台湾東海岸でもにじいろパワーが全開!「嘉年華(カーニバル)」の名に相応しいお祭り騒ぎのLGBTプライドを歩いてきました。
こんにちは!いよいよ始まった台湾のLGBTプライドシーズンに気合い満点のMae(@qianheshu)です。
2018年は台南の「台南彩虹遊行」、宜蘭の「宜蘭驕傲大遊行」2つのパレードが春に開催されましたが、これから始まる秋シーズンは3ヶ月連続で台湾各都市にてパレードが行われます。
その先陣を切るのが、台湾東部の街・台東と花蓮の2都市合同開催となる「花東彩虹嘉年華(台湾東部LGBTプライド)」。
台風の接近により一時は開催が危ぶまれましたが、軌道が外れたことで(日本にお住いのみなさんご無事でしょうか?)、予定通り週末の9月29日(土)、9月30日(日)の2日間にて行われました。
ここ3年ほど、僕も連続で参加していますが、今回のパレードもこれまで以上にパワーアップ!
11月末には「婚姻平權(婚姻の平等)」に関する国民投票が実施される予定にもなっているため、理解を促すためのメッセージ性も強いイベントとなりました。
今日は、台東・花蓮より2018年台湾秋シーズン最初のLGBTプライドの様子をお届けしたいと思います。
「誰もが違っていて当然。“普通”の基準なんてない。」
「花東彩虹嘉年華(台湾東部LGBTプライド)」は、
今年で第8回目の開催となる台湾東部のLGBTプライド。
「花蓮彩虹嘉年華」として、花蓮で行われていたイベントが前身となっており、
昨年2017年から台東との2都市連携でパレードが行われるようになりました。
今年のテーマは「自然而然 Falling the Flow」。
「誰もが違っていて当然で、“普通”の基準なんてない。それこそが自然なことなのだ」
というメッセージを込めた内容となっています。
テーマと合わせて、
Facebookの公式ページで発表されていた文章がとても素晴らしいので、
こちらで紹介させていただきたいと思います。
位於台灣東岸的我們,是由不同性別、族群、職業的成員所組成,
因為我們有一個共同的夢,
希望讓在這塊令人嚮往的土地上生活的人們,
可以攜手合作去保障每個人平等、自由的權益。
美麗的環境需要共同合作來維護,
而人的價值也同樣不需要被框架所述服,
不應該受到特定價值觀的壓迫而放棄了這份可貴的精神。
愛,其實很簡單,
或許是個簡單的擁抱、或許是熱情的問候與關懷,
又或許是對每個人的夢想都給予支持與鼓勵。
Only One Taiwan,
讓花東能夠成為其他地區的榜樣,
而這個美夢缺你不可,一起來創造翻轉台灣的可能性。
台湾東海岸に生きる私たちは、
それぞれに異なった性別、異なったコミュニティ、
異なった職業の人々で構成されています。
それは、私たちに一つの大きな夢があるから。
人を魅了してやまないこの土地で生活する私たちが手を取り合って、
あらゆる人が平等に、自由に生きることを保障するために他なりません。
美しい環境は力を合わせて守られなくてはいけない、
これは人の価値においても同じではないでしょうか。
カテコライズによって、縛られる必要はどこにもない。
特定の価値観に基く圧力によって、この貴い精神が放棄されるべきではありません。
愛とは、本当はとてもシンプルなものではないでしょうか。
ほんの少し抱き合うこと、言葉を掛け合って気にかけ合うこと、
あるいは一人一人の夢を支持し励ますこと、
そんな些細な行動の中に、愛は存在するものではないでしょうか。
たった1つの台湾。
花東地区がその手本としての役割を担うという美しい夢の実現のためには、
あなたの力が必要です。
今こそ力を合わせて、台湾を変える可能性を作り上げていきましょう。
訳:Kazuki Mae
台湾東海岸に位置する花蓮・台東2つのエリアは、
西側のエリアに比べると、まだまだLGBTの存在が知られていない(表に出しづらい)
状況にあると言われています。
しかし、今回2都市のパレードに参加してみて、
その環境は確かに少しずつ前進しているのではないか、
という印象を受けました。
特に、7年以上にわたってパレードが行われている花蓮では
「存在を知ってもらいたい」という意義は含めつつも、
すでに次のステップへと、話は進み始めているように思います。
9/29(土)台東パレード。灼熱の暑さにも負けない、にじいろパワーを街中へ。
台東での集合場所となったのは、
台東轉運站(バスターミナル)正面にある「新生公園」。
会場には色とりどりの大きなフラッグが飾られ、
この日のための特別な装いに変身していました。
台東でパレードが行われるのは今回が2度目と、
まだ始まったばかりの試みではありますが、
昨年参加した際よりも一段と賑やかになっている印象。
