。
じっくり歩いてみれば、
金瓜石だけでも1日たっぷり楽しめそうで、
何だかワクワクしてきました。
九份・輕便路の100年古民家で、趣に浸るお昼ごはん。
お昼ごはんは、
前日に輕便路を歩いて気になっていた古民家カフェへ。
景色が抜群というわけではありませんが、
築100年以上という歴史が魅力。
60年代っぽい音楽がゆったりと流れていて、
古民家ならではの趣と相まって、すごくリラックスできます。
本でも読みながら、ゆっくりと過ごしたくなる雰囲気です。
ランチにオーダーしたチキンクリームシチューセットは、
すごく本格派。
具材がとろけそうなくらいじっくり煮込まれて味しみしみ、
クリームはとろとろでまろやか。
クリームシチューにコーンクリームスープを合わせてくる、
ミルキー推しに若干「?」を感じなくもなかったものの、
そんなのは些細なこと。
どのお料理も本当に完成度が高くて、
じっくり堪能させていただきました。
台湾伝統グルメも美味しいですが、
こういう洋風の食事も間で挟むと、気分転換にも良いですね。
九份最後のごはん選びも、大成功だったと思います。
栄養満点のシチューでたっぷり元気を補給したら、
いよいよ九份旅行最後の締めへと向かいたいと思います。
▼ 今回立ち寄ったお店の情報 ▼
淂藝洋行
Address:新北市瑞芳區輕便路226號
TEL:+886-2-2406-1312
営業時間:9:00~22:00
Facebook:https://www.facebook.com/dayeatteahouse/
鉱物を麓へと運んだ古道。九份から歩いて瑞芳を目指す。
さて、前日に見つけた
『千と千尋』のプロローグのようなトンネル「磅坑口」。
トンネルを抜けたその先には、名前を奪われる神々の世界が…
ではなく、実は「琉瑯路步道」という遊歩道が伸びています。
後から調べてみると、こちらも金鉱と深い縁のある場所で、
かつて鉱物を麓の街・瑞芳へと運ぶ際に利用された路線。
昔は「流籠」という小さなケーブルカーのようなものが通っていたようで、
後に遊歩道として整えられたのが、現在の形ということです。
つまり、この歩道を麓まで降りていくと、
九份への玄関口・瑞芳へ。
バスやタクシー待ちの
下山の混雑を避けるにはとっておきということで(?!)、
九份旅行の最後は、山歩きにチャレンジすることにします。
歩道から眺める海の景色は、変わらずダイナミックで美しい。
ここまで来る人は現地でもかなり稀なのか、
誰一人ともすれ違うことはありませんでした。
一応「観光歩道」とも言われているのですが、
途中お墓があったり、全く手入れのされていない
鬱蒼とした森の中を突き進む感じで、観光感はゼロ。
このインディ・ジョーンズ風の延々と続く階段を、
ただひたすら降りていきます。
道のりの中程でポッカリと口を開けている古いトンネルも、
九份で出会った磅坑口と同じく、運搬のために築かれたもの。
この歩道一番のフォトスポットらしく、
歴史的な意義についても理解はしましたが…
この上なく静まり返っているのと、
じっとりと滑りやすい内部が、ちょっとホラーっぽい…
考えれば考えるほどに足がすくみそうだったので、
足元に気をつけつつ、一気にササーッ!!!と抜けました。
あぁ、怖かったよう…
トンネルを抜けた先は、さらに続く密林の階段。
この階段、一体どこまで続くのだろうか…
と、思いながらずんずん進むこと、スタートから20分。
道標に、あと「90m」の文字が見えました。
えっ、せっかくもっとアドベンチャーを期待し始めていたのに、
意外とあっさり「終」ですか?
