もしも「LGBTというテーマのために何か力になりたい!」と思ってくださるのであれば。今すぐにでもできるこんなこと、お願いすることはできますか?
こんにちは!台北でボーイフレンドと一緒に暮らしております日本男子Mae(@qianheshu)です。
先日、このブログがきっかけでメッセージをいただいた方と、お食事をする機会がありました。
その方は、自身はストレート(異性が恋愛対象)と言うことでしたが、LGBTというテーマにとても関心を持たれていて、その理解度は僕も驚くほど的確なもの。
そして、お話を進めていく中で、次のような質問を訊ねられました。
「ストレートの私にできることって、何かあるでしょうか?」
当事者である僕にとっては、この上なくありがたいお言葉。
でもなぜかこの時、僕はあろうことか、うまくお答えを返すことができなかったのです。
これまで自分が体験してきたことを踏まえて、社会に望むことはたくさんあるはずなのに、どうして…
その方とお別れしてからこの記事を書く今まで、この出来事がずっと心に引っかかっていたのですが、考えているうち「あること」に思い至りました。
それは、「当事者自身が発信し(「見える化」し)、自分たちの力で変えていくしかない」という観点に囚われ過ぎていたこと。
まだまだLGBTという言葉を身近に感じている人が多くないと言われる中、まずは当事者から声を挙げて、自分たちの存在や境遇について、少しでも知ってもらうことが大切。
僕自身そう信じていましたし(今も信じています)、このブログもその一環として書き続けてきました。
でもだからこそ「(LGBTに対する理解のある)ストレートの方の力を借りる」、という観点が欠けていたのも事実。
当事者以外の方から自発的にそのような質問をいただくこともこれまでほとんどなかったので、それに対する答えをまだ持ち合わせていなかったのです。
では、もしもストレートの方に何かをお願いできるのであれば、一体どんなことを伝えたいだろう?
今日は、あの時うまくお返事ができなかったそのお答えとして、僕が改めて考えたことをまとめてみたいと思います。
あなたの目の前にいる方の恋人・パートナーが「異性とは限らない」ことを意識してみてください。
すでにLGBTに関する知識のある方にとっては今更ということかもしれませんが、
普段の生活の中でみなさんにぜひ意識していただきたいことがあります。
それは、今目の前にいる方の
「恋人やパートナーが異性とは限らない」ということ。
例えば、誰かとおしゃべりをしている時に
「彼氏(彼女)はいるの?」「旦那さん(奥さん)はどんな人?」と、
相手に質問した経験はありませんか?
自分のセクシャリティをまだオープンにしていない(できない)方にとって、
この質問は一番返答に詰まってしまうもの。
お互いに良く知り合っている(つもりの)友人や家族であったとしても、
実は誰にも話すことができず、心の奥で深く悩んでいる。
そんな状況も充分にあり得るので、
知らず知らずのうちに、その方へプレッシャーを与えているかもしれません。
職場や家族、友人にカミングアウト済みの僕でも、
知り合ってまだ間もない方や、あまり親しくない方からこの質問をされると、
正直今でも返答に詰まってしまうことがあります。
(本当であれば、ここで勇気を出して「彼氏がいる」と告げることも、
社会への理解を促す小さな一歩となるのかもしませんが。)
ただ、だからと言って「恋愛や結婚に関する話がご法度」というわけではありません。
お話をするときには、彼氏(彼女)を「恋人」、
旦那さんや奥さんを「パートナー」など、
性別を特定しない表現にしてみてください。
それだけでも、当事者の方にとっては随分と話しやすくなるものです。
実際には、深く話をするまでには至らないこともあるかもしれませんが、
「あっ、この人は信頼できそう」と、感じてもらいやすくなるかと思います。
仮に、相手がストレートの方だったとしても、
「恋人」や「パートナー」という言葉からお話に入って、
特に不都合があるわけではありませんよね。
学校で、職場で、あるいは家庭で。
小さな言葉の違いだけではありますが、
たったそれだけのことでも、相手に与える印象は随分と違ったものになるはずです。
あなたの身近な人と、LGBTについておしゃべりしてみてください。
みなさんは、周りの人とLGBTに関するお話をしたことはありますか?