レインボーグッズを並べるお店や、参加団体のブースなどが、
公園をぐるりと囲むように並びます。
参加者にレインボーフラッグを配って、きびきびと動き回るスタッフの方たちの姿には
「このイベントをこの街に根付かせたい!」「イベントを成功させたい!」という、
強い思いがこもっているのを感じました。
巨大レインボーフラッグに先導されながら、パレードは和やかにスタート。
参加者の中には、LGBT当事者だけでなく、
ストレートのカップルや、小さなお子さんを連れて歩く親御さんなどの姿も。
まさに「多様性」を象徴するイベントにふさわしい、
様々なコミュニティの方が、このパレードのために各地から集まっておられました。
当日は、台風の接近によって
開催が危ぶまれていたというニュースが嘘であるかのように、青空が広がる晴天。
むしろ太陽が元気すぎて、始終汗が吹き出るほどの猛暑に見舞われました。
パレードを先導するお姉さまたちも、
参加者を盛り上げる元気いっぱいのエールを送りながら、
衣装や化粧がくずれないよう大変だったのではないかと思います。
ただ、そんな灼熱の気候にも負けず、
「LGBTの存在をもっと多くの人に知ってもらいたい」という一心で、
街を練り歩いていく参加者たち。
沿道から笑顔で見守ってくれる街の方も少なくなく、
パレードに込めた思いはきっと、
台東の街に暮らす人々へと、確かに伝わったに違いありません。
台東と言えば、阿美族(アミ族)、排灣族(パイワン族)、卑南族(プユマ族)など、
古くからこの土地に生きる人々が今も暮らしている街。
彼らは、持ち前の音楽の才能を広く発揮していることでも知られ、
台湾の実力派アーティストの多くも、彼らのコミュニティの中から輩出されています。
そういう背景もあって、パレード後のステージパフォーマンスは、圧巻の一言。
圧倒的な歌唱力で歌い上げる曲の数々がステージ上で披露され、
鳥肌が立つほどにインパクトのあるものばかりでした。
今回のパレードのために制作されたという一曲も披露され、
手作りの歌詞カードを見ながら、参加者混じっての合唱となるシーンも。
ステージが見えなくなるくらい、すっかり日が暮れる時間になっても、
まだまだパワー全開で続くパフォーマンスに、台東らしいエネルギーを感じました。
9/30(日)花蓮パレード。街全体にフレンドリーな空気が満ちるお祭り騒ぎ。
台東パレードの翌日に開催された、花蓮パレードのスタート地点は「花蓮文創園區」。
この日の花蓮は、灰色の雲に覆われた曇り空だったのですが、
うっすらとひんやり感のあるこのくらいの気温が、かえって幸い。
暑さに体力を奪われることがないという意味では、
絶好のパレード日和と言っても良いかもしれません。
到着してまず驚いたのは、会場の賑わい度の変化。
昨年は駆けつけられなかったので、2年ぶりの参加となったのですが、
明らかに参加者の数が増えていて、活気がみなぎっている様子に早々から感動しました。
レインボーフラッグ片手に遊びまわる子供たちの姿なども見られるくらい、
ほのぼのとした雰囲気が心地よいです。
花蓮のパレードは、年を経るごとにどんどんパワーアップ。
パレードカーからはダンスミュージックが大音量で鳴らされ、
リズムに乗りながら元気いっぱいにレインボーフラッグを振る参加者たち。
まさに「嘉年華(カーニバル)」の名にふさわしいお祭り騒ぎで、
街の中心部をくまなく練り歩いて行きます。
沿道からレインボーフラッグを振ってくれる方、エールを送ってくれる方、
あちこちからポジティブなパワーが伝わってきます。
片手で数えられるほどの年齢らしき子供たちから、
僕のおじいちゃんおばあちゃん世代に当たる年配の方まで、
本当にたくさんの方たちが、パレードを笑顔で眺めている姿がとても印象的でした。
また、街のいたるところで、軒先にLGBTプライドのポスターを貼る
フレンドリーショップに出会うことができるのも、花蓮ならでは。
今や、花蓮のパレードは「毎年恒例の一大イベント」として、
市民に広く受け入れられつつあるのかもしれません。
これぞ、まさに「パレードを歩くこと」の真の意義。
同性パートナーシップ制度が未だ認められていないなど、
社会全体へとこのパワーが伝わるには、まだ時間がかかるのかもしれませんが、
それでも確かに前進しているのが、ひしひしと伝わってきました。
パレード後のステージでは、
現地のアーティストの方たちによるライブパフォーマンスに耳を傾けながら、
イベントの成功をお祝い。
1回目の頃からこのパレードを見守ってきた参加者、
そして主催者たちにとってはきっと、忘れられない1日になったに違いありません。
焦点は、婚姻の平等と教育に関する「国民投票」へ。
