国際ゲイカップルに同性婚合法化が必要なたった1つの理由。

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高雄同志大遊行(高雄レインボープライド)2016のパレードで掲げられたプラカード「愛是人權」

この世界には、「愛の力」だけではどうにもならないことがあるのです。 

こんにちは!先日12月10日には台北で史上最大のLGBTイベントが開催されるなど、同性婚に関する討論が白熱している台湾からMae(@qianheshu)がお送りしております。

台湾では「婚姻平權法案」と呼ばれている同性婚を合法化するための法案が現在、国会に当たる立法院にて審議に入っています。

これが実現すれば、台湾はアジアで初めて同性婚を認めた国となるため、世界中から注目を集めているのですが、反対派の声も大きくなり始めており、世論を二分する討論が繰り広げられている現状です。

みなさんは、同性婚というテーマについて考えてみたことはあるでしょうか。

なぜ、この制度が法律で認められる必要があるのでしょうか。

台湾人のボーイフレンドとお付き合いをしている僕の胸の中には、ある一つの生活に直結する重大な問題が浮かんでいます。

今日は、多くの国際ゲイカップルが必ず直面する現実についてお話ししたいと思います。

 

目次

外国人が合法的に台湾に滞在する方法。

日本のパスポート

このお話に入る前に、まず理解しておいていただきたいことがあります。

 

外国人として海外に滞在するには、各国が発行している「ビザ」が必要になります。

 

僕は台湾に住んでいるので台湾の場合で話を進めますが、

【アジア最高のゲイフレンドリー国・台湾で暮らす6つの方法。】でも触れているように、

ビザの発行を受けるには主に7つの方法があります。

 

1. 駐在員になる

2. 投資家になる

3. 起業家になる

4. 学生になる

5. ワーキングホリデーをする

6. 現地採用になる

7. 台湾人の配偶者になる

 

外国人が台湾人のパートナーと結婚すると、7.の「台湾人の配偶者になる」に該当し、

「配偶者ビザ」を申請することができるようになります。

 

台湾人の旦那さんと国際結婚をされているkeddyさんのブログ

『台湾大好き 私と台湾と台湾人ダーリンの物語』に書かれている内容を読んでみると、

手続きには時間と費用がいくらか必要になるようですが、

それでも「人生を共に歩むパートナー」として

合法的に台湾に滞在する許可を国からもらうことができます。

 

高雄同志大遊行(高雄レインボープライド)2016パレードで掲げられたプラカード「愛は差別より強い 結婚しよう!」

では、日台同性カップルの場合はどうでしょうか?

 

同性同士の婚姻が法律の上で認められていない以上、

外国人男性が台湾人男性の「配偶者」になるという道はありません。

 

パートナーのどちらかがオランダやスウェーデン、カナダなど

同性婚の認められている国の国籍を有している場合は、

相手の国に移り住むという方法をとることもできます。

 

しかし、台湾と日本、どちらもまだ合法化には至っていません。

 

どちらの国に滞在するにしても、「ビザ」の問題が確実につきまとうことになります。

 

つまり、「2人の時間を共にする」という

カップルにとって最も基本的な部分が日々脅かされているわけです。

 

「愛」を「狭き門」に賭ける?

台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)2016でレインボーフラッグを纏うカップル

「配偶者ビザ」がもらえない以上、他のビザを使って滞在する

という選択になるわけなのですが、ここでも問題があります。

 

「1. 駐在員になる」の場合は、

日本の会社から派遣されて台湾に滞在するという方法になるわけですが、

この場合はまず、日本の会社に所属する必要が出てきます。

 

その上で、社内での熾烈な競争を勝ち抜き、数ある中国の大都市ではなく、

「台湾」という国の担当に選ばれなくてはいけません。

 

仮に中国語がペラペラでビジネスマンとしても超優秀だとして駐在員に選ばれた場合でも、

赴任先が「台湾」になるかどうかは会社の偉い人たちが決めるわけですから、

これはもう運次第です。

 

さらには、いつ赴任先が変更になるかも分からず、

数年後には台湾を離れなくてはいけないという状況はかなりの確率でありえます。

 

パートナーと一緒に暮らし続けたいという場面で、

「愛」を不確定要素が多すぎる「狭き門」にかける方法を、

果たして選ぶでしょうか?

 

「愛」は「お金」で買う?

