リアルなゲイのセキララな告白『カミングアウト編』(中編)

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空に羽ばたく白い鳩

この瞬間を越えていなければ、人生は全く違ったものになっていたかもしれません。

こんにちは!ゴールデンウィークのない5月の台湾で「シャイニー」にはほど遠い生活を送っておりますMae(@qianheshu)です。

さて、僕がセクシャリティをオープンにして生きられるようになったきっかけをお伝えしているセキララな告白シリーズ『カミングアウト編』

今日は第2弾として、ターニングポイントとも言える「2つのカミングアウト」についてお話しします。

前回をお見逃しの方は、【リアルなゲイのセキララな告白『カミングアウト篇』(前編)】を先にお読みいただくと、今回のお話に至るまでの流れがつかみやすいかと思います。

なぜ僕は、ゲイであることを隠さないことにしたのか。

そこに至るまでには、まだやり終えなければいけないことがありました。


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「母親」へのカミングアウト。

 

社会人として初めて勤めた会社を離れ、台湾行きの準備をしていた頃のこと。

 

涙する仮面と真っ赤なバラ

父親へのカミングアウトからは3年。

 

地元・香川へ戻ってからは、ちょっとしたロマンスくらいはあったものの、

ゲイとしての自分は概ね顔を隠したまま、心の奥底でくすぶり続けていました。

 

表面的には穏やかな生活、

しかし僕にはこの場所で生きていくことの限界が嫌という程に見えていました。

 

「真の自分でいられる環境は、与えられるものではない。

 自分で手に入れなければいけないのだ。」

 

3年間で導かれたこの驚くべき発見が、

僕を「海の向こう」へと突き動かす原動力になっていたことは疑いようがありません。

 

台湾へ出発するまでの2か月あまりの時間を、中国語の勉強やビザの手配、語学学校との連絡にと、

仕事はないながらも対処すべきことに追われる日々を過ごしていました。

 

ドアをノックする手

パソコンに向かって、台湾での部屋探しの手はずを整えていた時。

母親がノックの音とともに、僕の部屋へと入ってきました。

 

ベッドに腰かけた母親は、おもむろに僕の台湾行きについて尋ね始めます。

 

「なぜ日本じゃダメなの?」

 

「なぜアメリカやヨーロッパじゃなく、台湾?」

 

「お金はどうするの?」

 

詳しい説明もしないまま突っ走る僕に、母親は気持ちが抑えきれなくなっていたのでしょう。

息子の不可解すぎる行動に、不安や心配も募っていたのでしょう。

 

怒涛のように飛んでくる質問に、僕はしどろもどろになりながら答えていきました。

 

この件について自分からは何も語らなかった、僕の責任。

 

本当なら言わずにおきたかったことも、心にしまったままにしておきたかったことも、

出発間近となった今はもう、本音で語るしかありませんでした。

 

話が進んで行くにつれ、質問の矛先は当然の流れとして、僕の将来へと向かいます。

 

「仕事はどうするつもり?」

 

「日本へは帰ってくるのよね?」

 

そして…

 

「結婚はどうするの?」

 

予想はしていたとは言え、一番触れてほしくなかった質問。

まるで100mを全力ダッシュした後のような鼓動の高まりが、一気に胸に押しよせて来ました。

 

打ち捨てられたバラの花束

 

「結婚は、しない。」

 

僕は、そう答えました。

 

「なんで?」

 

間髪入れずに母親は次の矢を放ってきます。

 

「それは…」

 

じっと見つめる厳しい目

目の前によみがえってきたのは、父親へのカミングアウトのあの夜。

 

父親にきちんと伝えられたのだから、母親にだって問題ない。

 

そう確信していたはずが、いざその瞬間が訪れてみると、

次の言葉がどうしても出て来ないのです。

 

「結婚しないって、どういうこと?」

 

「なんでそんなこと言うの?」

 

母親の声に答えようとしても、その度に心がブレーキをかけてしまいます。

 

自分へのカミングアウトは済んだはずなのに、

なぜ「たった一言」が口に出せないのか?