今回の2つのパレードで、最も大きく叫ばれたメッセージは、
来たる11月24日(土)に行われる国民投票に関すること。
「婚姻の平等をどのようなカタチで実現するのか?」
「教育の場でLGBTに関する知識をどのように扱うか?」が焦点となっているのですが、
今回のパレードには、国民投票への理解を促す意義も多分に込められていたように思います。
詳しくは
【同性婚合法化決定から1年の台湾で今起こっていること。思わぬ方向へと動き出した「婚姻平權(婚姻平等の権利)」の行方は?】
の記事をご参考ください。
プラカードを持っている方、メッセージ入りのTシャツを身につけている方の他、
パレードスタッフも沿道に集まった市民にフライヤーを配って歩くなど、
今後の台湾の方針を左右する重要な1日に向けて、積極的に行動を起こしておられました。
パレード後のスピーチでは、
「そもそも国民投票が行われることを、知らない方もまだいる。」
「知ってはいても、内容までは理解していない方も少なくない。」
と言った内容のお話も。
そういう意味でも、投票前のこのタイミングでの今回のパレードが
如何に大きな役割を果たしていたのか、改めて考えさせられました。
この流れは、来月行われる台湾最大かつアジア最大のLGBTプライド
「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」や、
投票の2週間前に行われる「台中同志遊行(台中LGBTプライド)」へも
引き継がれていくことになりそうです。
まとめ
今日は、台東・花蓮の台湾東部2都市で行われた
LGBTプライド「花東彩虹嘉年華2018」の様子をご紹介しました。
2都市合わせての参加は今回が初めてだったのですが、
同じ東部の街でもイベントの雰囲気や意味合いが少しずつ違っていたのは、
とても興味深かったです。
「国民投票の結果次第」にはなるのかもしれませんが、
来年の今頃には、すでに何らかのカタチで
同性カップルにも婚姻の権利が認められていることになります。
そのニュースを受けてどのような変化が現れるのか、
この目で見るためにも、ぜひまたこの場所に戻ってきたいと思います。
花東彩虹嘉年華(台湾東部LGBTプライド)
Web:https://lgbtqiaet2017.wixsite.com/eastertaiwanlgbtq
Facebook:https://www.facebook.com/hlLGBT/
そして、先ほども触れたように、来月10月27日(土)はいよいよ、
アジア最大と言われるLGBTプライド
「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」が台北で開催です!
1年に1回限りの台北を代表する一大イベントですので、
チャンスのある方はぜひ参加されてみてはいかがでしょうか?
昨年の様子は
【台湾LGBTプライド(台灣同志遊行)2017レポート!参加者12万人超でアジア最大規模更新へ。】
でご紹介していますので、ご参加の前にチェックしてみてくださいね!
台湾のLGBTプライドへお越しのみなさん、どこに泊まるかはもうお決まりですか?
【台湾各地で出会ったおすすめホテル&ゲストハウス集。】には、
台北はもちろん、台中や高雄、台南、花蓮など、
僕とボーイフレンドが台湾各都市を旅する中で出会った素敵なホテルとゲストハウスを
エリアごとにまとめていますので、旅の滞在先でお悩み中の方はぜひ合わせてご覧ください!
おまけ:本日の台灣男子
『本日の台灣男子』は、僕が台湾の街で出会った台湾男子たちを、
思わず胸キュンしてしまったエピソードと共に、イラストで綴るインスタアカウントです。
時にかっこよく、時にかわいく、時にゆるゆるな台湾男子の魅力は、
ID:todaystaiwaneseboy に詰め込んでいますので、
ご覧いただけるとうれしいです!
▼こちらの記事もよくお読みいただいています!▼
→LGBTプライド「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」レポート。2018年初のパレードも参加者爆増で幕開けです!
→宜蘭驕傲大遊行(宜蘭プライド)2018レポート。同性婚合法化決定から1年の節目に行われたLGBTプライドの様子は?
→台中同志遊行(台中LGBTQIAプライド)2017レポート。参加者5倍へと急成長でイベント史上最大規模に。
→高雄同志大遊行(高雄プライドパレード)レポート。2017年台湾最後のLGBTプライドを1万5000人と共に歩いて来ました。
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