「この世界の片隅で、僕を見つけてくれてありがとう。」台湾で同性婚が実現した週末、ある一組の国際カップルが、感動いっぱいの結婚式を挙げました。
こんにちは!台湾でボーイフレンドと暮らしてもうすぐ7年になりますMae(@qianheshu)です。
2019年5月24日(金)は、台湾にとって記念すべき1日に。
アジア初となる同性婚が実現され、いよいよ婚姻届の受付が始まりました!
初日に婚姻届を提出したカップルは500組とも報道されており、ついに新たな一歩は踏み出されたのだなと、現地でしみじみ実感しております。
そして、実はこのタイミングに合わせて、僕の日本人の友人も、台湾人パートナーの方と挙式!
とてもありがたいことに、僕もお二人の結婚式にご招待いただいたので、ボーイフレンドとともに参加してまいりました。
ブログでの紹介も快くOKしていただいたので、今日は同性婚実現の週末に行われた友人カップルの結婚式について。
台湾での結婚式参加の際に、気になるポイントも一緒にまとめてみましたので、ご参考にされてみてください。
記事の最後には、お二人からのメッセージも添えさせていただきました。
台湾の結婚式招待状「喜帖(シーティエ)」を受け取ったら。ご祝儀や服装について。
今回結婚式を挙げるのは、
日本人のAZくんと、台湾人のIanくんカップル。
結婚式の1ヶ月ほど前、
お二人から結婚式の招待状が届きました。
台湾の結婚式招待状は、
「喜帖(シィティエ)」と呼ばれます。
真っ赤な封筒に入って届くのですが、
二人から届いた喜帖には、
レインボーカラーに変身した「囍」がプリントされていました。
そして、封筒を開けてみると…
タキシードに身を包んだ二人の、
まばゆい「婚紗(フンシャー / 結婚記念写真)」が
ドカンと登場!
かっ、かわいいーーーっ!!!
開けた瞬間、1年に1度あるかないかないほどの、
爆発的な胸キュンに見舞われてしまいました 笑
台湾では「喜帖」が届いたら、
結婚式に参加するしないに関わらず、
必ずご祝儀の「紅包(ホンバオ)」を用意します。
文具店やコンビニで入手できる、
この真っ赤な袋にお祝いの言葉を添えて、お金を包みます。
僕は、台湾で結婚式に参加するのは今回が2度目。
ですが、ご祝儀の相場はまだあまり把握できていないので、
下の関連リンク内にある表を参考にさせていただきました。
どこの都市の、どんな会場で挙式されるかや、
結婚するカップルとの関係、
同伴者のあるなしでも変わってきますので、
迷った際にはチェックされてみてください。
(もちろん最終的には、相場は把握した上で「気持ち」で決めるのが大事ですよ!)
あと、日本とは逆で、奇数は避けた方が良いみたいですね。
関連リンク→【喜宴如何包禮不失禮?2019 超實用「紅包行情表」| 543滔客誌 】
服装は、前回結婚式に参加した時と同様、
ポロシャツに細身のパンツ、足元はスニーカーにしました。
台湾の結婚式では、スーツでバッチリ決めるというよりも、
カジュアルなスタイルが主流。
ただちょっと失敗したな〜と思ったのは、
モノトーンすぎて地味な印象になってしまったところ。
もう少し色を取り入れて、
少し華やかな感じにするのも良かったかなと思いました。
かわいい婚紗の嵐!カラフルできらびやかな結婚式場へ。
結婚式が行われるのは、高雄のウォーターフロントエリアにある
リノベスポット・MLD台鋁内の式場「晶綺盛宴」です。
台鋁には何度か来たことがあったのですが、
式場に入るのは今回が初めて。
エントランスは、
落ち着いた照明ときらびやかな内装で、高級感が漂います。
式場入口にも、婚紗のポストカードや、
同性婚をテーマにデザインされた
ステッカーなどが置かれていました。
こちらも、すごーくかわいい仕上がりだったので、
しっかりもらっておきましたよ 笑
到着したら、まずは受付へ。
準備してきた紅包を渡して、サインを済ませたら、
式場へと向かいます。
実は、前回参加した結婚式は
ガーデンパーティースタイルだったので、
台湾の本格的な式場に足を踏み入れるのも、今回が初。
赤をベースにしたステージに、
カラフルに色を変える天井の豪華な照明。
まさにおめでたい日にピッタリな、華やかな空間です。
すでにたくさんの友人たちが集まり、
テーブルで談笑する賑やかな雰囲気に包まれていました。
座席に到着してみると、目に飛び込んできたのは、
レインボーカラーのチョコレートケーキ。
レインボーフラッグと同じ6色に彩られたお菓子が、
テーブルに華を添えます。
ただ、式の様子に釘付けすぎて、
お料理の写真を撮るのを忘れてしまったのですが(對不起〜!!!)、
蒸し魚やアワビなどの海鮮に、巨大スペアリブ、
台湾風の鶏スープなど、続々と豪華メニューが登場。
どれも本当に美味しいお料理揃いで、
おなかがはち切れんばかりに、堪能させていただきました。
会場のスクリーンには、台湾の結婚式には欠かせない
「婚紗」のスライドショーが流れます。
日本人のAZくんと、台湾人のIanくんの馴れ初めは、
