台湾の古都・台南でイベント史上最大のLGBTプライドが開催!パレード当日の様子を写真と共に振り返ります!
こんにちは!2018年最初のLGBTプライド参加で、未だ興奮冷めやらぬMae(@qianheshu)です。
昨年は、台湾で「同性婚合法化が決定された」とのニュースを受け、各都市で開催されているプライドパレードでも過去最大規模となる動員数を記録。
その流れはまだまだ途切れることなく、先日3月24日(土)に台南で行われたLGBTプライド「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」でも参加者が爆増!
こちらもイベント史上最高の記録を更新し、大成功を収めました。
僕は今回、2015年の初開催時以来の参加だったのですが、パワーアップのスピードが他都市をも大きく凌ぐ勢いだったので、とにかく驚きの一言。
ただし、合法化決定を受けての「お祝いムード」というよりも、このパレードへの参加者急増の理由はもっと他のところにありそうだな、という印象を受けました。
今日は、僕の感じたことや当日の様子を織り交ぜながら、台湾2018年最初のLGBTプライドについてご紹介したいと思います。
「あらゆる世代との理解」のために、このパレードを歩こう。
集合地点になったのは、
台南の観光名所・藍晒圖文創園區からほど近い「水萍塭公園」。
公園入り口には、200m先からでもバッチリ目に入る
巨大レインボーフラッグが掲げられ、パレードの参加者を導いていました。
前回までは「能盛興工廠」という団体が単独で開催していたのですが、
2018年からは彼らを含む12団体が共同で運営する「台南彩虹遊行聯盟」として運営。
主催団体が一気に大きくなったことで、
より大規模なイベント開催が可能になったことも、
今回の参加者爆増につながった原動力となっています。
特設ステージを取り囲むように、
前回参加時には見られなかった各団体のブースが、ずらりと出展されていました。
パレード前の会場を盛り上げようと、
ステージ上ではダンスやスピーチなどのパフォーマンスが。
同性婚の支持を表明している、現在の立法院での第3政党
「時代力量」党首・黃國昌氏も駆けつけ、
参加者へ向けて応援のスピーチを披露する場面もありました。
第3回目となる今回のLGBTプライドのテーマは「親子同遊 異同去郊遊」。
「親子」という関係性を通して、親世代にあたる年配の方たちへ、
そしてこれからの未来を担うことになる子供たちへ、
「多様性」について正しい理解を促していきたい、という願いが込められています。
向上連結,希望與父母、長輩進行溝通,聊聊多元性別是什麼。
台南人際關係綿密,許多同志朋友與家庭同住,
是否出櫃、如何面對家庭,是同志朋友的共同生命課題。
遊行聯盟將舉辦相關活動、連結在地資源,
希望不同世代的朋友能在遊行當天一同站出來,現身、發聲。
向下紮根,是為了和下一代自在談性別、談情感,關注性平教育如何在台南落實。
時至今日,保守團體仍不斷抹黑性別教育,校園霸凌也時有所聞。
遊行聯盟結合在地性別教育工作者,
(中略)期待透過教育,讓下一代不再受傷,或至少具備療傷能力。
「上」へと繋がること。
それは父母や年輩の方々とのコミュニケーションを図り、
「多様な性のあり方」について語り合うことを意味しています。
台南は人と人との繋がりが特に密接な土地であり、
LGBT当事者の多くも、家族と共に同居している場合が少なくありません。
それゆえ「カミングアウトをするかしないか」「どのように家庭と向き合うか」。
これは、当事者たちに共通する命の課題でもあります。
遊行聯盟(主催団体)は、関連の活動を通して、
現地の資源と繋がり、あらゆる世代の人々がパレード当日に勇気を持って立ち上がり、
共に歩き、メッセージを伝えられることを願っています。
「下」へと根を伸ばすこと。
それは未来を担う次の世代が、自由に性について語り合い、感情を共有し合うために、
「性の平等」に関する教育を重視し、
どのように台南で実現されるのかに着目していくことを意味しています。
今日に至るまで、保守勢力は「性」に関する教育に泥を塗り続けており、
学校内でのいじめ問題も後を絶たない状況にあります。
遊行聯盟は、現地の教育者と連携することで、
(中略)教育という場を通して、次の世代がこれ以上傷つくことのない、
そして傷を癒す能力を培うことのできる社会を形作っていけることを、期待しています。
訳:Kazuki Mae
保守派の影響力が強いと言われている台南は、
台湾を代表する大都市の一つでありながら、
まだまだ市民の理解が得づらい実情にあるのかもしれません。
でもだからこそ、このパレードを通して、
より多くの人にLGBTの存在を知ってもらうのと同時に、
現在の台南(社会)にはどのような問題が横たわっているのか、
理解を深めてもらうための契機としてもらいたい。
そのような意気込みを、このテーマから感じ取ることができました。
台南史上初!10,000人が街をレインボーカラーに染めあげる。
今回のパレードは、台南指折りの繁華街である西門路一段を抜けるように、
中心部南エリアをぐるりと一周する約3kmのコース。
参加者たちは、思い思いのカタチでレインボーカラーを身に纏い、街を練り歩いていきます。
イベント後のステージで発表された数字によると、
今回のパレードへの参加者数はおよそ10,000人!
