同性婚合法化決定後初のパレードが開催!2017年台北のLGBTプライドは、史上最強の盛り上がりとなりました。
こんにちは!にじいろパワー大爆発のパレード参加で、一夜明けても未だ興奮冷めやらぬMae(@qianheshu)です。
昨日10月28日(土)は、台湾史に残る記録的な1日に。
毎年秋に開催されている台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)は、今年もアジア最大と言われている規模をさらに拡大。
8万人の参加者を集めた昨年 2016年の記録を大幅に塗り替え、さらにパワーアップして台北の街をにじいろに染め上げました!
今年も実際にパレードに参加させていただいたので、今日は台北よりLGBTプライドの様子をお伝えしたいと思います。
参加者12万人突破!史上最高の動員数を記録。
LGBTプライドの集合場所として指定されたのは、昨年と同じく總統府前の凱達格蘭大道。
最寄である台大醫院駅周辺は、出口を抜けるのも困難なほど、
すでに多くの参加者たちで埋め尽くされていました。
まもなく始まるパレードに向けて、特設されたステージ上から飛び交う元気いっぱいのエール。
台湾の有名アーティストも駆けつけ、ライブパフォーマンスで会場を一気に盛り上げていきます。
台湾国内はもちろんのこと、世界各地からも多くのメディアが現地入り。
LGBTコミュニティにとって記念すべき2017年の様子を伝えようと、
奔走する記者たちの姿もあちこちに見ることができました。
会場では、パレードに関するパンフレットやレインボーフラッグ、
オリジナルデザインのステッカー、ポストカード、うちわ…などなど、
プライドパレードオリジナルデザインのアイテム配布も。
自分で準備してきたものはもちろん、新しく入手したアイテムも合わせながら、
パレードを歩くための身支度を整えていきます。
イベント後に報道された集計によると、この日イベントに参加したのは、
なんと12万人以上。
これは、史上最高記録を更新した2016年の8万人を大幅に上回り、
さらに約50%近く規模が拡大した計算になります。
関連報道→【同志大遊行人數破紀錄 12.3萬人齊聚凱道 | 自由時報】
2017年という年が台湾にとって重要なタイミングであるということは、
この数字が表していると言って間違いなさそうです。
2017年の台湾LGBTプライドはなぜ特別なのか?
今年のパレードは、開催前からこれまでの規模を大きく上回ることが予想されていましたが、
その理由をみなさんはご存知でしょうか?
2017年は、台湾にとって、いやアジア地域にとって歴史に残る重要な決定が成された年。
5月に発表された憲法解釈の結果において、
「同性同士の婚姻を認めない現行の法制度は違憲」との判断が下されました。
これはすなわち、
「同性婚は合法化されなければならない」との公式な通達。
発表から2年以内に、同性カップルにも婚姻制度を適用できるよう、
強制力を持った要請が台湾政府に対してなされました。
もし期日までに法制度の整備が間に合わない事態に陥った場合でも、
現状の法律がそのまま同性カップルにも適用されることが確定。
遅くとも2019年の5月末までには、セクシャリティにかかわらず、
あらゆる人が婚姻制度を利用できるようになります。
これまで同性婚を認めている国が存在していなかったアジア地域。
台湾はその先陣を切って、
初めて「婚姻平權(婚姻の平等)」を実現した新しい社会を迎えることになります。
このニュースは、台湾国内のみならず、アジア初の快挙として世界中を駆け巡ることに。
記念すべきこのタイミングで、台湾という国の「多様性」を一目見ようと、
LGBTプライドへの参加者が爆発した形となりました。
ただし、手放しで喜んでばかりもいられない現実が依然として横たわっていることも事実。
結婚を待ち望んですでに数十年を過ごして来た同性カップルにとって、
2年という時間は決して「あっという間」ではありません。
実際に僕も友人から、合法化を待たずして
「死」によって引き裂かれたカップルのお話を耳にしたばかり。