台湾のバレーボールサークル。
AZくんが、メンバーの1人だったIanくんに一目惚れして、
積極的にアタックしていくうちに仲良くなっていったのだそうです。
その当時、AZくんが暮らすのは台湾北部・台北、
Ianくんが暮らすのは台湾南部・屏東。
AZくんが高雄で暮らすようになった、およそ2年前までは、
毎週末バスで片道5時間(往復10時間!)かけて
Ianくんに会いに行っていたのを、僕も当時から話に聞いていました。
そのひた向きさもきっと、
Ianくんを振り向かせる理由の一つだったのだろうなあと、
スクリーンを眺めながら改めて感じました。
ところで、台湾では2年ほど前に、
バレーボールをテーマにした『越界』という
ボーイズラブドラマが話題となったのですが、
実はこの一枚は『越界』の中に登場する、
ワンシーンになぞらえたもの。
喜帖の写真も胸キュンでしたが、越界ファンとしては、
この一枚にもさらに悩殺されました 笑
AZくんとIanくんも、
ドラマのようなドキドキの恋、したんだろうなあ。
関連リンク→【『HIStory2-越界』預告:精彩片花搶先看!| CHOCO TV 追劇瘋】
「いろんな愛に支えられて、ここまで来ることができた。」
照明が落とされて、いよいよ結婚式が開始。
先ほどまで婚紗が流れていたスクリーンには、
お二人からのメッセージビデオが、映し出されました。
自分が男性を好きだと気づいた時。
家族にカミングアウトをした時。
そして二人が出逢ってから、結婚式を挙げるに至るまで。
どのような過程を経て、ここまで歩んで来ることができたのか、
彼らのストーリーが会場の人たちに伝えられていきます。
Ianくんは、自分のセクシュアリティに気付いた時、
やはりとても悩んだのだそう。
メッセージビデオが終わった後のステージでは、
「自分に自信が持てない時や、
何を信じればいいのか、分からくなった時もありました。」
と、苦しかった日々のことを振り返ります。
僕も自分が男性を好きだと気づいてから、
彼と同じように、すごく悩んでいた時期がありました。
相談できる人もおらず、一人で抱え込んだまま、思い悩む日々。
その当時の彼の心の痛みが、チクチクと伝わってきます。
「でも、いろんな愛に支えられながら、
ここまで来ることができました。」
まだ始まったばかりにも関わらず、
すでに目にこみ上げて来るものを、感じずにはいられませんでした。
二人がご両親と共に登場すると、
会場は大きな拍手と歓声に包まれます。
婚紗と同じタキシードを着て、誇らしそうに歩く姿、
本当に素敵です。
お祝いに駆けつけた友人からは、歌のプレゼント。
張惠妹の『彩虹』。
台湾でLGBTに関するイベントが行われる時、
必ず歌われるアンセムであるこの歌を、会場のみんなで合唱です。
スマホのライトをキラキラと掲げながら、
リズムに合わせて手を揺らすみなさん。
同性婚を求めるイベントで何度となく目にして来たこの光景が、
ついに結婚式の式場に。
祝福に包まれながら、会場が一体となるその様子に、
感動せずにはいられませんでした。
「この世界の片隅で、僕を見つけてくれてありがとう。」
2着目のタキシードと、
レインボーカラーのボウタイに着換えて、
再び登場するAZくんとIanくん。
二人のうれしそうな表情を眺めていると、
こちらまで心が温かくなってきます。
二人がステージに上がると、
結婚式のお楽しみ「抽捧花」が始まりました。
これは「ブーケトス」と同様、
次なる幸せをおすそ分けするためのイベント。
名前を呼ばれた友人たちがステージに集まり、
二人が手に持ったボトルから伸びるリボンを、
それぞれ1本選びます。
このうち、2本のリボンだけがボトルと繋がっていて、
繋がった2人にご縁が授けられます。
見事リボンを引き当てたご友人には、
ご縁とともに、鉢植えの植物もプレゼント。
これは龍舌蘭の鉢植えですが、
花はまだ咲いていません。
後から聞いて見ると、
龍舌蘭の花はブーケにも似ているということから、
「当たった人に、愛を育むように育ててほしい」
という願いが込められているのだそう。
育むことの大切さを知る、二人ならではのプレゼントだなあと、
理由を知って頷けました。
そして、結婚式もいよいよフィナーレ。
AZくんとIanくん、それぞれから会場に集まった友人たちへ、
そしてパートナーであるお互いへ、メッセージが贈られます。
これまで歩んできた道のりを思い出しながら、
想いが一気に溢れ出したのか、
涙をぽろぽろと流しながら、マイクを握るIanくん。
「この世界の片隅で、僕を見つけてくれてありがとう。」
震える声で、IanくんからAZくんへと日本語で伝えられた瞬間は、
僕も頬に伝うものを感じながら、
シャッターを押させていただきました。
AZくんのお父さんは
「どうか泣かないで。笑って迎えてあげてね。」と、
テーブルを回りながら伝えておられましたが、ごめんなさい。
感動で溢れ出てくるものが、もう堪えきれませんでした。
ホントに、ホントに、おめでとう!!!
