九份の魅力は老街だけじゃない!ちょっとレールを外れれば、いつもと違った九份の姿が見えてきます。
こんにちは!台北在住7年目にして初めて、九份でお泊まり旅行を体験してまいりましたMae(@qianheshu)です。
台北市内から約1時間強で到着できる九份は、僕にとってはとても身近な観光地。
と、言いたいところなのですが…
実は僕、台北に住み始めてから、片手で数えられるくらいしか行ったことがありません。
しかも、その半分以上は自主的にではなく、友人のお供として行っています。
その大きな理由は、良くも悪くもその人気ぶり。
昨今の台湾人気も手伝ってか、九份は今や世界中から観光客が押し寄せ、平日休日を問わず、とてつもない人出に見舞われています。
もともと、あまり人の多いところが好きでない性格な僕。
台北から1時間かけて、ぎゅうぎゅう詰めになるほどの賑わいを楽しみたいとは、なかなか思えなかったのが、その一番の理由です。
しかし、ちょっと考え方を変えてみました。
もしかすると、自分のまだ知らない、これまでとは違った九份の楽しみ方もあるのでは?
王道の九份観光から少し外れてみれば、どんな景色が見られるだろうか?
これまでは日帰りだったため、行きも、観光も、帰りもぎゅうぎゅうせざるを得なかったけれど、泊まりがけで巡れば、新たな九份の魅力が見えてくるかも?
そんな思いがにわかに沸き起こってきて、今回初めて「九份に泊まって旅してみよう!」という試みを実行してみることにしました。
今日は、1泊2日の九份で体験したこと、感じたことについて。
泊まりがけの九份を一人で巡った旅の記録として、読み進めていただければと思います。
ここは韓国?! 九份老街で感じた意外な異国情緒。
台北市内を10:30頃に出発して、
九份に到着したのは、そろそろ正午を迎えようかという時間でした。
すごーく、すごーく久しぶりの九份。
人混みが苦手とは言いながら、やはり到着して一番は、
コテコテの九份らしい雰囲気を感じておきたい。
ということで、ひとまず老街へ入ってみることにします。
予想はしていたものの、相変わらずものすごい人出。
春節連休に入って大晦日直前というタイミング、
少しは人が少ないかと思ったものの、やはり九份人気はすごかった。
しかもすぐに、僕の頭の中にあった九份とは違った、
ある変化を感じ取りました。
中国大陸からの観光客が多いのは前々から知っていましたが、
今回の九份には、彼らをさらにしのぐ多数派が登場。
バス停から老街、グルメ店の前に至るまで、
耳に飛び込んでくるのは、大陸式の中国語ではなく「韓国語」でした。
そう、とにかく韓国から観光に来られている方が、すごく多い!
もっと日本人がいるはずと思っていて、
確かにこの日もたくさんおられたのですが、
それでも明らかに少数派になるくらい、
凄まじい韓国人比率だったのです。
後から知ったことですが、
実は台湾が春節(旧正月)を迎えるこの期間は、
韓国も旧正月をお祝いする連休。
連休に合わせて、ツアーで九份を訪れる
韓国からのお客さんが激増していたのでした。
しかし、その圧倒的な人波に圧されている場合ではない!
