台湾中部の都市・台中でも一大イベントが開催!国民投票前最後のパレードで伝えられたLGBTコミュニティからのメッセージとは?
こんにちは!今年6つ目のLGBTプライドを歩いてまいりましたMae(@qianheshu)です。
先月末の10月27日(土)には、台北でアジア最大のLGBTプライド「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」が開催されました。
参加者13万7,000人と、同性婚合法化決定のニュースが駆け巡った昨年をもさらに上回る記録的なパレードには、日本から参加された方も少なくないかもしれませんね。
そして、先週末の11月10日(土)には、台北に引き続き台湾中部の都市・台中でもLGBTプライドが開催!
今年は、台北のパレードも国民投票に関する話題一色となりましたが、その勢いは台中の街へも受け継がれることになりました。
そして、イベント後のステージでは、台湾の超人気アーティストも登場!
一緒に参加していたボーイフレンドも大ファンということで、最後まで大はしゃぎしておられました 笑
台北のパレードから2週間後に行われたパレードは、一体どのようなイベントとなったのか?
今日は、「台中同志遊行(台中LGBTプライド)」当日の様子をご紹介したいと思います。
台中が目指すべき多様性とは?「誰もが住み良い街」のためにパレードを歩こう。
2018年台中同志遊行(台中LGBTプライド)の会場となったのは、
台中の繁華街・一中街にほど近い「台中公園」。
中央に広がる日月湖をぐるりと取り囲むように、
LGBT関連団体やレインボーグッズを扱うブースが立ち並ぶ公園内。
前進するのもやっとなほどの、ものすごい人出です。
公園内の湖では、レインボーフラッグを持ったかわいいカップルが、
ボードを漕ぎ漕ぎしておられました。
特設ステージ前も、パレード出発前からパワー全開の参加者たちでぎゅうぎゅう状態。
出発30分前ですでにこの盛り上がりとは…
今年のパレードは、昨年にも増してグレードアップしたものになりそうです。
会場に着いて「台中ならではだなあ」と感じたのが、
ベトナムやインドネシアなど、東南アジア各国からの参加者の姿にもしばしば出会えること。
おそらく旅行者ではなく、台中やその周辺の県で暮らしている方たちと想像しますが
(台湾には、東南アジア各国から働くためにやって来る方がたくさんおられます)、
首都・台北よりも明らかに強い彼らの存在感。
友人たちや恋人と共に、LGBTプライドへ参加している様子からは、
台中という街が目指すべき「多様性」のあり方を垣間見れたような気がします。
今年のテーマは、「幸福路上 同心未泯」。
台湾一住みよい都市と言われている台中は、
「本当にあらゆる人にとって、住みよい都市になっているのか?」
パレードを通してもう一度、この課題についての提起を行っていくことになります。
台中市蟬聯兩年宜居城市第一名,
在這個譽為友善的城市中,仍有不少人如身心障礙者、家暴與性犯罪之受害者
及相對人乃至同志族群,卻在主流價值中被邊緣化。
所謂的宜居城市,應該是讓所有在這片土地上生活的人們都得到應有的尊重。
「幸福路上・同心未泯」讓我們回到小時候的純真,
在家中每個人都可以做自己,不必隱瞞、不必害怕、沒有欺騙、沒有傷害。
『異』『同』站出來,走向幸福。
出典:2018台中同志遊行:LOVE-On The Way「幸福路上.同心未泯」| flyingV
台中市は「最も住み良い都市」として、2年連続でNo.1に輝いています。
しかし、この栄誉の一方で、心身に障がいを抱える人、
家庭内暴力や性犯罪の被害を受けた人、そしてセクシャルマイノリティの人など、
少なからぬ人たちが主流の価値観の中で、
依然として光の当たらない場所へと追いやられています。
真に住み良い都市とは、
「この土地に暮らすあらゆる人が尊重される都市」であるべきではないのでしょうか?
