知られざる「台湾語ドラマ」の世界。「中国語ドラマ」との違いをご存知ですか?

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台北・永安市場「四號公園」で体操レッスン中のおじさんおばさんたち

華流にハマり中のみなさん。「中国語ドラマ」の次は「台湾語ドラマ」がセンセーションを巻き起こすかもしれません(ない?)。

こんにちは!あることがきっかけで台湾語ドラマへの興味が一気に高まっておりますMae(@qianheshu)です。

僕は日本にいた頃からあまりテレビを観る習慣がなく、台湾でも自分の部屋でリモコンのスイッチを押すことはほとんどないのですが、唯一の接点はお店へ食事に行った時。

台湾のローカルな食事どころにはテレビが備え付けられていることが多く、店員さんたちも空いた時間を見計らってお気に入りの番組に見入っているのが、ごくありふれた風景です。

彼らの観ている番組は「ニュース」「スポーツ」「バラエティ」など多岐に渡りますが、中でも遭遇率が高いものの一つに「台語劇(台湾語ドラマ)」があります。

この「台湾語ドラマ」、実は台湾のドラマ事情を語る上では欠かせない絶大な影響力をもつ番組。

台湾(中華圏)以外の場所で作品を目にすることは稀ですが、「中国語ドラマ」にはないユニークな特徴を兼ね備えているのです。

えっ?「台湾語ドラマ」と「中国語ドラマ」って違うものなの?

そう思った台湾ドラマ好きの方は必見!

今日は、食事の時に目にしたことや、台湾人ボーイフレンドから有名作品をハイライトで観せてもらったことを踏まえながら、「台湾語ドラマ」について感じていることをシェアしてみたいと思います。

 

目次

台湾で主に使われる2つの言語「中国語」と「台湾語」。

台湾で一番使われている中国語テキスト「視聽華語」

ドラマのお話に入る前にまず抑えておきたいのが、台湾で話されている言語について。

 

台湾では「中国語」、「台湾語」、「客家語」、

台湾各地に暮らしている「原住民族」の言葉など、

現在も10種類近くの言語が話されていると言われています。

 

このうち、台湾全土で特に広く話されているのは

「中国語」「台湾語」の2つ。

 

公用語には「中国語」が使われており、

「國語」「中文」「台灣華語」の名で呼ばれることもあります。

 

基本的には中国大陸の公用語である「普通話(北京語)」と同じですが、

台湾独自の使い方が発展してきたこともあり、

文法や単語の使い方、発音も微妙に違っているのが特徴です。

 

そして、もう一つの主要言語である「台湾語」。

 

こちらは「中国語」が公用語になる(台湾へ中華民国がやってくる)以前、

さらにさかのぼると日本統治時代よりも前の時代から話されており、

今でも中国語に負けないほどの影響力を持つ言葉。

 

台湾南部に足を運んだ際や、台北でも年配の方どうしの会話になると

「台湾語」を耳にする機会が多いです。

 

若い世代の「台湾語離れ」が問題視されるようにもなってきていますが、

実家に帰ったときには「台湾語」で両親や祖父母とのコミュニケーションをとる

という人も少なくなく、「幼い頃からバイリンガル」な環境に慣れっこな台湾の人たち。

 

この点においては、僕を含む日本で生まれ育った人と、

大きく感覚が異なっているのではないかと思います。

 

「中国語」と「台湾語」。

 

台湾には、この2つの主要な言語が存在しているということを、まずは踏まえておきましょう。

 

「中国語ドラマ」と「台湾語ドラマ」は全くの別物。

中国語で作文の練習

主に使われている言語が2種類あるということは、

テレビ番組も「中国語」と「台湾語」で分けて制作されることに。

 

ドラマも例外でなく、台湾では

「中国語ドラマ」と「台湾語ドラマ」の2種類が放送されています

(客家語や原住民族の言語を使った番組も、もちろん存在します)。

 

これだけ聞くと、

「中国語→台湾語、台湾語→中国語にそれぞれ翻訳して、2つの言語に対応しているのか?」

と思われるかもしれませんが、そうでないところがまた興味深いポイント。

 

テーマもストーリーも想定される視聴者層も、

「中国語」と「台湾語」では全くの別物の独立した作品として制作されているのです。

 

ちなみに、「華流」として日本語字幕付きで楽しめるようになっている台湾のドラマは、

そのほとんどが「中国語ドラマ」の方。

 

台湾で人気のアイドルが登場したり、原作が日本のアニメという作品もあるため、

「中国語ドラマ」は「観たことある!」「知ってる!」という方もおられることと思います。

 

では、あまり馴染みのない「台湾語ドラマ」とは一体、どのようなものなのでしょうか?

 

台湾語ドラマの主役は「父母&祖父母」。

台北・永安市場「四號公園」で体操レッスン中のおじさんおばさんたち

「台語劇」と呼ばれる台湾語ドラマの主な視聴者層は、

50代以上のお父さんお母さん、お爺ちゃんお婆ちゃん世代。

 

ドラマの内容も年配のファンたちを意識した構成になっていることは、

想像に難くないかと思います。

 

テーマは、「家庭」に設定されたものが一般的。

 

主人公は、子供が大学生or社会人くらいのお父さんお母さん(もしくは祖父母)のこともあれば、

彼らの子供世代にあたる若い男女のこともあります。

 

が、いずれにしても共通しているのは、

「家庭」というテーマのもと、親世代のいとこやそのお嫁さんに至るまで、

親戚にあたる人々も含め、親族総出で登場することが多い点です。

 

そして当然のことながら、内容も「親目線」を意識したストーリー展開に。

 

