2018年台湾で2つ目のLGBTプライドが開催!東部の街・宜蘭で初めて行われたパレードに参加してまいりました!
こんにちは!今年も台湾全国のLGBTプライドへ足を運ぶ気満々のMae(@qianheshu)です。
台湾では今年、全国で6つのLGBTプライドが行われると発表されています。(【2018年台湾の6大LGBTプライド開催スケジュール。】をご参考ください。)
このうち第一弾となる、台湾南部の都市・台南で開催された「台南彩虹遊行(台南LGBTプライド)」は、イベント史上最大となる参加者を集めたことで話題に。
他都市を上回る勢いで規模が一気に拡大し、LGBTを巡るテーマへの注目の高まりを肌で感じたパレードとなりました。
そして先日、台湾東部の都市・宜蘭でも、第二弾となるLGBTプライドが登場!
5月26日(土)に行われた「宜蘭驕傲大遊行(宜蘭プライド)」に、僕もボーイフレンドと共に参加してまいりました。
彼の故郷であるという個人的な思い入れと、今年が初めての開催であるということにプラスして、注目のポイントはもう一点。
昨年、台湾で同性婚合法化決定の発表があってから、ちょうど1年という節目の時期にも当たっていたため、どのようなイベントになるのか、参加前から非常に興味をもっておりました。
今日は、イベント上で触れられたLGBTに関連するお話なども含めて、台湾東部の先陣を切るLGBTプライド「宜蘭驕傲大遊行(宜蘭プライド)」当日の様子をご紹介したいと思います。
ほのぼのとした雰囲気が魅力?宜蘭プライドまもなく出発。
今回の集合場所となったのは、
台鐵(台湾鉄道)・宜蘭駅のすぐ目の前にある「丟丟噹森林」。
宜蘭出身の絵本作家・幾米さんの作品にちなんだ、
大きな列車のオブジェが頭上を走るかわいらしい広場は、
宜蘭を代表する観光スポットとしても知られている場所。
ここに、この日は台湾中から、LGBTプライドへの参加者が続々と集まってきていました。
会場内ブースでは、宜蘭驕傲大遊行オリジナルのグッズやドリンクの販売も。
有名スポットということもあって、パレード参加者だけでなく、
たまたま訪れた旅行客の方も興味深そうに散策されていました。
花蓮や台東と同じく、台湾東部に位置する宜蘭も、
台湾原住民族の人々が多く暮らす土地として知られています。
参加者の中には、原住民族の伝統衣装に身を包んだ男子の姿も。
色鮮やかでカラフルな衣装が、
レインボーフラッグはためく会場によくマッチしていて、カッコいいです。
ブースを眺めながらふらふらと歩いていると、
パレードのスタッフさんより渡された正方形の紙。
「メッセージを書いてほしい」とのことで、
さっそく宜蘭出身ボーイフレンドが気合いを入れて、綴り始めました。
書きあがったカードは、会場内のオブジェへ自由に貼り付け。
すでにたくさんのメッセージが並んでいて、
参加者一人一人のパレードに向けての意気込みが感じられます。
ステージ上でのアナウンスも始まり、パレード出発はもうすぐ。
とは言え、「オー!!!」と掛け声をあげる血気盛んな雰囲気というよりは、
司会者も参加者も、みなさんほのぼのと楽しんでいる感じ。
それがまた心地よくもあり、宜蘭ならではの特色、といったところでしょうか。
「フレンドリーな宜蘭を目指して、あなたと共にパレードを。」
今年の宜蘭驕傲大遊行のテーマは「宜蘭勁友善,遊行有你伴」。
初めての開催となる今回は、まさにLGBTプライドを歩く機動力とも言える
「当事者の存在を知ってもらいたい」という部分に焦点が当てられています。
因為看不見社會中支持的力量,
孤身的性少數在生命中很難透出光亮,
總是對我這個身分帶給他們的壓力倍感困擾與沮喪。
