こんな料理、知らなかった!「食」をきっかけに広がる、家族や店主の物語。台湾の食文化をテーマにした、お気に入りのエッセイをご紹介します。
こんにちは!台湾での生活も丸12年を過ぎました、台北在住のMae(@qianheshu)です。
おいしいものに目がない僕ですが、新たな知識を吸収するために心がけているのが、「食」に関する本を読むこと。
図書館や書店でグルメ録や家庭料理、お菓子などに関する本を見つけると、手に取らずにはいられなくなるほど、よく読むジャンルの1つです。
もちろん、台湾で暮らしてるからには、台湾の食文化に関する本にも興味津々。
そこで今回は、僕が読んだことのある本の中から、台湾の食文化に触れられるエッセイ3作品をご紹介したいと思います。
おいしいお店情報や料理レシピの本も楽しいですが、ここで取り上げるのは、それぞれの筆者ご自身が紡いできた記憶や歴史、おいしさの裏に込められたバックストーリーなどに触れられる、そんな本たち。
旅の参考というよりも、食を通して現地の空気や文化を感じたい、そんな時にピッタリの作品を集めてみました。
1.【ママ、ごはんまだ?】母のレシピから紡がれる、家庭の記憶。台湾と日本の文化の違いにも触れられる、一青妙さんご執筆のエッセイ。
最初の1冊は、
2017年に映画化もされた、
一青妙さんご執筆の
『ママ、ごはんまだ?』。
ご実家を整理している時に見つけた、
母がのこした
料理レシピの走り書きや
手紙の数々。
そこから思い起こされる、
台湾と日本という
2つの土地で過ごした
幼き日々の記憶を交えながら、
「食」を中心に広がる
母と娘の物語が
紡がれていきます。
作中には、お粥やちまき、
豚足などにまつわる、
ユーモラスで、
時にエモーショナルな
お話がたっぷり
詰まっているのですが、
特に印象にのこっているのは、
「大根餅」のエピソード。
台湾では、
朝ごはん屋さんの
定番メニューとして定着しており、
僕にとっても身近な存在ですが、
まさか、一から作ろうとすると、
あんなにも手間が
かかるものであったとは…
一青さんのお母さまが
手作りしていた味は、
外食でしか食べたことがない
僕が知っている味とは、
全くの別のものなのかもしれない。
一青さんの慣れ親しんだ大根餅って、
一体どんな味だったんだろうと、
想像は、ますます膨らむばかりです。
また、台湾と日本での
文化や生活様式の違いにまで
話が発展されているのは、
どちらの土地でも
暮らしの体験がある
一青さんならでは。
お弁当のスタイルの違いや、
大同電鍋の良さなど、
僕も共感できる部分が
たくさんあって、
頷きも交えながら
読み進められました。
2.【オールド台湾食卓記】迪化街や伝統市場でのお買いものエピソードにワクワク。祖母・母・筆者の3代が「食」で繋ぐ、家族の物語。
僕自身、12年にわたる
台北での生活の中で、
たくさんの台湾のごはんを
食べてきました。
それでも、洪愛珠さんご執筆の
『オールド台湾食卓記』には、
まだまだ知らなかった
料理がたっぷり。
「兜麵」「芋棗」など、
名前だけ聞いても
一体どんな料理なのか、
全くピンとこない。
外食ではお目にかかれないような、
台湾の家庭料理が続々と登場する
おもしろさに
駆り立てられるように、
約300ページにわたる
ボリュームながら、
一気に読み進めてしまいました。
そして、一番に印象的だったのが、
祖母、母、筆者の3代にわたって
行きつけているお店での
お買いものエピソードたち。
迪化街や伝統市場での
食材調達の様子は、
読んでいるだけで
ワクワクさせられて、
登場したお店に
「ぜひ1度行ってみたい!」と、
Googleマップを
片手に開きながら
読み進めておりました。
洪愛珠さんの生まれ育った街・
蘆洲の名物グルメとして
「切仔麵」もたびたび登場しており、
台北市内と近い場所ながら、
一体どのように違っているのかにも、
興味津々です。
こちらの作品は、洪愛珠さんが
お母さまの大病をきっかけに
