台湾総統&立法委員選挙2020をLGBTの視点から。同性の恋人と現地で暮らす僕が注目したポイントは?


台中同志遊行(台中LGBTプライド)2019のパレードで投票を呼びかけるプラカード

台湾史にのこる記録的な出来事となった2020台湾総統&立法委員選挙。台湾人ボーイフレンドと現地で暮らしている僕は、こんなポイントに注目していました。

こんにちは!台北在住8年目のMae(@qianheshu)です。

2020年1月11日(土)は、台湾にとって非常に重要な1日。

台湾の政治を司るリーダーたちを決める「台湾総統&立法委員選挙」が行われました。

2016年に当選を果たした民進党・蔡英文現総統が続投できるかどうかに注目が集まった今回の選挙ですが、結果は見事当選!

これからの4年間もまた、蔡英文総統が台湾を引っ張っていくことが決定しました。

実は今回の選挙は、台湾のLGBTコミュニティにとっても、特に重要な選挙。

同性婚実現後初めての選挙ということもあり、選挙活動中からLGBTに関連するニュースが、話題に上ることも少なくありませんでした。

僕には、台湾での選挙権はありません。

しかし、台湾人のボーイフレンドと現地で暮らしていることもあり、ここ1年ほどはずっと、彼とともに動向に注目してきました。

では、LGBTの視点から見た今回の選挙は、どのようなものだったのか?

今日は、現地で同性の恋人と暮らしている僕が、2020台湾総統&立法委員選挙で注目したポイントをまとめてみたいと思います。

 


婚姻平權(婚姻平等の権利)支持の蔡英文総統が新記録で再選!選挙活動中は、LGBTの権利に関して言及する場面も。

 

2016年に、

総統選挙2回目となる出馬で当選を果たした、

民進党の蔡英文総統。

 

2020年の今回の選挙には、

これまで4年間に行ってきた政策への、

国民からの評価という意味も込められていました。

 

結果は、台湾で総統選挙が始まって以来、

史上最高の得票数となる約817万票を獲得。

 

対立候補者の国民党・韓國瑜氏に

260万票以上の差をつけ、

大勝を果たしました。

 

前任期に引き続き、

今後4年間も蔡英文総統の導きのもとで、

台湾は動いていくこととなります。

 

蔡英文総統と言えば、

2016年の総統選挙に出馬の際には

「婚姻平權(婚姻平等の権利)」への支持

を表明。

 

その当時の言葉の通り、

2019年にはついに、

同性カップルにも結婚の権利が認められる

こととなりました。

 

 

1月10日に行われた選挙前夜のイベントでも、

アジア最大級のLGBTプライド

「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」や、

婚姻平權の実現について言及。

 

国のトップを司る総統として、

LGBT当事者の存在や権利もしっかり視野に入れて、

メッセージを発信されていました。

 

今天我們在凱達格蘭大道,

這裡是台灣從威權到民主的過程中,

最關鍵的地方。

 

鄭南榕的出殯隊伍,曾經經過這裡,

「廢除刑法一百條」的抗爭行動,

也在這裡。

 

反併吞遊行在這裡、

紅衫軍的抗爭在這裡、

廢核大遊行在這裡、

同志大遊行也在這裡。

 

大家記憶猶新的洪仲丘事件、

太陽花學運的集會,

也都在這裡。

 

出典:蔡英文 Tsai Ing-wen Facebook公式ページ

 

今日、私たちのいる凱達格蘭大道は、

台湾が権威主義から民主主義へと

移り変わる過程の中で、

最も重要な役割を果たした場所でした。

 

鄭南榕氏の出棺隊列は、かつてここを通り、

刑法第100条の撤廃を求めたデモも、

この場所でした。

 

反併吞パレードも、紅衫軍運動も、

反核パレードも、LGBTプライドも、

この場所。

 

記憶に新しい洪仲丘事件や

太陽花学生運動の集会も、

全てこの凱達格蘭大道でした。

 

訳:Kazuki Mae

 

2016年開始,

上任第一天,我就啟動改革。

 

加薪我做到了,減稅我做了,

長照我做了,幼托我做了,

年金改革我做了,國防改革我做了,

能源改革我做了,台商回流我做了,

社會住宅我做了,婚姻平權我也做了。

 

經濟結構轉型我做了,

民主防衛機制我也做了。

 

最後拒絕一國兩制,

我也為2300萬人民做了!