第一屆遊行標語定為「宜蘭勁友善,遊行有你伴」
就是為了呼應這件事情。
我們邀請大家走上街頭,
透過不分族群現身的支持,
讓位在暗處的性少數們都能不再孤單與無助。
出典:RED TURTLE 讓好事不斷發生:第一屆宜蘭驕傲大遊行
社会の中に支持の力が見えないために、
未だ一人きりで、光のない暗闇の中に閉じこもらざるを得ない
LGBT当事者が存在しています。
これは私たちにとって、非常に辛く、悲しいことではないでしょうか。
初開催となる今回のテーマを
「宜蘭勁友善,遊行有你伴(フレンドリーな宜蘭を目指して、あなたと共にパレードを)」
と定めたのは、この状況をより多くの人に知ってもらえるよう呼びかけていこう、
という願いからです。
あらゆるコミュニティに属するみなさん、
「あなたは孤独ではない。サポートはここにある!」ということを、
パレードを歩くことで伝えていきませんか。
訳:Kazuki Mae
僕は今でこそ、私生活でもブログでもセクシャリティをオープンにして
毎日を送ることができていますが、
「男性でありながら男性に惹かれる自分は、誰とも分かり合えないのでは?」
と、悩んでいた時期もありました。
もしそのタイミングで、同じ感覚を持つ当事者の方たちに、
パレードというカタチで出会っていたら。
あるいは、パレードが行われるというニュースを耳にして、
「自分は一人きりではない」ということを確認できていたら。
それだけでも、自分に自信を取り戻すきっかけになっていたのではないか、
と想像できます。
だからこそ、この宜蘭という場所でも新しくパレードが生まれたことを、
当事者の一人として大歓迎せずにはいられません。
沿道からのエールに愛を感じたパレード。
「パレード始めま~す!みなさん会場入り口に集合で~す。」
特に気合いの入ったカウントダウンもなく、
なかなかにゆるいアナウンスで、まったりとパレードは開始 笑
巨大レインボーフラッグを先頭に、集合を終えたグループから、
ゆったりと街へ繰り出していきます。
先導車からは、イベントのスローガンを叫びながら、パレードを導く主催者たち。
呼びかけに応じるように元気よく続く参加者たちも、
いざ歩き始めるとすっかり一丸となって、力を合わせてメッセージを伝えていきます。
あいにくの曇り空ながら、湿度が高く、
じっとりと暑い天気のもとで行われた今回のパレード。
みんな汗だくになりながらも、力強く(しかし力みすぎずの絶妙なパワー加減で)、
およそ2時間の道のりを歩いていきます。
手を繋いで、仲良くパレードを歩くカップルの姿もたくさん。
台北では街を歩いていてしばしば目にする光景ですが、
宜蘭(はもちろん、他のあらゆる場所)でも少しずつごくありふれた風景として、
生活の中に浸透して行ってくれるといいなあ、と願っています。
レインボーフラッグを持って登場するや否や、
瞬く間に注目とカメラのレンズを我がものとする、ちびっ子。
校門から身を乗り出して手を振る補修授業中(?)女子学生グループや、
レインボーのワンピースを身につけて、家の窓辺からエールを送る
寝起き風(??)なおばさんも登場し、
非常にフレンドリーな空気を感じることができたのも印象的です。
さらに、パレードのポスターやフラッグを掲げて、
イベントを応援するLGBTフレンドリーなショップも。
こちらのドリンクスタンドは、参加者のために無償で(!)飲みものを配るという
特別サービスも展開していました。
しかも、カップに貼られたシールをよくよく見ると、
「自由的愛 [無價] (自由な愛 [プライスレス] )」のメッセージ。
こんなにも粋な計らい、台北のLGBTプライドでも出会ったことがないので、大感激でした!
