台湾で暮らしていると、よく思う。「自由があることは、決して当たり前なんかじゃない」ことを。


台湾の国旗

「自由があることは、空気があるように当たり前のこと。」そんな感覚が間違っているということを、台湾が僕に教えてくれました。

こんにちは!台湾に暮らしてまもなく丸8年になりますMae(@qianheshu)です。

先日、台湾の元総統・李登輝氏が旅立たれたというニュースがありました。

これまで、台湾人の友人や同僚たち、恋人からも、いろいろなお話を耳にしてきましたが、現在の台湾の「自由民主」の礎を築いた方というのは、多くの人が間違いなく認める、李登輝氏の功績と、僕も認識しています。

政治のトップを国民自らの票で選べ、公共の場で自らの意見を発言できる。

台湾で暮らしていると、この「自由」に心を打たれ、その尊さに改めて気づかされる瞬間がたくさんあります。

そして、台湾国内はもちろん、世界の動向も耳にしているうちに、最近よく考えるようになりました。

「自由があることは、決して当たり前なんかじゃない」、ということについてです。

 


「自由」のない時代が、台湾には存在していた。

台北・二二八和平公園

今でこそ、アジアで指折りに

自由度の高い台湾ですが、

決して最初から、

そうだったわけではありません。

 

つい30年ほど前までは、

今の台湾からは

にわかに信じられないほど、

人々は不自由を強いられていました。

 

政府に不都合な存在、

発言をした人物が次々と姿を消した

「白色恐怖」などは、

その際たる例かと思います。

 

 

2017年には、

白色恐怖をテーマにした

「返校」というゲームが発表され、

2019年には映画化も。

 

台湾最大の映画賞・金馬獎にて

受賞を果たしたことも、

大きな話題になりました。

 

それが可能なのも、

現在の台湾に「自由」があるからに

他なりません。

 

日本統治の時代も含めて、

台湾には、「自由」とは

遥かに遠い環境の中で、

生きることを強いられた時代が、

確かに存在していました。

 

台北・總統府の外観

やがて、白色恐怖の時代は終わり、

後に李登輝氏によって、

国民による直接投票選挙が実現。

 

不自由を感じてきた人々は、

これまで以上に声を上げ、

投票によって、

そして社会運動によって、

積極的に意見を訴え続けてきました。

 

そうして形作られてきたのが、

現在の台湾の姿。

 

世界の中でも

「自由」が確立してまだまだ若い、

と言って良いのかもしれません。

 

並々ならぬ多くの時間と忍耐、

努力、犠牲の上に、

ようやく実現されたのが、

現在の台湾にある「自由」なのだと、

僕も台湾の歴史について、

理解を深めていく中で知りました。

 

「自由」のある環境で、生きてこられたという幸運。

台湾の国旗

そんな歴史に加えて、

台湾の人々が政治に高い関心を持つ

理由には、もう1つ。

 

台湾が国際的に置かれた

複雑な立場も、

とても大きく関係しているように

思います。

 

台湾の人々が

「選挙」にかける想いには、

特別に熱くて、

深いものがあります。

 

トップに立つ人を、

ひとたび選び間違えてしまえば、

これまで自分たちが

築き上げてきた台湾は、

その存在すらも

危うくなってしまうかもしれない。

 

長く暗い時代を経て、

ようやく手に入れたはずの「自由」が、

再び失われてしまうかもしれない。

 

「自由」のない脅威に、

呑み込まれてしまうかもしれない。

 

生まれた時から

「自由」があった若い世代の間では特に、

その脅威に対する危機感が、

非常に強く持たれているように

思います。

 

 

今年2020年1月に行われた

「台湾総統選挙」では、

投票率はおよそ75%。

 

現職の蔡英文氏が、

史上最高の得票数となる

約817万票を獲得し、

再選を果たしています。

 

一人一人が一票の重みを、

「自由」の尊さを知っているからこそ、

積極的に政治に関心を持ち、

 

(たとえ遠く離れた

海外に暮らしていても、

台湾に戻ってきて)

投票に向かうのだろうなと、

現地で選挙を眺める度に

感じています。

 

夜の台北市政府廣場から見る台北101

僕は、日本と台湾という

「自由」のある土地で、

これまでの人生を過ごしてきました。

 

生まれてこの方、

「自由」のある環境しか

知らなかったため、

それが空気のように

当たり前に存在しているものだと、

錯覚していたこともありました。

 

しかし、台湾で暮らし始めて、

 

台湾の歴史に触れ、

台湾が置かれている複雑な立場を知り、

選挙の様子を眺めているうちに、

 