身近なところでそのような悲劇が今も続いているのかと思うと、
可能な限り早く実現されることを願わずにはいられません。
その意味でも、今回のパレードを通して、
改めてLGBTコミュニティの置かれている状況を見つめ直してもらうことは、
極めて大切なことではないかと思います。
新たな社会の到来に向けた「教育」がテーマ。
「多様な家族」のあり方が、まもなく実現されることになる台湾社会。
新たな時代の幕開けを迎えるにあたって、一人一人が「真の平等」について考え、
正しい理解を促すことの意義は、ますます増していくことになります。
今回のパレードのために設定された「性別平等教育」というテーマは、
その必要性を社会に訴えるには、まさに絶好のタイミングということができそうです。
「性別平等教育」是指:透過教育認識並尊重各種生理性別、性傾向、性別認同、性別氣質,
以及LGBTIQA──性多樣社群的文化差異,藉此消除因歧視而產生的暴力與霸凌,
促進性別地位的實質平等。(中略)
但(性別平等教育法)施行14個年頭後,
不論是性別平等教育,或政府的政策、調查、補助的研究等,
仍多以「異性戀」、「兩性」為主。(中略)
台灣自詡為「民主」多元的社會,
那麼教育的目的和內容,應是培養能獨立思考的人民,
在面對日益複雜的社會帶來的挑戰時,學會如何替自己作主;
讓不同生命經驗的個體,能在相互尊重、不被差別對待的前提下,進行價值的衝突與對話,
並反省自我,才能促進社會的進步。
「性別平等教育」とは、教育を通して身体的な性、性的傾向、性別認識、性別気質、
LGBTIQA(多様な性のコミュニティ)の文化的な差異などについて
理解を深め尊重すること、またこれにより、
差別によって生まれる暴力やいじめをなくし、真の意味での性の平等を促すものです。
しかし「性別平等教育法」の施行開始より14年が経った現在においても、
教育、政策、調査、またその補助的な研究などにおいては、
依然として「異性愛」、「両性」をテーマとしたものに
大多数を占められている状態にあります。
台湾は多様な「民主」社会であると主張するのであれば、教育の目的およびその内容は、
自ら考えることのできる人民を養成するものであるべきです。
日増しに複雑さを増す社会から挑戦を迫られた時、
自分の信念のままに行動できる術を身につけるためにあるべきです。
それぞれが異なった背景を持つ個人が、互いを尊重し、
差別を受けることがないという前提のもとで、価値観の衝突と対話を行い、
自らを反省することの繰り返しによって、社会はようやく進歩できるものであると、
私たちは信じています。
訳:Kazuki Mae
台湾では近い将来、
同性の両親によって育てらている子供たちが当たり前に存在するようになります。
そのような環境にあって、生徒となる子供たちや先生、
周囲の大人たちが正しい理解を持っていなければ、
当事者たちにとって過酷な状況にあることに変わりありません。
誰もが自由に、ありのままに生きて行ける社会のために、何が必要なのか。
法律という制度面のみでなく、市民レベルから考えていくことがより強く求められる社会に、
台湾は邁進しようとしています。
また、今年のパレードでは「HIV」に関する啓発も盛んに行われているのが印象的。
台湾でも少しずつ理解は進んでいるものの、正しい知識を持ち合わせていないがゆえの討論も、
依然として繰り広げられています。
「教育」をテーマにした今回のLGBTプライドを通して、
HIVに関する認識を新たにしてもらうという目標も、
パレードを歩いていて感じ取ることができました。
2017年のパレードは3路線!初登場の西門町方面(西路線)を歩いてみました。
同性婚合法化決定のニュースを受けて、
開催前から規模の大幅な拡大が見込まれていた今回のLGBTプライド。
アジア最大と言われるパレードへの参加者数に対応するため、
2017年は新たな試みとして西門町・台北駅方面を練り歩く「西路線」も追加されました。
「北路線」、「南路線」と合わせて、合計3路線。
その中から今年は、新しい路線である「西路線」のパレードを歩いてみることにしました。