高雄同志大遊行(高雄レインボープライド)2016の巨大レインボーフラッグ

その意味では、「2. 投資家になる」「3. 起業家になる」の場合は

自分でコントロールできる範囲はぐんと広がります。

 

しかし、そのハードルは決して低くなく、

投資家の場合は台湾における投資額が「20万米ドル(=約2360万円)」

を超えていなくてはいけません。

 

また、起業家の場合、

最初のビザ発給は「資本金50万元(=約185万円)」さえ準備できればクリアできるのですが、

ビザ発給からおよそ1〜2年後にやってくるビザ更新時に

「1年間の営業収入300万台湾ドル(=約1110万円)」を達成する必要があります。

 

いずれにしても、「お金」がモノを言うビザ。

 

もしも僕がお金持ちかつビジネスセンス抜群なのであれば、迷わずこの方法を選びます。

 

しかし、台湾で不動産をも買えるような潤沢な資金を持ち合わせていない場合は、

どうすればいいのでしょうか。

 

普通のサラリーマン生活しか知らない状態で、

いきなり台湾で会社を立ち上げて半年で軌道にのせるほどの急成長を遂げる可能性が、

一体どれほどあるというのでしょうか。

 

「愛」は、「お金」で買わなくてはいけないものなのでしょうか。

 

「愛」は「時間制限」付き?

彩虹台南遊行(台南LGBTプライド)2015パレードのプラカード「擁抱」

「4. 学生になる」「5. ワーキングホリデーをする」の2つは、

前に挙げた3つに比べると確実性も高く、誰にでも挑戦できることから、

採用している方が最も多い方法です。

 

僕も語学学校に通うことで「学生ビザ」を使い、

学校を離れてからは「ワーキングホリデービザ」で台湾に滞在していました。

 

しかし、その時すでに現在のボーイフレンドとお付き合いしていた僕は、

内心常に焦燥に駆られていました。

 

学生ビザは「学校に在籍している期間(語学学校は最長2年)」

ワーキングホリデービザは台湾の場合「最長で1年」の期限付きです。

 

「ビザが切れた時、僕らは離れなくてはいけない。」

 

その思いがいつも、胸の中で渦巻いていました。

 

結婚という制度がない以上、これらのビザは「時間を引き延ばしてくれる」効果はあるものの、

2人の「未来の時間」を保証してくれるものではありません。

 

信頼関係を築いた上で「結婚」という道が用意されている、

異性カップルなら可能性のある方法を選択する権利がないのです。

 

中には3ヶ月滞在可能な「観光ビザ」で、

頻繁に海外に出ながらうまく台湾での生活を成り立たせている方もいます。

 

しかし、好きな人のためだからといって、

出費と体力の消耗も惜しまずにそのスタイルを永遠に続けようとしても、

いつかは必ず限界がきます。

 

「愛」は、「時間」によって制限を受けるべきものなのでしょうか。

 

「愛」は「労働」と引き換え?

台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)2016に登場した巨大レインボーフラッグ

現在、僕が台湾に居られるのは「6.現地採用になる」を実践しているからです。

 

台湾の会社に所属して、会社から「就労ビザ」の発給を受けることで、

台湾での生活を続けることができています。

 

ビザの更新時期が近づくと、スムーズに進むかどうか気が気でなくなってしまいますが、

完璧ではないにしろ選び得る選択肢の中では、

現地採用が最も確実性と継続性のある方法だという結論に至ったからです。

 

現在の仕事はかなり気に入っていますし、やりがいも感じています。

 

今は在職4年目ですが、

「ビザのため」というモチベーションしか持ち合わせていなかったとしたら、

ここまで続いていなかったと思います。

 

しかし心の奥底では、台湾人のパートナーと結婚して

「配偶者」として暮らしておられる方々を羨ましく思うことがあるのです。

 

外国人として台湾で就労ビザを手に入れるには、

給与面と能力面で一定の条件を満たしていなくてはいけません。

 

さらに、ビザの発給は会社側が申請の手間と費用を負担しなくてはならないため、

外国人を雇うことに消極的な会社も少なくないのです。

 

そんな中で、台湾人のパートナーと結婚して、台湾で自由に仕事を選べる権利や、

ビザにとらわれずフリーランスで活躍できる環境がある方に出会った時、

何も感じないと言えば、嘘になります。

 

彼らは「愛」の上に「労働」が成り立っているのであって、

「労働」の上に「愛」が成り立っているのではないからです。

 

台北・中正紀念堂とレインボーフラッグ

もちろん、僕も台湾の「永住権」が取れれば、彼らと同じように動くことができるようになります。

しかし、その権利をもらうためには「就労ビザ」で台湾に5年以上滞在することが条件です。

 

また永住権を取得した後でも、

1年の半分以上を台湾以外の国で過ごすと、その権利は消失してしまいます。

 

何かの拍子で半年以上日本に滞在する必要に迫られた時には、また0からやり直しです。

 

少なからぬ労力を捧げても、

今のままでは2人の時間が完全な形で保障される日は永久にやって来ないのです。

 

「愛」は、「労働」と引き換えなくては認められないものなのでしょうか?