「自由があることは、

全然当たり前なんかじゃない」のだと、

痛いほどに気づかされました。

 

何の疑問すら抱くことなく、

「自由」のある環境で

生きてこられたことは、

実はとても幸運なことだったのだと、

気づかされました。

 

僕は「自由」が失われてしまうことが、すごく怖い。

台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)2015で配られた「民主撐同志」のシール

もう一つ、

僕は「自由」に関して、

最近よく感じていることがあります。

 

僕は台北で、

台湾人ボーイフレンドと

2人で暮らしています。

 

その関係もあって、

台湾でのLGBTに関する

議論や動向を調べたり、

各地で行われるLGBTプライドにも、

これまでにたくさん参加してきました。

 

花東彩虹嘉年華(台湾東部LGBTプライド)の会場に置かれたレインボーフラッグ

その中で感じたのは、

LGBTの存在を知ってもらい、

権利の平等のために発言し、

行動するには、その土台として

 

「自由」が必要不可欠なのだ、

ということ。

 

台湾で、同性カップルが

結婚できるようになったのも、

30年近くの長きにわたって、

当事者のみなさん自らが発言し、

行動を起こし続けてきたからに

他なりません。

 

もしも、現在の台湾や日本が、

何の「自由」も認められない状態で

あったなら。

 

LGBTについて知ってもらう以前に、

発言する、行動する「自由」すらなく、

誰にも存在を知られないまま、

延々と影に追いやられていたかも

しれません。

 

このブログで、

当事者の一人として、

自分の想いを書くということも、

きっとできなかったですし、

 

下手をすれば、

存在を消される可能性だって、

あったと思います。

 

台北・淡水のおすすスポット「漁人碼頭」から眺める夕暮れの空

だからこそ、もしある日

「自由」が失われてしまったら、

と考えると、僕はすごく怖いです。

 

現状維持にとどまらず、

今までできていたことができなくなる

「後退」だって、

あり得るかもしれませんし、

それを止める術も

残されていないかもしれません。

 

そして、それは決して

想定だけの話ではありません。

 

「自由」が失われるという出来事が、

自分もかつて

足を運んだことのある場所で、

実際に現在進行形で起こっているのだと

考えると、震えるような想いです。

 

だからこそ、

「自由は、決して当たり前なんかじゃない」

と、一層に強く思わずには

いられないのです。

 

苗栗愛轉來平權遊行(苗栗LGBTプライド)2019で同性婚実現を求めるTシャツ姿で歩く参加者

「自由」があるから、

僕たちの暮らしは、

少しずつだけれど、

良くなってきている。

 

「自由」があるから、

一歩一歩でも、

前へと進んでいけている。

 

「自由」のかけがえのなさを、

改めて実感せずには

いられないのです。

 


まとめ

春節(旧正月)を迎えたの台北の観光スポット「中正紀念堂」

今日は、

台湾で暮らす中で感じている「自由」

について、書き綴ってみました。

 

こんなことは考えたくもありませんし、

絶対にあってはならないことだとは

思いますが、

 

もしもいつか、

個人の力ではどうにもならない

不可抗力によって、

 

「自由」が失われてしまったら、

僕たちはどう生きて行けばいいのか。

 

決して当たり前なんかじゃない

「自由」を失わないために、

微々たる力だとしても、

何か自分にできることはあるのか。

 

世界の動向を知れば知るほど、

最近はよく、そんなことを

考えるようになりました。

 

みなさんは「自由」について、

どんなことを感じていますでしょうか?

 

▼こちらの記事もよくお読みいただいています!▼

→台湾総統&立法委員選挙2020をLGBTの視点から。同性の恋人と現地で暮らす僕が注目したポイントは?

→台湾の選挙は超パワフル!日本の選挙とはこんなところが違います。

→台湾で同性婚が実現!アジア史にのこる歴史的決断の裏側では、一体何が起こっていたのか?

→同性婚が実現したばかりの台湾で、台日カップルの友人の結婚式に参加してきました。

→【この台湾映画がすごい!】LGBTがテーマのおすすめ7作品をご紹介します。

 


SNSでも更新情報お届け中。



コメント

  1. ヨシオ より:

    いつも楽しく拝読させて貰ってます。ここ数年で台湾の魅力に心奪われつつある者です。現地での空気感や実際にお住まいになられてるからこその文脈に思いを重ねながら何回も読み返してしまいます。これからも発信し続けて下さいね。楽しみにしております^ ^

    1. kazukimae より:

      ありがとうございます!
      これからも観光情報の合間で、
      時々自分の気持ちに関する記事も
      書いていければと考えています。
      引き続きご覧いただけるよう、
      がんばります!

コメントを残す

*