先頭を行くのは、30人近くものイベントスタッフが力を合わせて掲げるレインボーフラッグ。
横幅だけでも3車線を占拠してしまうほどの巨大フラッグは、
台湾の「多様性」を象徴する存在として、数万人におよぶ参加者たちを導いていきます。
先頭のレインボーフラッグに続くのは、
GOGOBOYやドラァグクイーンが乗り込んだカラフルなパレードカーたち。
ノリノリのダンスミュージックを街中に響かせながら、パレード隊列を盛り上げていきます。
台湾LGBTプライドには、LGBTフレンドリーとして知られる台湾の企業はもちろん、
世界に名だたる大企業や、各国の大使館なども参加。
2017年のパレードでも、
職員一丸となって参加しているグループの姿をあちこちに見ることができました。
中には、会社のトップが自ら駆けつけている企業もあり、
創設者自らがパレードカーからエールを送る場面も。
日本からは、アーティストのMISIAさんもパレードに参加しておられたそうで、
パレード後の会場ステージにて全編中国語のスピーチをしたことで話題を集めています。
(イベント後に知りました 泣)
関連報道→【日本歌手米希亞現身同志晚會 活動劃完美句點 | 蘋果日報】
また、今回のパレードのために海外から個人で駆けつけておられる方もたくさん。
回を経るごとに、当事者以外の参加者比率もますます増えている印象で、
「境界線」が消失していく感覚がとても心地良いです。
台湾の同性婚合法化決定の立役者である祁家威氏は、
先月台湾東部で行われた「花東彩虹嘉年華」に続いて、今回のパレードでも登場。
歩道橋の上からレインボーフラッグを振るお顔には、
これから迎えるであろう新たな社会の到来を祝福するような、
優しい微笑みを浮かべておられました。
途切れることのないパレード隊列は、台北の街を練り歩くこと約2時間半。
記念すべき1年にふさわしいパワー満点のLGBTプライドは、
台湾史に残る記録的な大成功を収めることとなりました。
まとめ
今日は、10月28日(土)に行われた
台湾LGBTプライド(台灣同志遊行)2017の様子をお伝えしました。
史上最大規模を記録した昨年に比べても、
さらにオープンさ&華やかさが増大したのを肌で感じた今回のパレード。
参加者一人一人から放たれる「輝き」のようなものが満ち溢れていて、
これからの未来に対する「希望」がひしひしと伝わってくる素敵なイベントとなりました。
記念すべきタイミングでこのパレードに参加できたことを、心から幸せに思います。
しかし、もちろんこれでゴールを迎えたわけではありません。
これからどのような形で、どのタイミングで同性婚は正式に合法化が実現されるのか。
また「性別平等教育」をテーマに掲げていたように、
市民レベルでのさらなる理解をどのように進めていくのかは、
個々人の「発信」の仕方にかかっているのではないかと思います。
来年はぜひ、同性婚合法化が実現された台湾でこのパレードを歩けることを、
台湾に住む当事者の一人として願わずにはいられません。
そして、まだまだ終わらない台湾のLGBTプライドシーズン!
来月11月は台中の「台中同志遊行(台中LGBTプライド)」、
台湾第二の規模を誇る高雄の「高雄同志大遊行(高雄レインボーパレード)」、
2つのイベントが開催されます!
残念ながら台北では参加できなかったという方、
ちょうど11月に台湾にお越しの予定があるという方は、
台湾でLGBTプライドに参加するチャンスがあるかもしれません!
詳しい日程については【発表!2017台湾4大LGBTプライド開催スケジュール。】
にまとめていますので、ぜひ合わせてご参考くださいね!
台湾のLGBTプライドへお越しのみなさん、どこに泊まるかはもうお決まりですか?
【台湾各地で出会ったおすすめホテル&ゲストハウス集。】には、
台北はもちろん、台中や高雄、台南、花蓮など、
僕とボーイフレンドが台湾各都市を旅する中で出会った素敵なホテルとゲストハウスを
エリアごとにまとめていますので、旅の滞在先でお悩み中の方はぜひ合わせてご覧ください!
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