「尊重の心を忘れない、幸福の道へ。」
純真だった子供時代のように、ありのままでいられ、隠す必要も、恐れる必要もなく、
騙すことも傷つくこともない、そんな「家」を目指して。
異性を愛するあなたも、同性を愛するわたしも、共に歩いていきましょう。
訳:Kazuki Mae
参加者1万5,000人! PM2.5に屈せずレインボーに染まる台中の街。
パレード開始の合図とともに、会場から出発して行くのは、
全長20mほどもあろうかという巨大レインボーフラッグ。
会場内に集まっていた参加者たちも、「待ってました!」とばかりに、
一斉に台中の街へと飛び出して行きます。
パレードの行われた当日は、
PM2.5の影響により、空気の状態がかなり芳しくないタイミング。
「屋外活動は控えるように」との注意が出るほどの状態ではありましたが、
当事者たちの「真の平等」を求める決意の固さは絶対。
文字通り身を削ってでも、このパレードを成功させたいという思いが、
ひしひしと伝わって来ました。
演奏をしながら場を盛り上げるマーチングバンドや、
HIVに関する理解を訴えてまわるグループ、
メッセージボードを掲げて歩く個人の参加者など、
思い思いに行動を起こしながら歩いていくパレード隊列。
みんな本当にいい笑顔で、このイベントを心から楽しんでいる姿が印象的でした。
歩道橋からパレードを眺めてみると、最後尾が全く見えないほどの大隊列。
イベント後に発表されたニュースによると、参加者はおよそ1万5,000人。
実際にパレードを歩いていると、もっと大きな数字でもおかしくないと思うくらい、
とにかく勢いがありました。
回を経るごとにものすごいスピードで規模を拡大しているのは、
台中LGBTプライドの特筆すべきポイントかと思います。
関連記事→【台中同志遊行1.5萬人相挺 市役所升彩虹旗 | 蘋果即時】
「兩好三壞!」国民投票前最後のLGBTプライド。
この驚異的な成長スピードの裏にあるのはやはり、
婚姻の平等と性別平等教育に関する「国民投票」。
台中LGBTプライドが行われたのは、投票が行われる2週間前という、直前のタイミング。
国民投票前に行われるLGBTプライドとしては、これが最後のチャンスでもあるので、
パレードでも投票に関する正しい理解を促すために、
多くのメッセージが投げかけられていました。
キーワードは「兩好三壞」。
これは、支持派の提案した2つの項目には「同意」票を、
反対派の提案した3つの項目には「不同意」票を投じましょう、
という意味の言葉。
一人でも多くの方が、国民投票に参加してもらえるよう、
そして多様性のある社会に向けて、正しい決断をしてもらえるよう。
LGBTコミュニティとしての立場を、沿道に集まる人たちへ伝えながら、
台中の街を歩いてまわりました。
台湾国籍を持っていないため、僕には投票する権利がありません。
同性のパートナーとともにこの国に生きている一人として、
票を投じたい気持ちは山々なのですが、
ただ結果を見守ることしかできないのが、もどかしくもあります。
でもこれまで、彼らの努力をずっと間近で見てきました。
今日もコンディションの悪い中、こんなにも多くの方がこの場所に集いました。
だからこそ、この国の人たちはきっと、前に進むことを選んでくれるはず。
必ずや、多様な未来に向けてきっと、良い結果が出てくれるはず。
僕は、そう信じています。
関連記事→【公投該怎麼投?平權路上,兩好三壞 | 女人迷 Womany.net 】
台湾の有名アーティスト・戴愛玲さんも登場!ステージから社会に向けて伝えられたメッセージ。
パレードを歩き終わって会場へと戻ってくると、特設ステージでのパフォーマンスタイムに。
地元出身アーティストの方の歌声や、参加団体のスピーチ、
それぞれのメッセージに耳を傾けながら、
台湾のこれからについて、ステージ前に集まった全員で考えを深めていきます。
「どうかみんな、身の回りの10人に投票を呼びかけて!」と、
最後のひと押しをするのは、婚姻平權大平台の呂欣潔さん。
国民投票を成功させるためには、およそ500万票の同意票に加え、
かつ同意票の得票数が反対票を上回らなければならない、
という条件が課されています。
