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同性婚合法化決定から1年の台湾で今起こっていること。思わぬ方向へと動き出した「婚姻平權(婚姻平等の権利)」の行方は?

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2018年台湾最初のLGBTプライド「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」で婚姻平權フラッグを身にまとう参加者

同性婚合法化は決まったはずなのになぜ?台湾で今起こっている新たな動きを、みなさんはご存知でしょうか?

こんにちは!台北で台湾人ボーイフレンドと暮らしてもうすぐ6年、LGBTの「G」にあたりますMae(@qianheshu)です。

先日、ブログにこんなコメントをいただきました。

「最近の台湾の同性婚の状況について、教えていただけないでしょうか?」

すでにご存知の方も多いかと思いますが、昨年2017年5月に台湾で同性婚が合法化されるとの発表がなされました。

実現すればアジアで初めて同性婚合法化を実現した国になるということで、世界中にこのニュースが駆け巡ったことは、台湾で暮らす当事者の一人としても、とても喜ばしく思っています。

この記事を書いている2018年7月現在、その歴史的な発表から1年ほどが経ったことになりますが、実はこの同性婚合法化を巡って、また大きな出来事が起こりつつあります。

今、台湾の「婚姻平權(婚姻平等の権利)」はどこへ向かおうとしているのか?

今日はいただいたコメントに対するお答えということで、現在の台湾の同性婚をめぐる事情についてまとめてみたいと思います。

 


台湾の同性婚合法化は、現在どこまで進んでいるのか?

2018年台湾のLGBTプライド「宜蘭驕傲大遊行(宜蘭プライド)」の会場で配布されたシール

台湾で、同性婚合法化決定の発表がされたのは、2017年5月。

 

「同性カップルに婚姻の権利を認めない現状の法制度は違憲である」との見解が、

憲法解釈の結果として公布されました。

 

また、この発表の中には同時に、

「2年以内に、民法改正または新たな法律を制定し、

あらゆる人が平等に婚姻制度を利用できるようにすること」とのタイムリミットも。

 

これに従えば、遅くとも来年2019年5月末には、

同性カップルでも(むろん国際カップルでも)結婚ができることになります。

 

アジアでは初めてとなる歴史的な発表を受け、

このニュースが世界中から注目を集めたのは、皆さんも記憶に新しいところではないでしょうか。

 

【関連記事→『台湾:婚姻平権を追う』「同性婚不可は違憲。」これから台湾はどう変わる?】

 

2018年台湾最初のLGBTプライド「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」でメッセージボードを掲げるグループ

そして、その発表からおよそ1年と2ヶ月が経った現在。

状況はどうなっているのかというと…

 

非常に残念なことに「合法化に向けて、何一つ動いていない」というのが現状です。

 

「どのようなカタチで合法化を実現するのか」という方向性すらも、

未だ示されていない状況にあります。

 

タイムリミットまであと10ヶ月と、

すでに半分以上の時間が過ぎてしまっているにも関わらず、です。

 

同性婚合法化の討論が進んでいない理由。

高雄同志大遊行(高雄レインボーパレード)2017でにじいろのプラカードを掲げる参加者

合法化に関する討論が進んでいない大きな理由の一つとして挙げられているのは、

今年11月末に行われる予定となっている「九合一選舉」

 

この選挙は、台湾にとって総統選挙に次ぐ重要イベント。

 

台湾各都市の市長や県長、市議会議員など、その地域のリーダーたちを一斉に選ぶ選挙であり、

当然ながら国全体の政治にも、大きな影響を与えることになります。

 

アジアの中でも、LGBTに関する理解と討論が進んでいる国として知られている台湾。

 

しかしそれでも、「同性婚」というテーマに関しては

支持する人、反対する人、意見が別れているのが現実です。

 

そのため、合法化を進めることで、選挙にどのような影響が出るのか、

現政権が非常に慎重になってしまっているのが、討論の進んでいない理由と言われています。

 

しかし、同性婚合法化決定は、

台湾に生きる当事者の人々が30年以上もの努力の末にようやく勝ち取った希望。

 

あらゆる人に認められるべき権利を討論するに当たって、

「票」のためにそのような態度を続けている政府が、

消極的と捉えられてしまうのも無理はないかと思います。

 

反対派による「国民投票」実施の可能性。

2018年台湾のLGBTプライド「宜蘭驕傲大遊行(宜蘭プライド)」パレードで掲げられた国民投票に関するメッセージボード

そして、ここに追い打ちをかけるかのように浮かび上がってきたのが、

同性婚に関する「国民投票」の可能性

 

反対派団体によって提案されたものですが、

この内容(以下の3項目)を巡って、台湾ではまた新たな波紋が広がっています。

 

1. 你是否同意民法婚姻規定應限定在一男一女的結合?