僕も軽く朝ごはんを食べてきただけなので、
そろそろおなかが鳴り始めています。
九份に到着して、およそ5分。
おなかも空いたし、人も多いしで、
そろそろ疲れてきましたが(!)、
僕も真面目にごはん探しをすることにします。
食事代?それとも雰囲気代?250元の価値。
人波を掻き分けて、やっとの思いで老街を抜けた先。
心持ち賑やかさも落ち着いてきたところに、
海の見える食事どころを発見しました。
お店の中をのぞいてみると、老街内の小吃店に比べて、
お客さんも少なめで良い感じ。
店内でぼんやりしている店員さんが醸し出すアンニュイな空気も、
ゆる〜く時を過ごしたい今の気分にフィット。
他に心当たりがあるわけでもなかったので、
今回の九份初食事に決定です。
ただ、何となく予想はしていましたが、
オーダーからしばらくして運ばれてきたのは、
「これで250元!!!」と(良くない意味で)驚く牛腩飯。
このクオリティだったら、
家の近くの超リーズナブルな自助餐でも食べられるぜい…
と、不満が出そうになりましたが、自分で選んだことですし、
さらに言えば、ここは台北指折りの観光地。
うっすらとした牛肉の細切りとともにグッと飲み込んで、
目の前の景色に集中することにします。
テラス席の目の前には、真っ青な海に浮かぶ基隆嶼を望む、
絶好のパノラマ。
幸いお天気に恵まれたこともあり、
はっきりくっきりと見える雄大な自然が、
お店の外に溢れる喧騒すらも、どこかへ吹き飛ばしてくれるかのようです。
これはまさに、九份でしか体験できない贅沢。
料理のクオリティは、この際かたわらに置いておいて、
「この景色を眺めながら、ごはんが食べられる」
というシチュエーションを考えれば、
少しずつお値段にも納得できるようになってきました。
食後の温かいお茶を啜りながら、
春の気配が漂い始めた温かい風を受けながら、しばしまったり。
「何だかんだ言って、入ってよかったかも」と、
お店を出る頃にはスッキリとした気持ちになっていたのでした。
トンネルの先には、名前を奪われる神々の世界が広がっているのか?
食事の後は、ちょうどレストランの下をくぐるように伸びる
「輕便路」という通りへ。
昔、九份が金鉱の街として栄えていた頃、
麓の街・瑞芳へ鉱物を運ぶため、
台車用のレールが敷かれていたことが、その名の由来。
老街からは少し離れただけですが、
それでも街のテンションが4分の1ほどに落ち着き、
適度な賑わいが心地よいエリアに様変わりします。
道に沿うように並ぶのは、伝統的な老街とは打って変わって、
おしゃれなショップやカフェ、お茶屋さんなど。
全然ロケーションが違うのに、
なぜか韓国・ソウルの北村(プッチョン)が思い出される雰囲気で、
のんびりとお散歩を楽しみたくなる通りです。
道端の緑に目を向けてみると、
早くもツツジやサクラの花がチラホラ。
2月の始めとは言え、
台湾には春がもう、すぐそこまでやって来ているのを実感させてくれます。
ショップの並ぶ界隈を抜けて更に進んでいくと、
現れたのは、穴場なフォトスポット。
九份の街、基隆山、北海岸の青い海が一挙に堪能できる
展望台がありました。
しかも、他には誰もおらず、見事な風景を独り占め。
木々の葉が風にそよぐ音に耳を傾けたり、
道路を登ってくるミニチュアのようなバスやスクーターを眺めてみたり。
九份の魅力は、老街だけじゃない。
山や海に囲まれたこの自然も、立派な九份の魅力なのだと、
イメージを改められる風景が広がっていました。
展望台を下りて、輕便路をさらに進んでいくと、
岩をくり抜いたトンネルが。
九份の老街も『千と千尋』っぽくて素敵ですが、
このひっそりと口を開けているトンネルも、
映画のプロローグっぽくて素敵。
天井から水がぴとぴとと滴るトンネルの向こうには、
本当に神々の世界が広がっていそうです。
ここは「磅坑口」と呼ばれる場所。
かつて輕便路に走っていた台車の通り道として、
築かれたトンネルの一つなのだそうです。
この先は一体、どうなっているのだろうか。
トンネルを抜けると、本当に名前を奪われてしまいそうな、
不思議なオーラがビシビシと伝わってきます。
本当はもう少し先まで行って見たかったのですが、
とりあえず一旦ここで引き返すことに。
そろそろ、今回の滞在先のチェックインが始まる時間。
荷物の重みで肩も痛くなってきたので、
ひとまず今夜のお宿へと向かうことにします。
トンネルの先は、また後のお楽しみに。
「山經」北海岸の海が望める山邊のゲストハウス。