LGBTという言葉の具体的な意味については、
検索すればたくさん出てくるかと思うので、ここでは省かせていただきますが、
僕の場合はLGBTの“G”にあたり、カラダも心も男性で、恋愛対象も男性。
日本では、7~8%の割合で存在していると言われています。
関連リンク→【電通ダイバーシティ・ラボが「LGBT調査2015」を実施|dentsu】
また厳密に言えば、LGBTという言葉だけで全てを表現しきれているわけではなく、
カラダ、心、恋愛対象、どの要素も人によって感じ方は少しずつ違っているもの。
それはまるで光のスペクトルのように無限に存在していて、
一人として同じ色には当てはまらないと言っても良いほど、
感じ方って実はすごく多様なんです。
…って、ブログで言っていた人がいるよ!という入りからでも構いません。
とにかく一度、いつもおしゃべりしている相手と、
LGBTに関する話題について触れてくれるといいなあと、
当事者の僕は思うのです。
LGBTというテーマで記事を書くこともある中でよく感じているのは、
そもそも「(LGBTについて)考えたこともない」「関心がないのでスルー」
という人が少なくないこと。
だからこそ、まず最初は「そういう言葉があること」、
「そういう人たちが意外と身近に存在していること」、
そこから知ってもらえるだけで大きな一歩なのではないか、と思うのです。
もしも、いつも一緒に下校している友達が、
自分の知らないところで悩んでいたとしたら。
いつも営業に同行している部下が、
人知れずプレッシャーを感じて苦しんでいるとしたら。
自分が無意識のうちに放った言葉が、
誰かの心にグッサリと突き刺さって、傷つけていたら。
普段の会話の中でLGBTについて話をしてみることによって、
これまで考えたことがなかったという方にも、決して「他人事ではない」と気づいてもらえる。
そんなきっかけとなる機会が増えてくれることを、願ってやみません。
LGBTに関する募金やクラウドファンディングに参加してみてください。
さらに一歩進んで、実際的な行動で支持したいという方は
「募金する」という方法もあるかと思います。
「そんな現金なお話?」と思われた方もおられるかもしれませんが、
LGBTに限らず、何かを始めるために先立つものが必要になるのは現実。
自分の能力や環境に限りがある以上、応援したいという気持ちを、
目に見えるかたちで支援することも、大きな力になることは間違いありません。
一例として、台湾でのお話。
現在台湾では、1年に7つの都市でLGBTプライドが開かれています。
九州ほどの面積の国で、
これほどパレードというイベントが浸透しているのは、すごいことだと思うのですが、
その原動力となっているのは、
募金やクラウドファンディングによって寄せられた資金です。
特に地方都市の場合は、募金による資金調達が特に重要で、
順調に集まらなければイベントの開催自体が危ぶまれることに。
そのような事情もあって、イベント開催の時期が近づくと、
募金活動の展開が積極的に行われています。
他にも、LGBTをテーマとした映画の放映イベントを
台湾各地で開くためであったり、
同性カップルが子供を育てるためのガイドブック制作のためであったり。
LGBTプライドに限らず、募金を呼びかけている案件は数多くみられます。
僕も台湾に住んでいる当事者の一人として、
LGBTへの理解がより深まってくれることをお手伝いしたいと考えているので、
毎月一度、気になる案件に募金をしています。
日本でも、クラウドファンディングサイトなどに
LGBTに関する案件が掲載されているので、「何か力になりたい!」という方は、
定期的にチェックされてみるのも一つの方法です。
LGBTプライドを、一緒に歩いてみてください。
「LGBTプライド」の話に触れましたが、
参加して「共にパレードを歩く」というのも、
大変励みになる行動かと思います。
日本では、イベントによって
パレード参加人数に制限が設けられているところもあるようですが、
基本的には参加人数は多ければ多いほど、一人でも多いほど理想的。
「こんなにも多くの仲間がいる。」
「こんなにも多くの応援してくれている人がいる。」
今もなお悩み苦しんでいる当事者の方たちへ
「あなたは1人きりじゃないよ」と、力強いメッセージを伝えることができます。