 

なぜ「愛」に差があるのか?

高雄同志大遊行(高雄レインボープライド)2016のパレードで掲げられたプラカード「愛是人權」

異性カップルの間では、どの国でもほぼ間違いなく制度として認められている「結婚」

 

子供を持つ持たないにかかわらず、お金があるないにかかわらず、

どんな仕事をしているかにかかわらず、

「2人で生活を共にする権利」はどんな結婚にも必ず認められます。

 

でも、ゲイのカップルには、そんな最も基本的なことすら保障されていません。

 

2人の国籍が違う場合は、毎日がさらに深刻です。

 

「運」、「能力」、「時間」、「お金」、「労働」。

 

同性婚の認められていない国に生きているゲイカップルは、

「愛」以外の持てるもの全てを駆使して、

2人の時間を繋ぎとめておくことに必死なんです。

 

なぜ、「愛」のカタチが違うというだけで、このような差が生まれるのでしょうか。

 

ただ一緒にいたいだけなのに、相手のことを世界で一番思っているのに、

パスポート上の紙一枚が得られないがために、なぜ関係をあきらめなくてはいけないのでしょうか。

 

「愛する権利は平等」なのであれば、

にじいろの旗の下にくやし涙を流す人々が、

なぜこんなにもたくさん存在しているのでしょうか。

 

 

台湾が先でも、日本が追い越しても、どちらでも構いません。

 

僕は、愛する2人が何の制約も受けず共に居られるように、

同性婚が合法化されることを切に願います。

 

社会が新しい一歩を踏み出した時、世界はまた一つ幸せに近づくと信じています。

 

まとめ

花蓮彩虹嘉年華(花蓮LGBTプライド)2016でレインボーフラッグを振るパレード参加者たち

今日は「国際ゲイカップルに同性婚合法化が必要なたった1つの理由」

についてのお話でした。

 

最後にもう一つだけ、お伝えしておきたいことがあります。

 

パートナーに共に歩む決意を告げようとしている方、パートナーと共に道を歩み始めた方、

あるいは共に歩んで数十年が流れたという方。

 

「結婚」という選択ができることは、

決して「当たり前」のことなんかじゃないんです。

 

この世界には、生まれた瞬間からその選択肢すら与えられていない人たちが存在しています。

 

だから、あなたのその選択は、何物にも代えがたい尊いものなのだ

と覚えておいていただきたいのです。

 

僕らが同じ選択をできるようになるまでにはもう少し時間がかかりそうですが、

自分たちの幸せのためにも、あなたたちのもとに誕生する未来のためにも、

今できることを続けていきたいと思います。

 

近い将来、婚姻平權(婚姻の平等)が実現されると信じて。

 

それでは、今日はこのあたりで。

※記事中の日本円表記は1ドル=118円、1元=3.7円で計算しています。(2016年12月現在)

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • 少々気になった点として、台湾籍があったらビザの問題はなくなるのではないかと思いますが、台湾籍はお取りにはならないのですか?

    次元は違う事項ではありますが気になったので、一言。

    • その方法も確かにあります。
      永住権と同じく「台湾在住5年」をまず満たすことが条件になっていますので、
      それをクリアした後に帰化するかどうか、
      僕自身も将来はその選択肢も含めて考えると思いますね。

      しかし、異性の日台カップルであれば、(本人たちが望んでいるという前提で)
      手続きさえ踏めばどんなタイミングであっても二人の生活を開始できるのに対して、
      同性カップルにはその制度がないがために、
      同様の生活(保障はそれ以下)を手に入れるために
      「5年」という月日を、
      しかも台湾での「就労ビザ」を持ちながら待たなくてはいけない現実が、
      すでに平等とは言えないと、僕は思わずにはいられないのです。

  • 僕もそろそろ付き合って2年になる日台カップルです。
    凄く共感します。
    自分の場合は高卒ということもあり、なかなか就職なく、二ヶ月に4日会うだけです。
    しかしながら、仕事の都合で会えない時もあります。
    結婚制度がなくてもいい、ただ、同じ時間を同じ場所で過ごす権利がほしいです。
    ただ、普通に、当たり前に恋人として一緒にいることができる権利がほしいです。
    なんか今の僕の気持ちを代弁してくれたような気がします。
    ありがとう。

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