 

呪いたいくらいの勇気のなさ、自分に対する情けなさ、母親を傷つけてしまうことへの恐れ。

 

山のように浮かんでくるマイナスな気持ちが渦を巻いて、

口を開けないどころか、母親に顔を向けることすらできなくなっていました。

 

「なんでなの?」

 

「どうして?」

 

耳に飛び込みつづける疑問符が、心をますます締め付けていきます。

 

「この場から、逃げ出したい。」

 

このとき頭を支配していたのは、そんな臆病者の心理でした。

 

母親の声をうつむいたまま聞き続ける数十分が、永遠のように思えました。

 

結局、3年前の自分と何一つ変わっていなかったのです。

 

 

 

「ねぇ!なんでなのよ!!!」

 

場を濁す方法ばかりに気を取られていた僕に投げかけられた、ひときわ大きい彼女の声。

 

そこでようやく、僕は理解しました。

 

暗闇の中で開く扉

 

「この人は本気で僕と向かいあおうとしてくれている。

 だからこそ、黙り込むだけの僕に

 ずっと問いかけ続けてくれているのだ。」

 

否が応でも口を開こうとしない脳に抗うように、

僕は喉を絞ってやっと、小さな声でこう発しました。

 

「それを聞くと、母さんは傷つくと思うよ。」

 

ようやく聞こえた言葉らしきものに、母親からはずっと聞きたかったであろう一言。

 

「男の人が、好きとかなの?」

 

 

 

3年前のあの時から、たった一つだけ進歩していたのは、

 

「…うん。」

 

の2文字を小さく囁けるようになったことだけでした。

 

 

 

問いかけ続けた疲れのせいか、聞こえてきた囁きへのショックのせいか、

一気に力が抜けたように見える母親。

 

しかし…

 

「なんだ、そういうことだったのね。」

 

その口調にはどこか、納得の語気が含まれているようでした。

 

見えてきた希望の光

緊張が解けてきたあと語られたのは、母親の「予感」の理由。

 

学生時代に一度も彼女らしき存在が見えなかったこと、

女の子の話もほとんどしないこと、

年頃の男子なら興味のないわけがないアイテムを一度も発見しなかったこと。

 

2つ下の弟の「ストレート」ぶりとは全く違う僕の様子に、

以前から何か感じるところがあったようです。

 

「どうしてもっと早く言ってくれなかったの。

 無理に結婚させるつもりなんてない。

 そんなことしたって、何の意味もないじゃない。」

 

最後にそう言い残して、母親はベッドから立ち上がり、

何事もなかったかのようにあっさりと部屋を後にしました。

 

もしかすると、彼女の聞きたかった答えは最初から決まっていたのかもしれません。

 

外れた足かせ

「また一人理解者ができた」という嬉しさはさることながら、

この瞬間に勝っていたのは1トンの重りが外れたような、言いようのない開放感。

 

「両親2人とも、僕がゲイであることを知っている。」

 

自分のセクシャリティに悩み苦しんでいた大学時代には考えられなかった夢のような状況が、

現実となって今目の前にあることが、にわかには信じられませんでした。

 

「真の自分」として生きる。

 

その環境は奇しくも台湾出発を目前にして一挙に整いつつありました。

 

父親の冷静さ、母親のねばり強さ。

彼らの助け舟があったからこそ、僕は両親へのカミングアウトを終えることができました。

 

ありがとう、父さん、母さん。

2人のもとに生まれてきて、僕はホントに幸せ者です。

 

「友人たち」へのカミングアウト。

空に羽ばたく白い鳩

両親へのカミングアウトを終えたことで訪れた、大きな変化。

これまで抱いていた「ある感情」が消えていたのです。

 

それまでの僕が何よりも恐れていたのは、

自分の意図しない形で「僕がゲイである」と他の人に知られてしまうこと。

 

何かの拍子に歪んだ形の「噂」として両親の耳に届いてしまったら、

彼らの理解を得る唯一のチャンスすら奪われかねない。

 

これまでは心のどこかにいつも、そんな「恐れ」を抱えて生きていました。

 

しかし、ここまで来ればもう、何も怖がる必要はありません。

 

自分のセクシャリティを誰に知られたとしても、

オープンに対応していける自信ができていました。

 

「ありのままに、生きていく。」

 

やっとの思いで得た決意を行動に移すために、

僕はまず一番身近な「あること」から手をつけました。

 

恋愛対象:男性

それは、これまでは空欄にしていたSNSの恋愛対象を「男性」にすること。

そして、LGBTの話題についてSNS上でもシェアすること。

 

友人たちへのカミングアウトを、

まずはSNSというツールを通して始めることにしたのです。

 

「友達が離れてしまうかもしれない。」

 

不安がなかったと言えば、嘘になります。

縁あって知り合った数多くの友人たちを、この行動によって失ってしまうかもしれません。

 

しかし、「それで良いのだ」と僕は自分に言い聞かせました。

 

「僕のセクシャリティを理由に離れていくなら、

 彼らとはその程度の関係でしかなかった、というだけのこと。

 その上で僕とのつながりを保ち続けてくれる人たちこそ、

 本当の意味での“友達”ではないのか。

 

「友人」という存在の定義も、恋愛対象を公開したこの瞬間に更新することにしたのです。

 

その結果は、僕の想像以上の変化をもたらしてくれました。

 