(あなたは、民法の婚姻規定が「男女カップル」に限定されるべき、という考えに同意しますか?)

 

2. 你是否同意在國民教育階段內(國中及國小),教育部及各級學校不應對學生實施性別平等教育法施行細則所定之同志教育?

(あなたは、義務教育(小中学校)の段階で、教育部および各学校が子供達に性別平等教育法に基づいたLGBT教育を実施すべきでない、という考えに同意しますか?)

 

3. 你是否同意以民法婚姻規定以外之其他形式來保障同性別二人經營永久共同生活的權益?

(あなたは、民法に定められた婚姻規定以外の別の形式で、同性カップルが永続的な共同生活を送る権利を認めることに同意しますか?)

 

出典:我愛家我公投 (日本語訳:Kazuki Mae)

 

先ほども少し触れていますが、合法化を進める上で可能性のある方法として、

「民法改正」または「新たな法律の制定」の2つが有力視されています。

 

「民法改正」は、現状の民法で男女カップルに適用されている婚姻に関する記述を、

性別にとらわれないカタチに書き直す案。

 

「新たな法律の制定」は、現状の民法で男女カップルに適用されている婚姻とは別枠で、

同性カップルの婚姻のみに適用される新たな法律を作る案。

 

つまり、反対派の主張は

 

「同性カップルの婚姻は、新たな法律を設けることによって、

自分たち(男女カップル)の婚姻とは区別してほしい。

そして子供たちには、LGBTの存在を教えないでほしい。」

 

ということになります。

 

そして、さらに波紋を広げることとなったのは、

この国民投票案が一次審査を通過してしまったこと。

 

「九合一選舉」の投票と合わせて、

上の3項目が実際に有権者に問われる可能性も否定できなくなってきました。

 

支持派も反撃。「国民投票合戦」へ突入中。

2018年台湾最初のLGBTプライド「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」で婚姻平權を訴える参加者

当然、この反対派の動きをおとなしく眺めてなどいられない支持派。

 

「国民投票には、国民投票で!」ということで、

対抗するための3項目を案として提出しています。

 

1. 我支持,以民法婚姻章保障同性別二人建立婚姻關係。

(わたしは、民法婚姻章によって同性二人が婚姻関係を築くことを支持します。)

 

2. 我支持以法律明定,在國民教育各階段內實施性別平等教育,且內容應涵蓋情感教育、性教育、同志教育等課程,以提昇學生之性別平等意識。

(わたしは、法律に明記されているように、義務教育の各段階において、感情や多様性、LGBTに関する課程を盛り込んだ性別平等教育を実施し、子供たちの性別平等意識向上を図ることを支持します。)

 

3. 我同意增訂神聖婚姻專法,加強保障一男一女一生一世之永久共同生活關係。

(わたしは、「神聖婚姻特別法」を増訂し、男女の永続的な共同生活関係をより強く保証することに同意します。)

 

出典:平權前夕・彩虹定義 Facebookページ  (日本語訳:Kazuki Mae)

 

支持派の主張は、

 

「同性カップルの婚姻と男女カップルの婚姻は、

民法によって区別なく完全に同じものとして保障してほしい。

子供たちへは早い段階から(LGBTを含む)多様性について知ってもらいたい。」

 

というもの。

 

また、反対派の国民投票案はキリスト教系団体が主体となって提出されていることから、

3. はかなり皮肉を込めた内容になっている点がユニークです。

 

台湾は、信仰の自由も認められている国。

 

どんな宗教を信じるも個人の自由ではありますが、

人権に関わる討論において、信仰に関わる価値観を持ち出し、

あらゆる人に押し付けようとしている点を風刺しているものと思われます。

 

この支持派から提出された国民投票案の1. と2.も、すでに第一審査を通過。

(3.は現在内容を修正中。)

 

支持派、反対派の各案とも、現在は第二審査に必要となる

「30万人分の署名」獲得に向けて、活動を続けている最中です。

 

ちなみに、非常に強力な資金力のある反対派に対抗するため、

クラウドファウンディングで活動のための資金を募った支持派。

 