2時間くらい下ってようやく
「文明の光が見えてきた!」的なゴールを想像していただけに、
ちょっと拍子抜けです。
その先に伸びている階段を上ると…
いきなりバスや車がバンバン走る、
幹線道路と言う名の文明のど真ん中に投げ出されました。
ああ、本当にあっさり終わっちゃった。
と思いきや、ここからがむしろ本番でした 笑
瑞芳まで続くと言いながら、
目指す瑞芳の街並みはまだ全くなし。
しかも、さっきまでは木陰の中だったので、
涼しくて歩きやすかったのですが、道路に出れば容赦のない直射日光。
2月とはいえ、初夏ほどの強さはあり、
黒焦げするには充分すぎる紫外線量です。
瑞芳市街まで、あと1キロ。
高架下の地下道をくぐったところで…
線路上の電柱に「瑞芳」の文字が!
まもなく到着かと思いきや、
後にこれはフェイントだと発覚。
いや、おそらく列車の運転手さん向けに
「もうすぐ瑞芳ですよ~」と伝える目印だと思うのですが、
歩行者にとっては全然もうすぐじゃなく、完全フェイントでした。
まだ、しばらく炎天下の道のりが続きます…
列車の走るトンネルに差しかかったところで、
少し街らしくなってきました。
ここでお気づきの方おられるかもしれませんが、
僕、バスやスクーターがビュンビュン走る
幹線道路の車道を歩いております。
交通量が多くて一番必要と思しきところで、
なぜか歩道が突然途切れてたのです。
絶対「こんなとこ歩くやつおるわけ無いわ~」
精神で作られてますよ、これは。
(確かに誰も歩いてないけど 笑)
瑞芳駅の矢印が出ている方向へ進むと…
瑞芳の街にかかる青い橋が。
だいぶ、見覚えのある街並みになってきました。
春節ムード満点の賑やかな界隈を、
そのまま真っすぐ進んで行けば…
瑞芳駅到着です!やった~!
所要時間は、九份から瑞芳まで、下りで徒歩50分。
(山道20分+幹線道路30分)
山を下るだけなら、予想外に早かったです。
ただ、正直言って、
この道のりを体験する必要は全くないと思います 笑
山道は虫がブンブンですし、
幹線道路も交通量が多くて危ないです。
雨の日は滑りやすいと思いますし、
灯りもないので、夜は絶対通過不可能です。
が、何かの折に、
最後の最後の選択肢で「徒歩」というのもありますよ、
というお話でした。
九份への行きがバスだったので、
帰りは台鐵の區間車でゆったり座って、台北へ。
ちょっぴりハードな帰り道でしたが、
個人的には新体験ができて、なかなかおもしろかったです。
まとめ
今日は、九份だけで1泊2日一人旅行(後編)でした。
今回の旅を終えての感想として、
これまで知っていた九份は本当に一部に過ぎなかったのだな、
ということ。
出発前は「果たして1泊2日もやることがあるだろうか?」
という不安も確かにありました。
が、実際に始まってみると、
まだまだやり残したことがいくつもあるくらい、
あっという間の時間だったように思います。
九份からバスに乗ってすぐの金瓜石でも、
新しい発見がたくさんあって、
また改めて訪れてみたいところがいくつもできました。
もし時間が許すのであれば、みなさんもぜひ、
九份に滞在しながら街を巡られてみてはいかがでしょうか。
台北市内での滞在とはまた違った空気感を味わえるので、
旅にメリハリを出したい時にもおすすめですよ。
九份旅行前編を読んでみたい方は
【九份だけで1泊2日一人旅行(前編)。王道ルートを外れ放題していたら、いろんな九份が見えてきた。】
もチェックしてみてくださいね!
おまけ:本日の台灣男子
『本日の台灣男子』は、僕が台湾の街で出会った台湾男子たちを、
思わず胸キュンしてしまったエピソードと共に、イラストで綴るインスタアカウントです。
時にかっこよく、時にかわいく、時にゆるゆるな台湾男子の魅力は、
ID:todaystaiwaneseboy に詰め込んでいますので、
ご覧いただけるとうれしいです!
▼こちらの記事もよくお読みいただいています!▼
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