綴り始めた、
「食」のまわりに紡がれていく
家族の記憶。
ワクワクさせられるのと同時に、
ほろりと込み上げるような
お話も書かれており、
感情面でも深い味わいを
感じさせてくださる1冊と
なっています。
また、留学先のイギリスで
滷肉を仕込むお話や、
旅で訪れた
バンコクやジョージタウン、
香港、マカオで食べたグルメなど、
海外でのエピソードも
とても興味深いので、
ぜひお読みいただきたい
ポイントです。
3.【台湾レトロ氷菓店】長年愛され続ける老舗冰果室を巡る旅。1杯のかき氷に込められた店主の想いから、グルメの真のあり方が見えてくる。
『台湾レトロ氷菓店』は、
台湾に息づく豊かな食文化の中でも、
「冰果室」をテーマに綴る1冊。
筆者の
ハリー・チェン(陳嵩嵐)さんが、
「僕の人生に欠かすことのできない風景」
として挙げる冰果室とは、
かき氷やアイスなどの
冷たいスイーツや飲みものを楽しめる
昔ながらのお店のこと。
時には、朝食や小吃を
扱っていることもあって、
オールマイティに
立ち寄れるスタイルが、
台湾ならではの食文化だと
気づいたことから、
ハリーさんは、
台湾中の老舗冰果室を巡る
旅を始めます。
作中では、
その旅の中で出会った
22軒の冰果室を、
写真と文章で紹介。
メニューや店主さんに秘められた
バックストーリーに
大きく焦点が当てられており、
ただのおいしいお店紹介とは
一線を画している点が、
この1冊ならではの特徴です。
もはや再現不可能な設備を
現在も大切に使い続けているお店、
かき氷のトッピングを
薪を燃やしたかまどで煮込むお店、
かき氷用の氷を
かんなや包丁で手削りする屋台。
この本を通して、
昔ながらのやり方にこだわり続ける
店主さんたちの想いに触れたことで、
現代のグルメのあり方を
改めて考えるきっかけを
与えてくれたように思います。
巻尾に綴られている、
アイスクリームディッシャーや
伝統陶器などを手仕事で
作り続けてきた、
職人さんたちのお話にも注目です。
+1.【台北生活の21食】台北暮らしの毎日は、一体どんなごはんを食べている?現地在住会社員のとある1週間のグルメ録。
そうそうたる作家さんたちの
作品と一緒に並べて良いものか、
だいぶ迷いましたが、
せっかくなので+1として。
実は僕も、台湾での食に関する
電子書籍を(自費出版にて)
発売いたしました。
『台北生活の21食:
台湾での元気を支えてくれた
1週間のグルメたち』
は、台北で会社員をしている
僕のとある1週間の
食事を記録した、
小さなZINEのような1冊。
現地スーパーで調達した
食材で作る朝ごはんや、
人気の高まっている
ヘルシーお弁当でのランチ、
夜市近くローカル店でいただく
薬膳スープの夜ごはんなど。
朝・昼・夜、合わせて、
21食分の食事について
書いています。
旅のグルメとは少し違った、
より生活感あふれるような
作品を目指して、
デザインも自作にて
チャレンジしてみました。
台北暮らしでは一体、
毎日どんなごはんを
食べているのか?
Amazon Unlimited に
ご加入済みの方は、
無料でもお読みいただけますので、
ぜひお手に取っていただけると
うれしいです。
まとめ
今日は、
台湾の食文化に触れられる
エッセイ本3冊+1
を、ご紹介しました。
ただおいしいだけじゃない、
台湾の食文化を
もっと深掘ってみたい方へ。
台湾のごはんを知っている方にこそ、
楽しんでいただける作品ばかりかと
思いますので、
読書のおともをお探し中の方は、
ぜひ読んでみてくださいね!
▼ こちらの記事も、よくお読みいただいています! ▼
→ 電子書籍『台北生活の21食』を発売しました!執筆からデザインまで自作した、この本が生まれるまで。
→ 台湾漫画のおすすめ5作品。歴史やLGBTをテーマにしたお気に入りを集めました。
→ 台湾おみやげ探しの参考にしたい3冊の本。現地文化や生活風景も垣間見える、お気に入りの作品をまとめました。
コメント