この条件をクリアすることは、
社会において少数派とされているLGBTコミュニティにとって、
決して容易なことではありません。
だからこそ、力を集結しての行動が重要なのだと、
再確認させられるお話となりました。
「投票には、一番リーダーにしてはいけない人を当選させないための役割もある」
と語るのは、YouTuberの泰辣さん。
とても残念なことではありますが、
婚姻の平等や性別平等教育を支持しない候補者もたくさん存在している、現在の台湾。
一票の力は小さなものかもしれないけれど、その一票で確実に変えられることもある。
「(当事者として)これまでに体験してきたことを、社会に知ってもらわなくてはいけない」と、
真に迫るスピーチで会場を一体にしておられた姿が、すごく印象的でした。
また、今回のLGBTプライドで司会を務めた、同じくYouTuberの龍龍さんも、
自身のセクシャリティを巡って家庭内で起こったエピソードについて披露。
涙をこらえながらのスピーチに、ステージ前の集まった参加者たちからは
多くのエールが投げかけられていました。
そして、台中LGBTプライドで忘れてはいけないのが、
毎年台湾の有名アーティストが務める「彩虹大使」によるライブパフォーマンス。
今年は、LGBTコミュニティからも絶大な人気を誇る実力派ソンガー・戴愛玲さんが登場!
「このイベントよりも重要なことってないでしょう?」と、
他の仕事を断ってまで会場に駆けつけたという彼女の力強い歌声に、
一緒に参加していた僕のボーイフレンドも大はしゃぎしておりました 笑
心揺さぶられる数多くのメッセージを発信しながら、
幕を下ろした2018年の台中LGBTプライド。
大成功を収めたその一方で、
いよいよハードルを飛び越えるための踏み込み段階に入った、
緊迫感も漂うイベントとなったように思います。
まとめ
今日は、台中同志遊行(台中LGBTプライド)2018当日の様子をご紹介しました。
国民投票前最後のLGBTプライドとなった、今回の台中のパレード。
台北のLGBTプライドと同じく、今年は昨年にも増して、
メッセージ性の強い、熱のこもったイベントを体験させていただきました。
来年はこの街でも、「真の平等」が実現されていることを、
「あらゆる人に住み良い都市」へさらに一歩近づいた進化の時を迎えていることを、
期待せずにはいられません。
そして、2018年台湾のLGBTプライドシーズンもいよいよ大詰め。
来たる11月25日(日)には、台湾南部の都市・高雄にて
「高雄同志大遊行(高雄プライドパレード)」が開催されます!
こちらは、国民投票を終えた翌日の開催ということで、
開票の結果によってどのような主張のされるイベントになるのかが、興味深いところ。
とても貴重なタイミングになるかと思いますので、
「台湾の今」を肌で感じてみたい方は、ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか?
おまけ:本日の台灣男子
『本日の台灣男子』は、僕が台湾の街で出会った台湾男子たちを、
思わず胸キュンしてしまったエピソードと共に、イラストで綴るインスタアカウントです。
時にかっこよく、時にかわいく、時にゆるゆるな台湾男子の魅力は、
ID:todaystaiwaneseboy に詰め込んでいますので、
ご覧いただけるとうれしいです!
▼こちらの記事もよくお読みいただいています!▼
→同性婚合法化決定から1年の台湾で今起こっていること。思わぬ方向へと動き出した「婚姻平權(婚姻平等の権利)」の行方は?
→高雄同志大遊行(高雄プライドパレード)レポート。2017年台湾最後のLGBTプライドを1万5000人と共に歩いて来ました。
→台中同志遊行(台中LGBTQIAプライド)2017レポート。参加者5倍へと急成長でイベント史上最大規模に。
→台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)2018レポート。13万人の巨大パレードが伝え歩いた台湾の未来を左右するメッセージとは?
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