前回参加した初開催時には数百人の規模であったところを、
3回目にして怒涛の勢いで、一挙に拡大したことになります。
これで台湾には、参加者数が万単位と言われるパレードが4つ誕生したことに。
同性婚合法化決定のニュースを皮切りに、
台湾全体としてもLGBTの話題に関する注目度は、
ますます高まっているのが伝わってきます。
このLGBTプライドのテーマである「親子同遊」を象徴するかのように、
小さなお子さんと一緒に参加する親御さんたちの姿も。
パレードはたった1日限りの体験ではありますが、
幼い頃から「多様性」を見聞きしながら育っていくことは、
とても大切なことだと僕も思います。
今回のパレードで目立ったのが、ユニークな衣装に身を包んだ参加者たち。
台中や高雄のイベントに比べても、彼らの姿は特別に多かった印象で、
さすがは古都・台南ならではのプライドといったところでしょうか。
隊列全体がキラキラと華やいでいて、
良い1日にしたいという意気込みを、あちこちからひしひしと感じることができます。
爆音を鳴らしながら先導するパレードカーの上は、
ノリノリの外国人参加者登場で、一気にクラブさながらの大にぎわいに。
あまりのパワフルさに惹かれて、沿道にいるおじさんおばさんたちも、
笑顔を浮かべながらスマホカメラで撮影に励んでおられました 笑
この光景こそが、年輩世代とのコミュニケーションという意味で、
パレードが一役買っている象徴でもあるように思います。
「婚姻平權(婚姻の平等)はどこに?」お祝いムードではいられない台湾の現状。
そして、この大規模なパレードが決して
「お祝いムード」によるものでないことがよく分かるのが、
参加者が手に持つメッセージボード。
今回、特に多く見られたのが「婚姻平權」というキーワードでした。
これは「婚姻平等の権利」を意味する言葉なのですが、
指しているのは当然、昨年5月末に発表された憲法解釈の結果、
決定された「同性婚の合法化」について。
発表より2年以内での合法化に向けて、
政府主導のもと、法改正が行われるはずなのですが、
残念ながら今のところ、目立った動きが出ていないのが現状です。
そろそろタイムリミットの半分の1年が過ぎようとしている
このタイミングに差し掛かっても、未だどういうカタチで実現されるのか、
方向性すらも提示されていないのです。
当事者たちは、台湾政府の後ろ向きな態度に、シビレを切らし始めています。
このパレードを通して改めて、
社会全体に向けて「婚姻平權」の重要さを見つめ直してもらいたい。
そんな思いも、今回の参加者急増に大きく影響しているのではないかと、
感じずにはいられませんでした。
「同性婚合法化からが新たなスタート。」正しい理解の大切さを改めて訴えるスピーチの数々。
2時間ほどかけて街を練り歩いたパレードが終わると、
会場の特設ステージではダンスパフォーマンスや参加団体からのスピーチがスタート。
LGBTプライドでは、このパレード後のステージパフォーマンスも定番ではありますが、
台南では今回が初めてということもあって、どのグループも気合いが入っています。
ステージ上には、台湾の超有名熱血先生・黃益中老師も登場。
現在も教壇に立つ教師という立場から、
改めてLGBTの支持と「性の平等」に関する教育の重要性を訴えておられました。
スピーチの中で特に印象に残っているのが、
「学校でLGBTに関する講座を開く」際に起こったという、あるエピソード。
この団体が講座の準備を着々と進めていたところに、前日になって学校側から連絡が。
「講座の開催を延期したい」との内容だったそうです。
その理由は、ある市議会議員からの圧力。
学校側が大きなプレッシャーに耐えられなくなり、
やむなく取り消さざるを得なくなった、というお話でした。
この出来事は、政治的な問題、教育の場での難しさ、大人たちの理解不足など、
今回のパレードのテーマにも掲げられていた、
LGBTを巡る現状がありありと表れている一例であると、思わずにはいられません。
今年は、台湾にとって重要な選挙である「九合一選舉」も行われるタイミング。
同性婚が決定されたからといって、まだまだ楽観視はできない。
むしろ「ここからが新しいスタートなのだ」と、
他の団体からのスピーチでも述べられていました。
イベントのフィナーレは、アーティスト・徐逸超さんのミニコンサート。
会場に最後まで集まった参加者たちへはもちろん、
様々な事情でまだパレードに姿を現すことができない方たちへ向けて、
エールの曲が披露されました。
華やかでパワフルで、楽しいパレードではありましたが、
それと同時に、これからの社会に向けてLGBT当事者として
何を伝えていかなくてはいけないのか、
深く考えさせられたイベントでもあったように思います。
来年もまたこの場所で集えることを願いながら、
2018年台湾最初のLGBTプライドは、惜しまれつつ幕を下ろしました。
まとめ
今日は、2018年台湾最初のLGBTプライド
「台南彩虹遊行(台南レインボーパレード)」の様子をご紹介しました。
先ほども触れたことではありますが、
昨年のパレードが少なからず「お祝い」のニュアンスを含んでいたのに比べて、
今年はまた一歩、さらに踏み込んだ内容へと進化を遂げていくような予感。
これから11月にかけて、台湾各地の都市でもLGBTプライドが開催されますが、
パレードを歩くことの意義は、ますます重要になっていくのはないかと感じています。
同性婚合法化へのタイムリミットがおよそ1年後に迫っている今、
当事者たちが何を思い、何を伝えようとしているのか。
セクシャリティを問わず、ぜひ多くの方に体感していただければ、
と、台湾に住む当事者の一人としても願わずにはいられません。
さて、2018年台湾のLGBTプライド第二弾は、
5月26日(土)に台北のお隣・宜蘭で行われる「宜蘭驕傲大遊行」!
こちらは今年初開催となるパレードですので、
どのようなイベントになるのか僕もすごく注目しています。
台北からはバスで1時間弱で到着できますので、
ちょうど台北旅行を計画中という方はぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
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