今回の九份で滞在するのは、
「九份山經 JIUFEN THE ORE INN」というゲストハウス。
今歩いてきた「輕便路」沿いにあるレンガ造りの建物が目印。
予約サイトで見たおしゃれなインテリアに惹かれて、
今回の滞在先として、選ばせていただきました。
選んだお部屋は、大きな窓から北海岸の海が望めるクイーンルーム。
コンクリート打ちっぱなしの空間に、
山の斜面を連想させるゴツゴツとした石の壁と、
木目調の調度品がアクセント。
「山のストーリーを伝える」というコンセプトのもと、
山あいの街の趣を取り入れながら、
モダンに仕上げられた空間が広がります。
人波が落ち着く夜になると、
木々がそよぐ音や、虫の鳴き声が聴こえるほど静かな環境で、
ぐっすりカラダを休めることができました。
九份老街や、スタッフさんの教えてくれた
秘密のビュースポットへも歩いてすぐ。
日帰りでは実現できなかったであろう夜の九份散歩を、
時間を気にせずゆっくり楽しめたのは、
この便利なロケーションのおかげでした。
→Agodaで「九份山經 JIUFEN THE ORE INN」の料金をチェックしてみる。
九份の素顔は、狭い路地を抜けたその先に。
チェックインを終えてひと休みした後、
まだ夜ごはんには早い時間だったので、散策を再開。
とは言っても、夜が近づいて来るに連れて、
どんどん人が多くなって来る九份。
老街のごった返すような人出を抜けて、
さらに山の上へと伸びる路地へと、入り込んでみることにします。
一歩足を踏み入れると、
そこに広がるのは、もう一つの九份の顔。
いや、むしろこちらが、
「観光地されていない九份の真の姿」、
と言ってもいいのかもしれません。
斜面に広がる集落内は、
まるで迷路のように張り巡らされた細い階段の道。
遠くに見える基隆嶼や、カラフルな廟の屋根のおかげで、
方向感覚を失うことはありませんが、
どの道を行けばどこにたどり着くのかは、
さっぱり分からない複雑さです。
「ここは通り道なのだろうか?」と、
思わず戸惑うような肩幅ほどの広さしかない道も。
この感じは何となく、
台南で路地裏に入り込んだ時の感覚にも似ています。
先ほどまで山ほど歩いていたはずの観光客の姿はほとんどなく、
階段を上り下りするのは、地元の方たちのみ。
九份という山の街に暮らす人々は、
どのような環境の中で生活しているのか。
この一帯を歩いてみると、
少しだけ垣間見ることができるのではないかと思います。
路地の迷路を抜けて、一番上まで歩いて来ると現れるのは、
「福山宮」という廟。
こちらの敷地内は知る人ぞ知る撮影スポットなっているのか、
本格的な一眼レフを三脚に構えて、
写真を撮っている人がたくさんおられました。
確かに、ここから望む風景は、九份で一番美しいかも。
180°完全に開けた高台からは、
先ほどまでいた老街が小さく見えるほど、
圧倒的なスケールの風景が広がります。
廟の裏側に伸びる道路「瑞爽公路」のカーブも
何だかすごく絵になって、車の広告撮影もできそうな凛々しさ。
ツーリング好きの方には、
たまらないロケーションかもしれません。
※ただし、道の両側には台湾のお墓が広がっています。
道路を挟んで反対側に広がるのは、
かつて九份とともに金鉱として栄えた金瓜石の景色。
翌日ちょうど足を運ぶ予定でもあるので、
山の上から一望していると、少しずつ高揚感が湧き起こってきました。
それにしても、今の今まで、
九份にこんな場所があるとは全く知らなかった。
時には、王道のレールから外れてみるのも、悪くないものです。
まとめ
今日は、九份だけで1泊2日一人旅行(前編)でした。
旅の後半は、泊まりがけだからこそ体験できる夜の九份と、
九份と合わせて足を伸ばしたい歴史スポットへ。
九份からの帰り道も、いつもと違った
ちょっとハード(?)な方法を試してみることにしました。
ツアー客が帰った後の九份で見られる、街の景色とは?
そして、九份からの超マイナーな帰り方とは?
続きは、後編で書いていきますね。
おまけ:本日の台灣男子
『本日の台灣男子』は、僕が台湾の街で出会った台湾男子たちを、
思わず胸キュンしてしまったエピソードと共に、イラストで綴るインスタアカウントです。
時にかっこよく、時にかわいく、時にゆるゆるな台湾男子の魅力は、
ID:todaystaiwaneseboy に詰め込んでいますので、
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