 

出典:蔡英文堅定13項改革:拒絕一國兩制「我也為2300萬人民做了!」| ETtoday新聞雲

 

2016年が始まり、

総統の任に就いたその日から、

私は改革を始めました。

 

給与の底上げ、減税、長期介護、

託児、年金改革、国防改革、

エネルギー改革、台湾企業のUターン、

社会住宅、婚姻平等の権利のためにも

取り組みました。

 

経済構造の変革、

民主を守るためのシステムづくり。

 

そして一国二制度の拒否。

2300万人のために、私は実行しました。

 

訳:Kazuki Mae

 

選挙戦序盤には苦戦を強いられた蔡英文総統。そこには、同性婚実現の影響も…

選挙期間中の台湾で屋外に貼られた巨大選挙ポスター

しかし、蔡英文総統の選挙戦は、

当初かなりの苦戦を強いられていました。

 

4年間の任期内では、

年金改革をはじめとする、

痛みを伴う政策を進めてきた蔡英文総統。

 

票を失うことを恐れ、

これまでの総統が手を付けて来なかった改革に、

蔡英文総統は、果敢に挑んでいきました。

 

台中同志遊行(台中LGBTプライド)2019のパレードで投票を呼びかけるプラカード

そして、アジアで初めてとなった

「同性婚」の実現も、その中の一つ。

 

非常に残念なことではありますが、

同性婚を認めることを快く思わない人々は、

特に年配層を中心に、

台湾にも決して少なくありませんでした。

 

実際に、僕自身も

現地で生活を送る中で、

同性婚に反対する選挙広告を、

少なからず目にしてきました。

 

それらの影響もあり、

選挙活動が本格化し始めた当初、

蔡英文総統を支持する声は低い状態に。

 

民進党内では、総統選挙の候補者を

蔡英文現総統から変えるべきでは、

という討論も行われていたほどです。

 

対立候補の韓國瑜氏が優勢となり、

このまま選挙まで持ち込まれるか

と思われていました。

 

 

しかし、香港情勢や米中間の貿易問題、

韓國瑜氏への不信感の高まりが影響し、

蔡英文総統の、

台湾の自由民主と主権を守るという

揺るぎない主張、有言実行の姿勢が、

再び評価され始めることに。

 

勢いを一気に取り戻し、

蔡英文総統が史上最高の得票数を記録する

大勝利となりました。

 

立法委員選挙でも、民進党単独で過半数を確保。

2019年5月17日、台湾同性婚実現の日に配られたフライヤー

そして、同性婚実現の影響は、

総統選挙だけではありません。

 

同時に行われた立法委員選挙の

候補者たちの選挙活動中にも、

同性婚に関連する話題が

しばしば取り上げられていました。

 

 

「同性カップルに婚姻の権利を認めない

現行の法制度は違憲状態である」

との判決が下され、

実現までのタイムリミットが迫っていた2019年5月。

 

民進党の立法委員の方たちはギリギリまで、

同性婚実現に向けた法案に賛成すべきかどうか、

判断に迷っていたと言います。

 

賛成票を投じることで、

今回の選挙への影響

(年配層の票を失いかねない)と、

心配していたからです。

 

 

最終的には、

民進党の立法委員たちは意を決し、

団結して賛成票を投じることに。

 

この民進党の団結力があったからこそ、

台湾は無事に同性婚実現を

迎えることができました。

 

関連記事→【台湾で同性婚が実現!アジア史にのこる歴史的決断の裏側では、一体何が起こっていたのか?】

 

対立勢力である国民党の立法委員候補者の中には、

賛成票を投じた委員を批判することで、

支持を集めようと動く者も。

 

実際、民進党が進めた

その他政策の影響もあり、

選挙活動開始当初は、

国民党勢の優勢が続いていました。

 

 

しかし、先ほども触れたように、

選挙戦が進むにつれて、

蔡英文総統率いる民進党が

勢いを取り戻す形に。

 

最終的には、全113席中

民進党単独で61席と、

前任期に引き続き、

過半数を確保する結果となりました。

 

保守派である国民党が

立法院にて過半数を取れば、

今後の婚姻平權に関する討論の停滞や、

場合によっては後退する可能性も

語られていた今回の選挙。

 

「同性婚実現前の状態に戻してみせる」

と発言していた国民党の候補者も

当選を果たしていますが、

阻止力を確保できたことで、

多くの当時者の方も、ひとまずホッと

胸をなでおろしたのではないかと想像します。

 

婚姻平權審議における後継者・林昶佐氏も立法委員に当選!