ピンチに陥った息子を経済力やメンツを活用して救う頼もしい父親像とか、

子供世代が出世や結婚によって懸命に親孝行する姿とか、

「家長」としての威厳や誇りのようなものを強調した描かれ方が少なくありません。

 

また、若い男女が主人公の場合も、彼らそっちのけで自らの苦労話や、

若い頃の思い出話が突然始まるなど、

親世代の共感を得るための場面が必ず挟まれて展開されます。

 

 花蓮のLGBTフレンドリーゲストハウス「桂憩 Sweet Olive」のキッチン

さらに、「家庭」がテーマでありますが、穏やかなほのぼの家庭劇として描かれることは稀。

 

お金に関するトラブルや、婚姻関係外の第三者の登場、

第三者との間にできてしまった新たな命、嫁いだ先での不遇… など、

家庭まわりで起こりうるマイナスな出来事が、これでもかというほどに盛り込まれることが多いです。

 

日本の昼ドラ以上にドロドロとした内容に仕上がっており、

そこでどれくらい視聴者を楽しませる(?)かが、台湾語ドラマでは大切。

 

ただ、幼い頃おじいちゃんおばあちゃんの家で育ち、

日常的に台湾語ドラマに触れていたボーイフレンド(20代)によると、

どのドラマもストーリー展開が「差不多(だいたい同じ)」すぎて、

次に何が起こるかは簡単に予測がついてしまうそうです 笑

 

タイムリーな話題を盛り込む意外な社会派。

高雄同志大遊行(高雄レインボーパレード)2017で掲げられるレインボーフラッグ

ストーリーのお決まりパターンが出来上がってしまっているため、

20~30代くらいの若い人が見ると、日常生活の中でのリアルな干渉も思い出されて

「うんざり」な感想を持つ人も多いとよく聞く台湾語ドラマ。

 

しかし、外国人である僕が眺めていて「これはすごい!」と思ったポイントが1つあります。

 

「太陽花學運」や「多元成家(同性婚)」など、

その時々で話題になっている社会的なテーマが、

台湾語ドラマではタイムリーに反映されることが多いのです。

 

僕が台湾語ドラマに興味を持ったきっかけも、実はこのことと関係がありまして。

 

遅めの朝ごはんを食べに行ったお店で流れていたドラマの再放送でたまたま、

男性の役者さんが「僕は男性が好きなんだ!!!」と、

親戚一同の前でカミングアウトするシーンを目撃してしまったのです。

 

これは、自身もゲイである僕としては、雷に打たれたかのような衝撃。

 

まさか、保守的の代表とばかり思い込んでいた台湾語ドラマに

「LGBT」が登場するとは思っていなかったので、とても新鮮に映ったのを今でも覚えています。

 

同性婚合法化が決定されている台湾においても当然、

理解を促すことが難しい世代が存在しているのは事実。

 

視聴者がその世代にピッタリと当てはまる台湾語ドラマを通して、

メッセージを発する姿勢が素晴らしいと思ったのです。

 

制作する側は、タイムリーな話題を確実にキャッチする、

かなりセンスの研ぎ澄まされた人たちが揃っているに違いありません。

 

「200話超え」も「1話120分」もごく普通な台湾語ドラマ。

台湾賃貸物件(一人暮らし用ワンルーム)についているテレビ

視聴率で見ると、MIT(Made in Taiwan)ドラマのトップ3は

「台湾語ドラマ」で占められることもある、と言われている台湾のテレビ事情。

 

その人気を裏づけるように、中国語ドラマには見られない特殊な現象も、

台湾語ドラマには見ることができます。

 

その際たる例が、「何話完結」かという点。

 

中国語ドラマは、人気の作品でも20話前後で完結されることが一般的なのに比べて、

台湾語ドラマは何と200話を超える作品も多数!

 

視聴率が特に良い場合は、300話、400話と、

さらに拡大して脚本が組まれることも珍しくありません。

 

日本の「朝ドラ」ならぬ、台湾の「八點檔(夜8:00からのドラマ枠)」として、

毎日の放送を楽しみにしている年配の方は非常に多いです。

 

そして、朝ドラよりもすごいのが、1話あたりの時間。

 

朝ドラは1話15分、月9など夜のドラマでも60分で終わりですが、

台湾語ドラマは人気の作品になると、

恒常的に「90分」「120分」も十分にありえます!

 

毎日夜の8時からたっぷり2時間、世の親御さんたちを満足させるために放たれる作品たち。

 

1話2時間で200話完結とすると、

最初から全部見直すには、24時間ぶっ続けで2週間以上かかる計算に…

 

そういう特大ボリュームの作品がゴロゴロ存在していると考えると、

台湾語ドラマの存在の大きさを感じていただけるのではないでしょうか。

 

一体、制作側はどんなスケジュール感で動いているのか…

 

役者さんも監督さんも編集さんも、溢れんばかりの熱意を持っているからこそ

成し遂げられる技なのではないかと、そのご苦労に想いを馳せずにはいられません。

 

まとめ

台北・永安市場「四號公園」の鉄棒エリアでカラダを動かすおじさんたち

今日は、台湾のテレビを語る上で欠かせない存在の「台湾語ドラマ」についてご紹介しました。

 

僕もさらに詳しいところに関してはまだまだ研究(?)が必要と思いますが、

これまでに理解していることだけに絞っても、

日本のドラマや中国語ドラマとは事情とはかなり様子が違っていて、

おもしろいなあと感じています。

 

台湾旅行の合間にテレビをつける機会がありましたらぜひ、

ローカル感満点な激しい(?!)演出の台湾語ドラマに目を留められてみてはいかがでしょうか。

 

台視民視など、台湾のテレビ局の一部ではYouTubeオフィシャルチャンネル上でも

全話ノーカットで鑑賞できるようになっているので、気になった方はのぞいてみてください。

 

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