二人なら、きっと大丈夫!
これからも幸せな日々を暮らしていけるよう、
心から願っています。
「自分のことを軽視せず大切に。」AZくん&Ianくんからのメッセージ。
とても感動的な結婚式が終わった後。
AZくん&Ianくんのお二人から、メッセージをいただきました。
彼らからみなさんに、ぜひお伝えたいことがありますので、
こちらでご紹介させていただきます。
全ての人は、愛でできています。
自分のことを軽視せず大切にして下さい。
人を愛することは、年齢、性別、国籍に関係なく、
どれも素晴らしいことです。
同性婚は好きな人と結婚したい、
一緒に家を買いたい、子供を育てたい、
社会に普通に既婚であると言いたい、
家族としてお互いの家族を大事にしたい等、
これまで同性カップルは出来ないと思っていたことを可能にし、
自分らしく生きられる自己肯定感を高めるものです。
日本も近い将来、同性婚が認められることを願っています。
結婚式では私(AZ)もインレン(Ian)さんも何度も感動の涙を流しました。
それは、二人の愛が、家族、親戚、友達など
これだけ多くの人に支えられていることを、
心から感じたからです。
本当にありがとうございます。
まとめ
今日は、同性婚が実現したばかりの台湾で、
友人カップルの結婚式に参加させていただいたお話ついて、
シェアさせていただきました。
本当に素敵な結婚式で、感動の嵐だったのですが、
これから台湾ではきっと様々なところで、
同じような式が挙げられるようになるのですね。
そう思うと改めて、
「台湾おめでとう!!!」と声に出して叫びたくなります。
ただ、最後に。
本当は、この幸せいっぱいのお話で締めにしたかったのですが、
どうしても触れておかなくてはいけないことがあります。
台湾では、同性婚が実現しました。
しかし、AZくんとIanくんは、
5月24日を迎えても、婚姻届を出すことはできませんでした。
なぜなら、新しく制定された法律でも、
パートナーの出身国に同性婚制度がなければ、
台湾でも結婚が認められないから。
彼らは1年近く前からこの結婚式の計画していましたが、
この法律が発表されたのは、つい3ヶ月前、
今年2月に入ってからのことでした。
同性婚が認められている国は、
台湾を含めて全世界に26カ国。(2019年5月現在)
アジアでは台湾が初めてですから、
日本を含むアジア各国の出身のパートナーを持つ同性カップルは、
全員がこの現実と向かい合わされています。
それでも、彼ら二人は、結婚式を挙げた。
自分たちにも幸せになる権利があることを伝えようと、
勇敢に現実と立ち向かった。
そんな彼らの姿からは、感動と同時に、
これからも歩み続けていくためのパワー、
そして希望をいただきました。
AZくん&Ianくん,
恭喜你們,新婚快樂!
謝謝你們讓大家看見愛、勇氣和希望,
我們絕不放棄,向著彩虹一起走下去吧!
▼こちらの記事もよくお読みいただいています!▼
→台湾で同性婚が実現!アジア史にのこる歴史的決断の裏側では、一体何が起こっていたのか?
→台湾でも貴重な結婚式。阿美族(アミ族)の男性と結婚した友人の披露宴に参加してきました。
→「同性婚はゴールじゃない。」まもなく合法化実現の台湾で当事者の僕が感じていること。
→LGBTプライドってどんなイベント?台湾の全パレードに参加した僕が7つの疑問にお答えします。
コメント
コメント一覧 (2件)
AZの父です。
素晴らしい記事を発信いただき大感謝!
結婚式の挨拶で皆様に 『「虹色が象徴する世界」の実現』と申し上げました。
虹色は日本では7色、国によっては6色、5色、一色といろいろに見えるようですが、 実は赤の外にもInfra-Red、紫の内にもUltra-violetと目には見えないが無限の色が広がっており、その色には明確な境界/区切りがありません。
つまりすべての人々の無限の多様性を認め/尊重し、区別/差別がない世界=虹色が象徴する世界と考えたからです。
残念ながら日本では多数が普通で正義という考えがまだまだ根深く台湾に比べ少数派の存在を認め尊重する環境にはありませんがあきらめずに微力を尽くせればと思っています。
AZくんのお父様!
こちらこそ、素敵な結婚式に参加させていただいて、とても光栄に思います!
僕もAZくんと同じく、台湾人のパートナーと二人で台湾で生活しています。
一人でも多くの方に「多様性」というテーマに、
興味を持っていただきたい、知ってもらいたいという思いでこのブログを書いています。
まずはそこから始めることが、一番大切なことだと考えているからです。
僕もまた、台湾で、そして日本で
真の意味での自由と平等が実現されることを心から願っています。
決してあきらめません。
自分にできることから、確実に動いていきたいと思います。