また、たくさんの当事者の方達とパレードを歩くことによって、
今までは気づかなかったことや知らなかったことにも出会え、
より理解を深めることができるのもメリットではないかと思います。
そして同時に、多くの人が集まれば集まるほど、
社会に向けてのインパクトも大きなものに。
パレードを沿道から見たこと、
あるいはパレードが行われたというニュースを見聞きことをきっかけに、
LGBTについて考え始めてくれる人たちも現れるかもしれません。
もし、お住まいの地域や近隣の都市でLGBTプライドが開かれているようでしたら、
一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、昨年2017年に12万人の参加者を集めた
「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」は、
いよいよ今月末の10月27日(土)に開催されます。
アジア最大と言われているパレードは、台湾国内のみならず、
日本を含むアジア地域へとメッセージを伝える重要なイベントとなっていますので、
台北へお越しのご予定がある方はぜひ参加されてみてください。
まとめ
今日は「ストレートの私にできることは?」と問われて考えた、
同性に恋する僕がお願いしたい4つのことについて、
みなさんとシェアしてみました。
僕が先日お会いした方と同じように、
もしも「何か力になれることがないだろうか?」と考えてくださる方がおられましたら、
一人の当事者からの意見として参考にしていただければうれしいです。
ちなみに、自身は当事者ではないけれど、
LGBTコミュニティを応援してくれる人のことを「Ally(アライ)」と言います。
「アライ」の存在が多ければ多いほど、
当事者にとって生きやすい環境へと近づいていくのは間違いありません。
とは言え、みなさん全員に「アライになってほしい」と言うつもりは全くありません。
ただ少なくとも、僕たちもみなさんと同じ社会で、
みなさんのすぐそばで生きている一員であるのだ、
ということだけでも、知っておいていただきたいのです。
それこそが、多様性に富んだ世界を作っていくための第一歩だと、僕は信じています。
P.S. ほなみさん、あの時のご質問に対するお答えになっていれば幸いです。
おまけ:本日の台灣男子
『本日の台灣男子』は、僕が台湾の街で出会った台湾男子たちを、
思わず胸キュンしてしまったエピソードと共に、イラストで綴るインスタアカウントです。
時にかっこよく、時にかわいく、時にゆるゆるな台湾男子の魅力は、
ID:todaystaiwaneseboy に詰め込んでいますので、
ご覧いただけるとうれしいです!
▼こちらの記事もよくお読みいただいています!▼
→台湾はいつから同性婚ができるの?台北在住LGBT(ゲイ)の僕がよく尋ねられる疑問にお答えします。
→ゲイである僕が声を大にして伝えたい4つのこと。「自分の周りにいない」はただの思い込みです。
→LGBTの日常や悩みがよく分かる5冊の本。ゲイである僕の目線からおすすめの作品を選んでみました。
→「恋人と長続きするコツは?」と聞かれて彼氏と5年付き合っている僕が考えた3つのこと。
コメント
コメント一覧 (3件)
こんにちは。私も一生懸命置き換えて話を合わせますが、最初からパートナーって言って貰えると楽に話が出来ると思います。
私も少しずつ表に出しています。とりあえず、そうなんだーと普通に接して貰えれば私はうれしいです。
今年は宜蘭に続き台北のパレードにも行きます。来年は台中とか他のパレードも行ってみたいですね。いつも記事ありがとうございます。
そうですよね。
僕も未だに「彼女は?」と聞かれると、「彼氏です。」と言ってしまおうかどうか悩んでしまいます。
そういう小さなところからでも、環境が変わっていってくれるといいですね。
台北のパレード、今年もきっと盛り上がりますよ!楽しみましょう!
ご無沙汰しています。といっても4ヶ月ほどですが^^
とても参考になりました。
私もストレートですが身近な人がLGBTで、以前から来月行われる台中のパレードに参加したいと考えています。
しかし色々な不安もありますが、これを見て解けました♪
いつも参考になる記事ありがとうございます。