 

僕が個人的にすごく気になっていたのが、

台北市の第五選區より

立法委員選挙に出馬していた林昶佐氏。

 

これまで、婚姻平權に関する審議において、

支持を訴え、立法院を引っ張ってきた尤美女氏が、

今回2020年の選挙には出馬しない考えを表明。

 

その尤美女氏が、

立法院での次期後継者として名を挙げたのが、

林昶佐氏でした。

 

関連報道→【林昶佐全國律師後援會成立 尤美女︰他是人權之路的接棒人|自由時報】

 

台湾のLGBT音楽イベント『為愛返家音樂會』夜のステージ前

ヘビーメタルバンド・

閃靈のボーカルとしても知られ、

現立法院にて第三勢力となっている政党・

時代力量の立法委員として、

手腕を発揮してきた林昶佐氏。

 

同性婚の実現に向けても積極的に行動を起こし、

2019年5月に審議された法案を可決へと導いた、

立役者の1人としても知られています。

 

今回の選挙では、時代力量を離れ、

無所属での選挙戦を展開。

 

国民党の候補者・林郁方氏の

対立候補として出馬しました。

 

台湾のLGBT音楽イベント『為愛返家音樂會』のステージに立つ立法委員・林昶佐さん

どちらが当選するか読めないほどの、

拮抗した状態の中で突入した投票当日。

 

当初の予想どおり、票差数千という僅かな差で、

追い抜き、追い抜かれを繰り返す激戦を

ギリギリまで繰り広げる両者。

 

最終結果は、およそ5000票差で、

林昶佐氏が見事当選を果たしました!

 

今後4年間の、

婚姻平權に関する立法院での討論にも、

非常に希望が持てる結果となりました。

 

総統選挙に次ぐ注目度の高さ!? 台北市で繰り広げられた世紀のイケメン対決。

 

今回の選挙で、

非常に大きな注目を集めていたのが、

台北市の第三選區で繰り広げられていた、

立法委員の候補者対決。

 

実質的には、国民党の蔣萬安氏と、

民進党の吳怡農氏の一騎打ちとなっていたのですが、

この2人が「世紀のイケメン対決」として、

総統選挙に次ぐと言っても過言ではないほどの

話題を集めました。

 

蔣萬安氏は、このお名前から

ピンと来られる方もおられるかもしれませんが、

中華民国憲法制定後初の総統となった

蔣介石氏のひ孫。

 

現立法院にて、立法委員を務めています。

 

2019年5月の同性婚法案審議の際には、

保守派の国民党所属でありながら、

党の反対を押し切り、

賛成票を投じたことでも話題となりました。

 

 

対するは、民進党の吳怡農氏。

 

初出馬ながら、

端正なルックスと献身的な選挙活動で、

一気に知名度を獲得。

 

婚姻平權に関しても支持を表明しており、

出馬している選區だけでなく、

台湾中にファンが生まれるほどの

大人気となりました。

 

結果は、蔣萬安氏が

1万票あまりの差をつけて勝利。

 

しかし、敗北した吳怡農氏も

「次は台北市長選に!」と

支持者から大きな声援を贈られており、

今後のご活躍に注目です。

 

誰も予想していなかった!? 婚姻平權支持の新進政党・台灣基進から陳柏惟氏が当選。

 

そして、思わぬ注目を集めたのが、

台中市の第二選區。

 

有力と見られていた

国民党・顏寬恒氏を破り、

立法委員選挙初出馬の

陳柏惟氏が当選を果たしました。

 

この出来事は、

多くの人が予想していない結果だったようで、

驚きの声が多数。

 

「半年前まで、

99%の人が自分のことなど知らなかった。」

 

当選後にそう語る陳柏惟氏は、

独自のユーモアセンスと、

流暢な台湾語を駆使して、

インターネットをメインに人気を博したことが、

当選の理由と言われています。

 

関連報道→【「半年前99%選民不認識我」陳柏惟驚奇打落顏寬恒!黑派勢力重挫|蘋果即時】

 

台中同志遊行(台中LGBTプライド)2019のパレードを歩く政党グループ

陳柏惟氏が所属する政党・台灣基進は、

台湾各地のLGBTプライドにも必ず参加するなど、

同性婚支持を表明している政党。

 

台湾で婚姻平權に関する

国民投票が行われる際には、

陳柏惟氏も支持のための署名を呼びかけるなど、

行動を起こされていました。

 

台灣基進は今回の立法委員選挙にて、

台灣民眾黨、時代力量に並ぶ

第三勢力として一気に頭角を表し、

今後の展開に注目が集まっています。

 

まとめ

 

今日は、LGBTの視点から見た

2020台湾総統&立法委員選挙

についてご紹介しました。

 

僕には、

台湾での選挙権はありませんが、

いつも現地で選挙の様子を

興味深く拝見しています。

 

今回の選挙では、

台湾人のボーイフレンドと

日常的に選挙のお話をしたり、

台湾人の友人に誘われて

蔡英文総統の投票前夜イベントへ足を運んだり。

 

熱気を間近に感じる貴重な体験も

たくさんさせていただきました。

 

投票できることって、自由に選べることって、

本当にエキサイティングで尊いことなのだなと、

台湾の選挙を見ていると、感じずにはいられません。

 

台湾にとって、より良い未来が訪れますように!

 

台湾の選挙については、

【台湾の選挙は超パワフル!日本の選挙とはこんなところが違います。】

の記事でもご紹介していますので、

ご興味が湧いてきた方は、

ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。

 

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