「屋麥」というお店ですので、宜蘭へお越しの際はぜひ。
「婚姻平權(婚姻平等の権利)」への道のりを阻む現実。
今回の「宜蘭驕傲大遊行」が行われた日にちは、ある特別なタイミング。
「同性カップルに婚姻の権利を認めない現状の法律は違憲である」との発表が成され、
同性婚合法化への道筋がついたのは、昨年2017年の5月24日。
この発表からちょうど1年後に当たるのが、このパレードの当日でした。
テーマ自体は「LGBTの存在を知ってもらいたい」との設定になっていましたが、
実際のイベントでは、さらに踏み込んでの進行となっていたように思います。
実は、同性婚の合法化に関して、複雑な動きが出始めている現在の台湾。
各都市の市長・市議会議員などを選出する重要な選挙
「九合一選舉」が11月に行われる予定になっているのですが、
そのタイミングに合わせて「婚姻・教育に関連する国民投票」が行われる可能性も。
その内容を巡って今、大きな討論が巻き起こっています。
【関連記事 → 台湾、同性婚承認の民法改正に不穏な空気。反対派が「3つの国民投票案」を提出。| fair 】
イベント中でも、この国民投票に関して言及された場面は少なくなく、
正しい認識を持ってもらうという意味でも、
今回のパレードは大切な役割を担っていたように思います。
また、教育に関しても同様。
LGBTに関する講義が中止に追い込まれたり、
教科書からLGBTに触れる内容の削除要求が出されたりといった事態が、
頻繁に話題に上っています。
これらの出来事を巡って、当事者たちはもちろん、
学生や教師たちも「知る(学ぶ)権利」を求めて、行動を起こしています。
ステージ上でのスピーチでも述べられていたのですが、
こんな時だからこそ「まずは自分の周囲から、理解を呼びかけることが大切」。
同性カップルの婚姻が一番理想的なカタチで実現されるために、
そして、その後の社会をより多様性に満ちたものにするために。
パレードを通して、一人でも多くの方に考えるきっかけを提供できたのであれば、
参加者の一人としてこれほどにうれしいことはないと思います。
ちなみに、パレード後のパフォーマンスは、ほのぼのとした雰囲気とは裏腹に、
かなり思い切った仕上がりのものも。
「初開催にして、この大胆さは大丈夫なのか?」と、
内心歓声を上げつつ、こちらが不安になりそうなくらいでしたが、
通りがかりのおじいちゃんやベビーカーの幼児も含め、
とても楽しそうに眺めておられました 笑
さすがは、フレンドリーな街・宜蘭。
包容力の深さを目の当たりにしつつ、大成功のうちに幕引きとなりました。
まとめ
今日は、2018年台湾の第二弾となったLGBTプライド
「宜蘭驕傲大遊行(宜蘭プライド)」イベントの様子をお届けしました。
宜蘭のパレードを歩いてみて一番印象に残っているのは、
やはり沿道から贈られたエールの数々。
初めての開催とは思えないくらいに、
フレンドリーな空気を街全体から感じることができ、
最後の最後まで楽しみながら参加できるのが魅力かな、と感じています。
まだ来年の開催予定は未定ではありますが、
台北からも日帰りが可能で距離ですので、
参加されてみたい方は、ぜひ今後の情報にも注目されてみてください。
宜蘭驕傲大遊行(宜蘭プライド)
Facebook:https://www.facebook.com/YilanLGBTQIA/
そして、2018年第三弾は、花蓮と台東の台湾東部2大都市合同で行われる
「花東彩虹嘉年華(台湾東部LGBTQプライド)」!
台東では昨年初開催となりましたが、こちらも宜蘭のLGBTプライドと同じく、
「パレードを歩く」意味を改めて思い出させてくれる、
とても意義深いイベントに仕上がっていました。
昨年の様子は
【初開催!台湾・台東のLGBTプライド「花東彩虹嘉年華」を歩いて来ました。】
よりご覧いただけますので、参加されてみたい方はぜひチェックしてみてくださいね!
おまけ:本日の台灣男子
『本日の台灣男子』は、僕が台湾の街で出会った台湾男子たちを、
思わず胸キュンしてしまったエピソードと共に、イラストで綴るインスタアカウントです。
時にかっこよく、時にかわいく、時にゆるゆるな台湾男子の魅力は、
ID:todaystaiwaneseboy に詰め込んでいますので、
ご覧いただけるとうれしいです!
▼こちらの記事もよくお読みいただいています!▼
→台湾LGBTプライド(台灣同志遊行)2017レポート!参加者12万人超でアジア最大規模更新へ。
→台中同志遊行(台中LGBTQIAプライド)2017レポート。参加者5倍へと急成長でイベント史上最大規模に。
→高雄同志大遊行(高雄プライドパレード)レポート。2017年台湾最後のLGBTプライドを1万5000人と共に歩いて来ました。
→LGBTの日常や悩みがよく分かる5冊の本。ゲイである僕の目線からおすすめの作品を選んでみました。
コメント
コメント一覧 (3件)
こんにちは。
私も時間の関係で最初だけでしたが、少し一緒に歩きました。
台北のイベントとは違って、とても穏やかで、のんびりとした雰囲気が私には合ってました。
次回の開催の時はゆっくり参加してみたいなと思いました。
礁渓にしか行ったことが無かったのですが、宜蘭、いい街ですね♪
礁溪は温泉ですが、蘇澳というところまで足をのばすと、冷泉も楽しめます!
夏の暑い日には大人気ですので、機会があればぜひ行かれてみてください。
冷泉!いいですね!
情報ありがとうございます♪次回訪れてみます!