かけがえのない友達たち

物心ついた時から一緒に大きくなってきた幼なじみ、大学時代は疎遠だったクラスメイト、

表面的な話しかできなかった昔の仕事仲間。

 

「おぅ!パートナーとは順調か?」

 

「まさか、Maeくんとこんな話題で盛り上がれるとは

 思わなかったよ!」

 

「これからはホントの意味で友達になれそうだね!」

 

実際に会った時にかけてくれた温かい言葉の数々は、

涙が出そうになるほどうれしいものばかりでした。

 

オープンにしたことによって深まった関係は、

以前では考えられない強固さで僕たちを結びつけてくれています。

 

そして、新しい絆もどんどん生まれるようになりました。

 

 

 

離れていってしまった人は、確かにいるかもしれません。

 

しかしそれ以上に、

「人生で真に大切にすべき人たち」がはっきりと見えるようになりました。

 

彼らこそまぎれもなく、一生かけて付き合うべき僕の「友達」。

彼らの支えがあるからこそ、僕はゲイとしてブログまで書けるようになったのです。

 

みんないつもありがとう、心から感謝しています。

 

まとめ

 

リアルなゲイのセキララな告白『カミングアウト編』(中編)でした。

 

「カミングアウトすべきか否か」は、

LGBTコミュニティーで盛んに議論されているテーマの一つです。

 

過去も、現在も、そしてこれからも、誰もがこの選択に悩みながら日々を暮らしています。

 

もしもあなたが息子さんや娘さん、友達からカミングアウトを受けたら、

相手に何と声をかけてあげますか?

 

そんな日は永遠に来ないかもしれませんし、明日にでも突然訪れるかもしれません。

 

すぐに理解を示せる方もいるでしょうし、

全くもって受け入れられないという方もおられるかもしれません。

 

しかし少なくとも、これだけは分かっていただきたいのです。

 

あなたの目の前にいるその人は、

「今あなたに会うその瞬間まで、たった一人で苦しんでいたかもしれない」

「あなたと真の信頼関係を築きたいからこそ、

 勇気を振り絞って打ち明けているのだ」

ということを。

 

ほんの5分でも良いので、

「もし大切な人からカミングアウトを受けたらどうするか」に考えを巡らせてみてください。

 

あなたの答え一つで人生が変わる人がいるということを、どうか忘れないでいてください。

 

『にじいろ台湾』Maeからのお願いでした。

次回は最終章、後編でお会いしましょう!

 

それでは、今日はこのあたりで。

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コメント

  1. Lapak より:

    僕は両親を含め周囲の人には本当のことを打ち明けていないのですが、Maeさんの一連のエピソードを拝見し、心が温まりました。
    打ち明ける、打ち明けないはそれぞれの人の自由で、当然打ち明けたほうが重荷から解放されることも理解していますが、そうすることで全てが上手くいくかどうかはそれぞれの生きている環境にも依りますよね。
    Maeさんの人生が告白によって良い方向に発展していることがとても羨ましく、そしてそれを共有いただけることで勇気をもらっている人が自分を含め、少なからずいるのかなと思います。
    次のエピソードも楽しみにしています。

    1. kazukimae より:

      カミングアウトできる環境やタイミングというのは確かにあります。
      でも、「ここしかない!」というチャンスが来たら、それを逃さないようにすることが大切じゃないかと思っています。
      そのチャンスを逃したり、そこで嘘をついたりしてしまったら、自分も相手も後々さらに苦しむことになる可能性だってあるわけですから。
      プラスの方向に発展しているのは、ひとえに理解を示してくれる多くの人に恵まれたおかげです。
      多い少ないにかかわらず、「真に大切にすべき人」は誰のそばにでも必ず存在していると、僕は信じています。

  2. murakici より:

    重複投稿だったらすみません。。
    先日フランス人の女のこのクラスメートから、你在日本有男女朋友嗎?
    と聞かれました。
    こういう聞かれ方したの初めてて驚きました。歐洲の人たちは進んでるなと。
    その時葛藤は駆け巡りましたけど、今回は本当のことは言えず…
    でも、maeさんの友達へ〜も読んで、彼女には台湾にいる間にきちんと言ってみようと思ってます〜

    1. kazukimae より:

      そういえば僕も7年くらい前バンコクに行ったとき、タクシー運転手のおじちゃんから
      「彼女も彼氏もいないの?それじゃあさみしすぎるよ!」
      と、言われたことを思い出しました 笑
      ススんだ考えを持った人たちが世界にはたくさんいるのだと、そのときはかなり衝撃を受けましたね。
      ぜひ一度、彼女と話し合ってみては? きっとより深い関係を築けると思いますよ。

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