わずか2週間ほどで、目標額を上回る

およそ340万台湾ドル(=約1,220万円)の資金調達に成功したことでも話題となりました。

※1元=3.6円で計算。(2018年7月現在)

 

【関連リンク → 平權公投,你來起義!| 噴噴

 

タイムリミットまで残り10ヶ月。焦点は「合法化実現の方法」へ。

2018年台湾のLGBTプライド「宜蘭驕傲大遊行(宜蘭プライド)」パレードで手を繋ぐ同性カップル

支持派、反対派問わず、本当に国民投票が行われるかどうかは

第二審査の結果次第となりますが、実現の可能性は低くないと言われています。

 

11月末の選挙と合わせて行われる可能性がある以上、

これから国民投票に関する討論はますます熱を帯びていくこととなるでしょう。

 

投票の末、当事者にとっては残念な結果が出ることもあるかもしれません。

 

しかし少なくとも、

「2年以内(2019年5月末まで)にあらゆる人が平等に婚姻制度を利用できるようにすること」

という、憲法解釈の結果は無視できないもの。

 

たとえ一番理想的なカタチではないとしても、

同性カップルにも何らかの形式で婚姻の権利が認められることは、

ほぼ間違いないのではないかと思います。

 

【関連リンク → 婚姻平權及同志教育等3件全國性公民投票案經決議函請戶政機關對提案人|中央選舉委員會】

 

2018年台湾のLGBTプライド「宜蘭驕傲大遊行(宜蘭プライド)」パレードで掲げられるメッセージボード

「民法改正」で、全ての婚姻を区別なく認めるのか。

それとも「新しい法律の制定」で、男女カップルと同性カップルは区別をつけた上で認めるのか。

あるいは、それ以外の他の方式で認めるのか。

 

「合法化実現の具体的な方法」が、これから10ヶ月間の焦点となりそうです。

 

まとめ

2018年台湾最初のLGBTプライド「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」で婚姻平權フラッグを身にまとう参加者

今日は、同性婚の合法化決定から約1年が経った台湾の現状

についてまとめてみました。

 

僕は台湾で暮らし始めてもうすぐ6年になりますが、

この間台湾各地のLGBTへ足を運んだり、イベントに参加したりと、

いつも間近で彼らの努力を目の当たりにしてきました。

 

この国民投票をめぐる一件については、

「なぜこのような事態に発展してしまったのか」と、

当事者の一人としても残念に感じているのは確かです。

 

当事者たちの並大抵ならぬ努力を踏みにじるような出来事の数々に、

心を傷めることも少なくありません。

 

しかしその一方で、支持派の署名やクラウドファウンディングが短時間の間に成功を収める、

そんな力強さに感動もしています。

 

だからきっと、いい結果が待っていると、信じずにはいられないのです。

 

外国人である僕には、投票の権利も、

彼らの決定に口を出す権利もないことは重々承知しています。

 

それでも、何かできることはあるはず。

 

この土地に生きている一人として何ができるのか、

日々自身に問いかけながら、台湾でのこれからの10ヶ月を過ごしていきたいと思います。

 

【関連報道】

→ 一場自欺欺人的反同婚公投,最終受傷與付出代價的還是同志社群|The News Lens 關鍵評論

→ 中選會通過反同公投,三個公投內容是什麼,我們可以如何行動?|女人迷 womany.net

→ 台湾、同性婚承認の民法改正に不穏な空気。反対派が「3つの国民投票案」を提出。| fair

 

▼こちらの記事もよくお読みいただいています!▼

→台湾の会社で全社員に同性が好きであることをカミングアウトしたら、意外な反応が返ってきた。

→台湾はいつから同性婚ができるの?台北在住LGBT(ゲイ)の僕がよく尋ねられる疑問にお答えします。

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コメント

  1. ダイ より:

    kazukimae さん、はじめまして。以前から少しずつkazukimaeさんのホームぺージをのぞかせてもらっていました。自分も台湾人のボーイフレンドがいるのですが、長距離恋愛中で、台湾の同性婚の件のアップデートが気になっていました。メールで探してみても何がどうなっているのかさっぱり情報がなくて、おまけに台湾の友達たちの説明も、なんだかよくわからなくて、笑)今回のこの情報は本当に助かりました。ありがとうございました! 

    1. kazukimae より:

      お役立ていただけたようで、うれしいです!
      また定期的に、同性婚についての記事も更新していきますね!
      ちなみに、婚姻の平等支持に関する国民投票署名は無事必要数を突破したようです。
      これからの動きにも注目ですね!

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